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モーター スポーツ コラム 2019年12月3日

その時、山下健太と関口雄飛は何を考えていた? 最終戦のオーバーテイク劇を振り返る

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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「ヘアピンのところでしっかり相手のスピードを殺して、そこから(バックストレートで)逃げようとしましたが……ちょっと向こうの方がスピードが速かったですね」(関口)

ただ、関口の心理を山下も読んでいた。

「(ヘアピンで)詰まったは詰まったんですけど、関口選手がそれ以上にスピードを落としてきて、僕のスピードを殺そうとしているなというのが分かりました。あそこは2速のパワーバンドから外れるくらいまで減速しますが、そこでさらにスピードを落とされたら、自分も立ち上がりが遅くなってしまうので、そんなの(目の前に36号車がいようが)関係なくアクセルを踏んで……結果的にちょっと押していたと思います。それでもアクセルは緩めずにバックストレートに行きました」(山下)

山下のひと押しがあったからなのか、ストレートでの加速力は6号車の方が上回っていた

「ヤマケンがアウト側に振ったので僕も抑えにかかったら、フッと逆を突かれて……そのままサイドスリップが効くところまで入り込まれてしまいました。(6号車が)切り返した時の加速を予想していなかったというか、さすがサイドスリップが効くところまでは来ないだろうと思っていたので、一瞬の隙を突かれた感じでした。自分のミスといえばミスですね」(関口)

「関口選手がずっとインを押さえていて、僕はアウト側へ行くしかありませんでした。でも予想外なことに関口選手がそこでアウトに寄せてきたんですよ。その時にイン側にわずかな隙間ができて『お、空いた!』と思ってイン側に飛び込みました。そこがちょうどサイドスリップが効く位置だったんですよね。そのまま加速して90度コーナーにいけたので、うまく行きましたね」(山下)

ダウンヒルストレートでの一瞬のクロスライン……。山下はあの瞬間が勝敗を分けた瞬間だと語った。

「もし関口選手がアウトに振らずにインを守っていたら、僕はアウトしか行き場がなかったので……もしかしたら抜けなかったかもしれません」(山下)

そのまま90度コーナーでインからオーバーテイクを決めた山下だが、ブレーキをロックさせてしまい若干オーバーラン。その隙をついて関口がクロスラインをかけ最終のビクトリーコーナーでの再逆転を狙った。そのままお互いに一歩も引かなかった結果、2台は接触しコースオフしながらコーナーを立ち上がっていった。

「(最終コーナーでは)ヤマケンが止まれないような速度で入ってきて、ちょっと接触もありました。正直、ヤマケンはうまいですね。あまり他人のことを言いたくはないですが、これが他の選手だったら押さえられたかもしれません、今回のヤマケンはすごかったとな思いました」(関口)

「絶対に引かないと決めていきました。やっぱりレースは人と争わなければいけなくて、その人(相手)より強い気持ちを持っていないと抜きに行くこともできないし、守ることもできない。不利な状況に追い込まれた時に、相手より気持ちを強く持っていないと勝てないというか、そこ(目の前の困難)をくぐり抜けられないと思いました。特に今回のレースでは何が何でも相手の前に出なければいけなかったので……『接触してペナルティが出るかもしれない』とか『クルマが壊れてリタイアになるかもしれない』とか、そういう無駄なことを一切考えない気持ちの強さが必要でした」(山下)

接触の影響でマシンに振動が出ており、リタイアの心配もあったという山下だが、最後までしっかりと走りきり、このレースを2位でフィニッシュ。2019シーズンの王座を勝ち取った。

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