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モーター スポーツ コラム 2020年12月18日

2020インタープロト&KYOJO CUP|ふたつの初優勝に湧いた第3大会

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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同じ日に開催されたKYOJO CUPでは新たなヒーローが誕生した。これまでは第1戦を制した翁長実希(#37 KeePer VITA)、大雨の第2戦を制した三浦愛(#38 Ms. Legarsi with YLT VITA)が今回も最有力候補かと思われたが、予選で彼女たちを上回る速さをみせたのが、今季から同シリーズに参戦したている猪爪杏奈(#86 Dr. DRY VITA)だった。

猪爪杏奈(#86 Dr. DRY VITA)

予選では早々に三浦が2分00秒970をマークしトップに立つが、それを猪爪が0.4秒逆転する2分00秒581を記録。強力なライバルを差し置いて自身初のポールポジションを勝ち取った。

決勝レースでは、好スタートを決めて、一時はトップ争いに加わった翁長が反則スタートのペナルティを消化しなかったとして失格となるというハプニングもあったが、猪爪は波乱の展開にも動じることなく自分の走りを徹底。終盤は三浦に対して3.8秒のギャップを築いて最終ラップに突入した。

ただ、コックピット内の猪爪は全く油断できる状態ではなかった。残り半周というところでガス欠症状が出てスピードが伸びない。3.8秒あった三浦との差はみるみるうちに縮まっていったが、なんとか最後まで大きなスローダウンすることなくチェッカーを受け、見事KYOJO CUP初優勝を飾った。

迫る三浦を振り切った猪爪杏奈(#86 Dr. DRY VITA)

過去のレースを振り返ると、初優勝の際はパルクフェルメで嬉し涙を流すKYOJOドライバーの姿があったが、猪爪は満面の笑みでマシンを降りた。

「絶対に勝てるとは思っていなかったですけど、バトルになった時は冷静な展開を心がけるようにしていましたし、逃げ切れるなら逃げ切ろうと思っていました。最終ラップにガス欠症状が出た時は正直『終わったな……』と思いました。もし、あれであと1周あったらダメだったかもしれません。そういう意味でチェッカーフラッグを見た瞬間にホッとしたという感じでした。こうして、予選も決勝も三浦選手の前でいるということは、すごく価値のあることだと思います。次回もそこを狙っていきたいですし、またイチから練習をして、チームのみんなと一緒に良いクルマを作っていきたいです」

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