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だが、これに対してライバル陣営も黙っていなかった。なかでも中盤戦に入って強さをみせたのがホンダNSX-GT勢だ。第2戦富士でNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)、第3戦鈴鹿ではNo.64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)がポールポジションを獲得すると、No.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バケット)が第2戦富士と第4戦もてぎで優勝。好調だったトヨタ勢を抑えて17号車がランキングトップに浮上した。
ホンダ勢はNSX-GTをFR化したこともあり、開幕直前のテストまで試行錯誤を繰り返していた。そのためマシンの基本的なセットアップが十分ではない状態で開幕を迎えたのだが、レースを戦いながらセットアップを煮詰めていくという戦略をとっていた。予選一発の速さでは序盤戦から高いパフォーマンスをみせていたが、第4戦もてぎあたりから決勝でのロングランでもトヨタ勢に引けを取らない力強さを見せはじめた。そして、開幕戦でのリベンジを果たしたとも言えるのが第7戦もてぎだ。予選でトップ3を独占すると、決勝ではNSX-GT全車が力強い走りを見せ、陣営としては初めてとなるトップ5独占を達成した。
ホンダ陣営初となる1-5位独占。第7戦のNSX圧勝劇は最終戦での王者争いをさらに混沌とさせた。
さらに日産勢も意地をみせた。当初のレースカレンダーでは、東京オリンピックの関係もあり富士スピードウェイでのレース開催が1回のみとなる予定で、それを見据えたマシン作りを意識してきたのだが、コロナ禍の影響で富士開催が逆に4回になったことが裏目に出てしまい、序盤戦はなかなか上位に食い込むことができなかった。それでも、彼らが勝負どころのひとつにしていた鈴鹿サーキットでの第3戦、第6戦ではNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が優勝を果たした。
第6戦、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは転劇勝利を驚異のテール・トゥ・ウィンで飾った。
その結果、GT500クラスは全15台のうち10台がチャンピオン獲得の可能性を残すという過去に例を見ないほどの接戦の状態で最終戦を迎えることなった。舞台は富士スピードウェイで全車ノーウェイトと、一見すると開幕戦と同じ条件のように見えがちだ。しかし気温10度を切る極寒のコンディション、そして先行したトヨタ勢に追いつくべくシーズン中にパフォーマンスを上げてきたホンダ勢、日産勢が1周目から積極的に順位を奪い合った。
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