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今年の大きな話題は開催地の変更です。シリーズから脱落組はスペイン、オーストラリア、フランスで、新規参入(復活)はニュージーランド、サファリそれに日本です。チリはカレンダーに入っていましたが開催中止になりました。その結果13戦で2020年シーズンが開催されることになります。
もうひとつの話題はサポートカテゴリーであるRC2(WRC2,WRC3)の充実です。ヒュンダイ・フォード・シュコダ・シトロエンなどが力を入れており若手ドライバーの台頭が期待されます。世代交代が進みつつあるのでしょう。サポートカテゴリーにも選手権がかかっておりその条件は8戦以上出場(その内1戦以上はヨーロッパ外)が要求されています。
現行のWRカーの期限が21年までですからWRC2はその先を見越しているのでしょうか。
ロバンペラは昨シーズン、シュコダ・モータースポーツからWRC2プロクラスに参戦。19歳ながらシーズンを通して安定した走りでクラスチャンピオンに輝いた。
モンテカルロ・ラリーは初回開催1911年のWRCの中で最古のイベントです。長い歴史の中で世界大戦などの理由で開催されない年もあり今年は第88回となります。ラリーの形態は変化していますが、昔はコンセントレーション・ランといって近隣諸国をスタートし約2500キロを走ってモナコに集結。そしてコモン・ルートという今のSSスタイルの競技を行い、最終日には上位30台のみに絞ったマウンテン・サーキット(有名なチュリニ峠3回通過)を経て優勝者が決まるというものでした。私の古い資料を見ておりましたら1968年、トヨタ車が初めてモンテに出場した時のドライバーは南アフリカのヘッテマ氏、車はコロナ1600GTでした。当時ベルギーに駐在していた私が南アチームをサポートしました。アンダーソンはその頃一流ドライバーとしてルノー・アルピーヌで出場していました。
1968年当時のエントリー数は228台、スタート地点はアテネ(ギリシャ)20台、フランクフルト(ドイツ)25台、ドーバー(英国)31台、モナコ52台、オスロ(ノルウェー)30台、ワルシャワ(ポーランド)14台、リスボン(ポルトガル)11台、ランス(フランス)45台などでした。今のスケールと全く違います。このスタートポイントは毎年変わり、ある年ではスコットランドのグラスゴー、北アフリカのモロッコ、ストックホルムなどがありました。
さて、今年の第88回は昨年と大きな変化はなく木曜日の夕刻のカジノ前広場でのお披露目儀式の後170キロの長いリエゾンを経て2本のナイトステージで競技が始まります。ほかのラリーであまり見られなくなったナイトステージ用のエクストラ・ランプは魅力です。2本の夜間SSをこなしてGapでサービスを受けます。パークフェルメ・インが真夜中の12時を過ぎていますが翌金曜日のサービス・アウトが朝7:45ですからきつい日程です。現地の天候、特に気温や降雪量は目まぐるしく変わりドライ・アイス・圧雪の予測が重要です。同じSSの中でコンディションが変わりますのでどの条件に最適なタイヤ・チョイスをするかが決め手になり、直前に走行するタイヤ・クルーの役目が重要です。土曜日のSS終了後Gapでサービスをうけ、254キロのリエゾンでモナコに移動し日曜日に備えます。日曜日は名物コースのチュリニ峠を含む4本のSSで終了です。
概要は次のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
L-1 (1/23) | 2 | 42.96 km | 295.36 km | 338.32 km |
L-2 (1/24) | 6 | 122.58 km | 307.32 km | 429.90 km |
L-3 (1/25) | 4 | 75.20 km | 436.96 km | 512.16 km |
L-4 (1/26) | 4 | 63.54 km | 160.79 km | 224.33 km |
Total | 16 | 304.28 km | 1200.43 km | 1504.71 km |
刻々と変わる路面状況。タイヤ選択がカギとなる。
色々大変化があった開幕戦です。興味津々です。
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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