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しかし、チャンピオン獲得のためには、もてぎでライバルを突き放す速さを発揮する必要がある。2ヶ月というインターバルを使い、野尻と一瀬俊浩エンジニア、そしてチームが一丸となって、徹底的にマシンのセットアップを見直してきたのだ。
「工場でセットアップをしている段階の微妙なコーナーウエイトの違いとか、その取り方の違いとかまで、徹底的に調べました。僕は細かいことでも一度気になったらすごく気にしちゃうタイプなので(苦笑)」
「普段ドライバーが気にしないところまで情報をいただきながら、自分なりに考えたり、疑問に思ったところは、すぐに一瀬エンジニアと何度も連絡をとって、話し合いをしました。それこそ、本当に細かいところまで指定して『ここをみてほしい』みたいな感じで、とことん突き詰めました」
実際に田中洋克監督も「普段は見ないところにも注目して、細かく計測・分析をやってきました」と、普段よりもさらに細かな作業をしてきたと語っていた。
その緻密な作業が、土曜日の公式予選で生きる。Q1からいきなりライバルを圧倒する1分31秒台を記録し、最終のQ3ではコースレコードを更新する1分31秒073をマーク。今季2度目のポールポジションを勝ち取った。
野尻はコースレコードでPPを獲得した
まさに狙ったものが見事的中した快進撃だったが、野尻は手応えを感じつつも気を抜くことはなかった。
「ここで流れを取り戻すためにやってきました。これでひとつきっかけが出来るのと思うので、日曜日のレースも集中して、最後まで最後まで走り切りたいなと思います」(野尻)
この時点では、野尻に隙はなく、何事もなくレースが進めば、彼のポール・トゥ・ウィンは確実だっただろう。しかし、そうなってしまうと今季のチャンピオンは彼のものとなってしまう……。
“そう簡単には勝たせない”と、野尻に立ちはだかったのが、carenex TEAM IMPULの関口雄飛と平川亮だった。
2番手スタートの関口は序盤からオーバーテイクシステムを積極的に使い、とにかく野尻に近づくことを試みたが、逆転は叶わず。その中でも可能性を探って早めにピットストップを行う“アンダーカット”の作戦に出たが、野尻を食い止めることはできなかった。
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