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2021スーパーフォーミュラ第3戦レビュー|ジュリアーノ・アレジ、SF初優勝という快挙の裏にあった“貪欲な姿勢”
モータースポーツコラム by 吉田 知弘もちろん、SFライツとのダブルエントリーも少なからず役に立っていた。SFライツは大会前に膨大な練習走行時間が設けられており、ジュリアーノのも水曜日に現地入りして木曜日からオートポリスを走り込んでいた。この予選の前にもSFライツのレースに参加しており、ウェットコンディションも経験済み。それも今回の快進撃を支える大きな要素になったことは間違いない。ただ、これも前述と同じように、チャンスをモノにできなければ意味がない。限られた時間で得られた経験を、すぐに“自分の引き出し”にして、走りに繋げていったところは流石だと思う。
そして、何より“貪欲な姿勢”が、この結果につながったと言えるかもしれない。これまでのジュリアーノへの取材を振り返ると、それが垣間見える場面がいくつかあった。取材のたびに彼は「今年は僕にとって日本のレースを勉強する年なんだ」と繰り返しコメントしている。同じモータースポーツとはいえ、ヨーロッパの環境と日本のそれとは大きく異なる部分がある。全て新しく学び直すという姿勢が、短期間での彼のパフォーマンスアップにつながっている。
毎レース進化を遂げているジュリアーノ・アレジ
スーパーフォーミュラの36号車を担当する大立健太エンジニアに聞くと、ジュリアーノはマシンのセットアップのせいにするのではなく、まずは自分自身のドライビングに焦点を当て、そこでの改善やタイムアップを常に目指しているという。さらに走行機会という点ではSFライツと比べると格段に少ないのだが、各セッションで見つかった課題や反省点にしっかりと向き合い、次の走行では確実な進化を見せてくれるとのことだ。
その貪欲な姿勢は、このオートポリスでの記者会見コメントでも垣間見ることができた。予選ポールポジションを獲得した後、ジュリアーノが繰り返し強調していたのが「良いスタートを切ること」だった。
スーパーフォーミュラ初戦となった第2戦鈴鹿では、スタートを失敗してしまい、一時は最後尾近くまで順位を落としてしまった。そこから前のマシンを次々と追い抜いていき、ポイント圏内でフィニッシュすることはできたのだが、ジュリアーノにとっては「スタートの失敗」が大きな課題となった様子。クラッチミートのポイントなども見直し、このオートポリスに臨んでいた。
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