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モーター スポーツ コラム 2021年9月30日

全ては頂点の座を掴むため……SFもてぎ戦で繰り広げられた“超緻密なバトル”

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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「スタートと1周目で(逆転を)狙っていたんですが、うまくいかなくて……。コース上でオーバーテイクというのは難しいとはわかっていたのですが、やはり予想通りの結果となりました」(関口)

「今回は関口選手が真後ろにいたので、タイヤを換えられていいペースで走られる可能性もありました。ここ最近、僕たちはピットストップを引っ張って失敗することもあったので、今回は純粋に真後ろにいるドライバーをフォローして、作戦を選ぶということを事前に決めていました」(野尻)

こうして、野尻は関口の作戦を阻止する形で11周目にタイヤ交換を完了。逆転されることなくコースへ復帰したのだが、今度は新たなライバルが出現した。5番手スタートからレース後半まで第1スティントを引っ張る作戦にでた平川だ。

「このまま勝たせるわけにはいかないと思っていたので、とにかくトップに行けるチャレンジをしたくて……10周目に(ピットに)入るよりも、後半まで引っ張って自分のペースが良ければオーバーカットできるなと思ったので、そのチャレンジをしました」(平川)

そうして平川は、他車がピットストップを行なっている間にトップに浮上すると、1分34秒台の好ペースで周回を重ね、26周目にピットイン。計算上では2番手で復帰できる予定だったが、タイヤ交換に時間がかかってしまい、4番手で復帰となった。

目論見は外れてしまうこととなったが、それでも平川はトップ浮上を諦めず、3番手の松下信治(B-Max Racing Team)に果敢に迫っていった。結果的に逆転はできなかったが、存在感溢れる走りをみせた。

逆転はならなかったが平川(carenex TEAM IMPUL)は圧巻の走りをみせた。

「(松下選手とのバトルでは)正直、コーナーは見ていなかったです。抜くことしか考えていませんでした。結果的にもてぎが抜きづらいということを痛感しましたし、予選の順位が大事なんだなと思いました」

一方の野尻も、仮に平川との直接対決になった時のための準備に怠りはなかった。

「レース後半、平川選手がいいペースで走っているという情報はありました。ピットストップを終えて、もし僕と関口選手の間に入ろうものなら、僕は絶対にやられてしまうという考えもありました。そこで、自分のタイヤもある程度温存しつつ、平川選手とのバトルに備えていました」

こうして、第5戦もてぎは野尻が勝利し、今季3勝目。終わってみれば、彼の速さと強さが存分に光ったレースだったのだが、TEAM IMPUL勢の追い上げもあり、まさに“頂上決戦”ともいうべき内容の濃いバトルだった。

これでポイントランキング的には野尻が俄然有利となったのだが、まだタイトルが決定したわけではない。関口、平川のみならず、他のドライバーたちも第6戦もてぎでのリベンジを狙っている。それに対し、ポイントリーダーの野尻はどう対処していくのか……。今年のスーパーフォーミュラ王座決戦も、いよいよ佳境を迎えている。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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