人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

モーター スポーツ コラム 2021年2月24日

【フォーミュラE開幕特集】今年から世界選手権になるフォーミュラE基礎講座

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
  • Line

ただ、その分、1周2km〜3kmという短いコースでもレースができてしまうので、広大なエリアの市街地コースを作らなくても良いというメリットがあります。本来は今季からさらにパワーアップしたマシン「Gen2 EVO」を投入予定でしたが、コロナ禍の影響で来季に持ち越しされました。

そして、最後3つ目は「今までにないゲーム性」です。フォーミュラEのマシンはまだエンジン車のレーシングカーに比べるとスピードで劣る状態です。モータースポーツとして既存のレースと同じ土俵で戦っても迫力面で負けてしまいます。だからこそ、今までにない発想の「ゲーム的要素」を盛り込み、新しいファン層を拡大しようとしているのです。

例えば、初年度のシーズン1から設定されている「ファンブースト」。これはファンによるドライバー人気投票で上位5人になったドライバーがレース中に1度だけ最大出力250キロワットで走れるようになり、追い抜きチャンスを促進するシステムです。いわばパワーアップボーナスのようなもので、ファンも参加して楽しむレースを演出しています。

そして「マリオカートみたい」と話題になった「アタックモード」がシーズン5(2018−19年)から導入されました。アタックモードを有効化するためにアクティベーションゾーンを通過すると一時的に35kWのパワーアップが可能になるシステムです。アクティベーションゾーンはコースの最速ラインからは外れているので通過するとタイムロスしてしまいますが、ここぞ勝負所というタイミングではパワーアップの恩恵を受け、追い抜きがしやすくなるのです。どのタイミングで使うか、駆け引きとバトルもフォーミュラEの楽しみです。

既存のモータースポーツファンにはこういった演出に抵抗を示す人もいるのは事実ですが、「フォーミュラE」をきっかけにモータースポーツに関心を持つ新規ファン獲得を狙っているのです。特に若い世代は子供の頃からテレビゲームに親しんだ世代ですから、今後さらにゲーム性のある新しい演出が生まれてくるかもしれません。

そう、いろんな意味で既存のモータースポーツは違うアプローチを行ってきた「フォーミュラE」。今季はスケジュールがまだ完全には確定してはいませんが、世界選手権として大いに注目されるシーズンになると思います。まだ歴史が始まったばかりの新しいモータースポーツですから、今までモータースポーツを見てこなかった人にも楽しんでもらいたいと思います。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
モーター スポーツを応援しよう!

モーター スポーツの放送・配信ページへ