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ニッポンのモータースポーツのこれから 脇阪寿一×高橋二朗×ピエール北川 困難突破トーク 今スポーツは!モータースポーツ編
J SPORTSプロデューサーコラム by 杉山友輝(J SPORTSプロデューサー)これからのモータースポーツ
子供たちの未来のためにもモータースポーツを発展させたいと話す脇阪氏
ピエール:昨年SUPER GTとDTM(ドイツツーリングカー選手権)の特別交流戦で、すごいレースを見させてもらいましたけど、そのDTMで残念なニュースがあって、2020年シーズンでアウディが撤退するという発表がありました。今後DTMとかクラス1の規定になったSUPER GTはどうなりますか?
※クラス1規定とは、2020年シーズンからSUPER GT運営サイドが、アジアとヨーロッパでマシンを同一仕様にして、参戦機会の増加や部品の共有化などを進め、グローバル化促進につなげようとする規定。
高橋:やっぱりなと思いました。現実問題、SUPER GTは日本国内では人気があるけど、DTMはどんどん人気が下がっていました。ドイツは特にガソリンエンジンが使えなくなってきていて、ガソリンエンジンからディーゼル、そのディーセルもダメになったときにEV。クラス1は長年かかってやっとレギュレーションができて、交流戦でDTMが日本にもきてくれたけど、やはり現実問題クラス1のイベントができたのは遅かった。
今でこそ、日本の自動車メーカーではGT500クラスの3社ががんばってるけど、この新型コロナの影響は大きいし、これからずっと続けられない部分は出てくると思う。そうなったときに自動車メーカーも商売があるから、撤退するときはするでしょうね。過去にそういう歴史もありましたけど、僕の年代でいうとオイルショックのときは大変だった。リーマンショックのときも影響はあったけど、オイルショックほどではなかった。オイルショックのときはプライベートチームががんばって、今の礎となるツーリングカーレースやグランチャンピオンシリーズをやった。グローバルなシリーズも必要だけども、今後、日本独自のシリーズを誕生させることはできるだろうと考えています。
ピエール:以前の全日本GT選手権やSUPER GTも、最初の頃は日本独自のルールで企画してましたよね。
可能性としては、帰化する方向もありますよね。
高橋:寿一がいったように、ネガティブに考えるのではなくポジティブに考えると、最初のスタートは隆盛を誇った、今のSUPER GTやスーパーフォーミュラみたいにはならないかもしれないけど、その中で産業として生き延びていくために、そしてそこに従事している人たちのために、仕事を広げていくことは必要だと思う。
脇阪:ヨーロッパとの違いで僕が感じていることですが、ヨーロッパにおいてレースは車を売るためのもので、車を売ることでその自動車産業が盛んになって、国を支えるんですよね。ドイツにおいても日本と同じように、自動車産業はすごく大きな産業。国の方針とともに自動車産業の方針が決まって、車を売るためのPRや技術開発のひとつとして「レース」がある。
日本のレースは趣味だったり、国の基盤であるような決め事とは離れたところでの「娯楽」としての位置づけなんですよね。DTMの撤退に関して、ヨーロッパにおける自動車産業のEV化など考えたら当然の流れだと思う。モータースポーツは他のメジャースポーツと肩を並べるレベルだと思うし、国の方針を理解しあって進むべく方向を決めていけたらいいのではないでしょうか。漠然とした思いだけでなく、きちんとビジョンをもってファンの皆さんと共に子供たちの未来のためにやって、そして、人々の生活になじむモータースポーツにしていきたいです。
WRCラリージャパンの開催は?
ピエール:愛知県からリモート出演しているんですが、愛知県に2020年WRC世界ラリー選手権 ラリージャパンがくるんです!言える範囲で寿一さんは開催をどう考えますか?
脇阪:コロナに関しては、未来のことは誰もわからないですよね。まずは終息させることです。でもやりたいですよね!勝田貴元を走らせたいですよ! ヨーロッパで参戦しながら、昨年はスポットで出てよい成績を出してるし。WRCってラリーの世界の頂点ですから、日本のメーカーと選手が世界に挑む姿は見たいですよね。
※勝田貴元:WRCにスポット参戦する将来有望な日本人ドライバー
高橋:WRCが日本にやってくるとしたら、北海道で開催されて以来です。
ピエール:新しいコアファンがくるのは、大きなチャンスですよね!
脇阪:WRCに関係ない人の家の前を、ラリーカーがあの迫力で走ったら、そこの家族全員モータースポーツを好きになりますよ。新たなファンを獲得するということを考えたら、本来サーキットに来なきゃいけないけど、その意味では、WRCを開催していただいて、どんどんモータースポーツファンになってもらいたい。
高橋:ラリージャパンのあとに、帯広に釣りに言った時、帯広の中心街の駐車場でラリージャパンのバッグを見た地元の人が「あんた、またラリーをやってくれ」といわれたんです。「帯広に還元できましたか?」と聞いたら「帯広は儲かった」と言っていました。地元に対する貢献と応援を、しているということだよね。日本のプロモーターに聞くと、コロナに関してはやはり心配しているよね。あとは現場でのインフラをどうするかと。地元の理解がもっと必要。昨年テストイベントやったら、問題がなかったわけではないようです。パン屋の方が「これからラリー車が来るから渡れません」といわれて、道路を渡れなかったことに怒っていた。細かいこともやってみないと、分からないですからね。
ピエール:おしまいにモータースポーツファンに向けてメッセージを!
高橋:日本は規制があるけど、まだ通常生活が出来ています。まずは医療関係者に感謝申し上げます。
近代モータースポーツが成り立って半世紀以上経ちましたが、文化としてどれだけ根付いたかという議論はあるけど、日本のモータースポーツは成り立っています。絶対復活、リスタートできますから、もう少し頑張っていきましょう。コロナウィルスを拡散しない努力をしながら、明るい未来を信じて、よりよい日本のモータースポーツモデルを考えていきましょう。
脇阪:まずは皆さんの命あってです。しっかり健康管理していただいて、コロナに勝ちましょう。
そして、医療従事者の方々と私たちの生活を支えていただくために、働いてくださっている方に感謝申し上げます。ファンの皆様には、終息したらもっともっと喜んでいただけるように頑張ります!
そして、モータースポーツ関係者の皆様、明けない夜は無いと思いますので、頑張りましょう!
大変な時はそれぞれ連絡しあって、乗り越えましょう!
文:J SPORTS 杉山友輝
杉山友輝(J SPORTSプロデューサー)
若手のADを見るとすぐに「メシくってるか?」という昭和臭いプロデューサー。担当競技は卓球・ラリー・ゴルフ。毎日自らで作ったカスピ海ヨーグルトを食べるのが健康法。ニックネームはスギP。
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