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バトン好調の要因
さて、SUPER GTにおけるバトンの速さは、誰もが予想していたとおりではなかったか。GTがF1より重く、バランスに違いはあったとしても、はるかに高い次元のスピードを体験しているのだから。ただ、それは一発の速さであって、決勝レースでのコンスタントラップには、疑問もあった。車両のセットも決めなくてはならないし、何より明らかな速度差のあるGT300をロスなく処理し続けていけるか、という。
そこで所属する「チーム国光」は、今シーズン最初の公式テストで荒技に討って出た。初日2セッション、4時間をすべてバトンに走らせたのだ。まずはバトンの好みのセットアップを進め、その上でGT300の処理をマスターしてもらおうと。幸いにも公式テストの地は、岡山国際サーキットというバトンにとって未知のサーキットであり、「かつて、ここでF1を開催したのか?」と当時を知らぬ者なら疑問を抱くほど、タイトなレイアウトで知られている。
結果としてアクシデントに遭遇することもなく、タイムもトップからコンマ4秒遅れの6番手。しかも、バトンの進めたセットで翌日走行を開始したパートナーの山本尚貴が、いきなり2番手につけるという、うれしい誤算も。これはドライバーふたりの好みも一致した、ということも意味している。だから、チームとしては周囲がどう思おうと、「今シーズンは戦える」という見解になっていたのではないか?
ここまで2戦終えて、開幕戦と第3戦で2位。NSX-GTが苦手とする富士でも、しっかり9位につけ、「RAYBRIG NSX-GT」と駆る山本とバトンは、現在ランキングのトップに立っている。ウエイトハンデが厳しくなってきたため、逆にバトンの初優勝は遠のいてしまう可能性も出てきたが、このままコンスタントにポイントを稼いでいけば、ウエイトが半減される第7戦、オートポリスやノーハンデとなる最終戦、もてぎでとびっきりの笑顔が見られそうだ。
秦 直之
大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。
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