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奇襲作戦大成功! GT300はT-DASHランボルギーニGT3が優勝飾る
GT300でオープニングラップのうちにトップに立ったのは、RUNUP RIVAUX NSX GT3の青木。エンジンパフォーマンスに優れることを武器に、1コーナーでまずHOPPY 86 MCの松井をかわし、ダンロップコーナーでは埼玉トヨペットGBマークX MCの吉田をかわす。青木についていけたのは松井だけで、しばらくの間は激しい一騎討ちを演じていた。だが、青木は柔らかめのタイヤを選んでいたこともあり、やがてペースが鈍り始め、12周目の1コーナーで松井がトップに浮上。18周目には吉田も青木を抜いて2番手に浮上する。
いったんは4秒近い差をつけられていた埼玉トヨペットGBマークX MCながら、徐々に差を詰めていき、34周目のダンロップコーナーで逆転。その次の周にHOPPY 86 MCはピットに入り、佐藤に交代するとともに左側2本のタイヤのみ交換。35周目には吉田と脇阪が交代するが、こちらは無交換とあって、埼玉トヨペットGBマークX MCは前に出ることに成功する。
その2台がピットに入った後、代わってトップを走っていたのは予選13番手だったT-DASHランボルギーニGT3のアンドレ・クート。このチームはいきなり奇襲作戦に討って出る。39周目に藤波清斗と変わるのだが、次のピットはなんと次の周の40周目! もちろん高橋翼に交代して、早々と規定のピットストップを2回も終えてしまったのだ。これもタイヤのライフと燃費に自信があるからで、しかもロスを最小限とすることとなった。これで大きく順位を落とすも、この後じわりじわりと順位を上げていく。
一方、トップには埼玉トヨペットGBマークX MCの脇阪が立ち、HOPPY 86 MCの佐藤は追いかけていくも、接近するまでには至らず。66周目に吉田と代わり、ここでようやくタイヤを交換した埼玉トヨペットGBマークX MC。その直後に最初のSCランがあり、終了直後の74周目にHOPPY 86 MCもピットに入り、右側2本のタイヤのみ並べられていたが、なんとエアジャッキのノズルが損傷する不運が。これで埼玉トヨペットGBマークX MCが、大幅に有利になったと思われた。
2番手にまで浮上していたT-DASHランボルギーニGT3の、3回目のピットは84周目で藤波が再び乗り込むことに。98周目から5周にわたり、2回目のSCランがあって間隔が詰まったことも、彼らにとっての福音となる。108周目、埼玉トヨペットGBマークX MCは、再び脇阪が乗りこみ、その直前に接触があったことから左リヤのタイヤのみ交換してコースに戻ると、T-DASHランボルギーニGT3は、ほぼ1分先行。それぞれ最後のピットストップ後の動向に注目された。
T-DASHランボルギーニGT3は125周目にクートに交代するとともに、タイヤは4本ともに交換。対して埼玉トヨペットGBマークX MCは、またも無交換で吉田を129周目にコースへと、送り出すも差は40秒ほど詰まるに留まる。もちろん、その後のT-DASHランボルギーニGT3はまったく危なげない走りで逃げ切ったのに対し、埼玉トヨペットGBマークX MCにはゴール間際になって、Modulo KENWOOD NSX GT3が迫ってくる。
予選は8番手で、序盤は控えめのペースで走行していたものの、中盤になって路面温度が下がり始めると一気にペースを上げてきたのだ。145周目には大津弘樹がUPGARAGE NSX GT3の小林崇志を抜いて3番手に上がり、最後は2秒差にまで接近。だが、時間フィニッシュとなったため、Modulo KENWOOD NSX GT3はあと一歩のところで逆転は果たせず。それでも大津は、道上龍とともに久々の表彰台に立つこととなった。
T-DASHランボルギーニGT3ことJLOCの87号車にとっては、これが嬉しい初優勝。若手の高橋、藤波にとっても初めての優勝となった。「まずチームにおめでとうと言いたい。パーフェクトな戦略だったと思う。ロングランでもバランスが良く、いいペースで走れることが分かっていたけど、ドライバーのみんなでいいマネージメントができたと思う。全員でベストを尽くせたんじゃないかな」とクート。
なお、レース序盤を盛り上げたRUNUP RIVAUX GT-Rは、ピット作業違反のペナルティで遅れを取り、さらに駆動系のトラブルに見舞われたこともあって、完走を果たすのみに。また、HOPPY 86 MCも必死に粘りの走りを見せていたが、終盤にバックマーカーのスピンに巻き込まれ、足回りにダメージを負ってリタイアを喫している。ランキングトップはARTA NSX GT3の高木と福住が6位でフィニッシュしたこともあり、引き続きキープしている。
文:秦 直之
秦 直之
大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。
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