mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2019/10

S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年10月23日

高校選手権東京B2回戦 都立石神井×大成@駒沢第2

mas o menos
  • Line

石神井×大成.JPG

1980年代はベスト4の常連だった古豪が、初めての東京制覇を目論む新鋭と激突。都立石神井と大成の2回戦は、引き続き駒沢第2球技場です。

新チーム初の公式戦となった新人戦では、実践学園に食い下がりながらも1-2で惜敗。さらに年が明け、インターハイ予選でも結果的に二次トーナメントへ進出した多摩大目黒に、やはり0-1で惜敗を喫するなど、間違いなくその実力は強豪相手にも通用してきた2019年の都立石神井。今大会の1次予選は都立小平と都立久留米西を共に"ウノゼロ"で退け、挑んだ先週の2次予選初戦でも学習院に4-1で快勝を収めて、このステージまで。さらなる進撃を果たすために、この夏の全国出場校相手の一戦は超えるべきハードルです。

昨年の選手権予選、今年の関東大会予選と続けて代表決定戦で競り負けた経験値を纏い、挑んだインターハイ予選ではやはり代表決定戦で難敵の帝京をPK戦の末に撃破し、悲願の全国出場を勝ち獲った大成。ただ、乗り込んだ沖縄の舞台では名経大高蔵の前に突き付けられた初戦敗退。「インハイで全国を経験して、本当に何もできずに終わって、やっぱりあの経験をゼロにしたくない」とボランチの内田康平(3年・FC多摩)が言い切れば、「全国では自分の中では何もできなかったという感じがしたので、注目されたりしても、自分のやることは変えずに優勝したいと思います」と話すのは1年生守護神のバーンズ・アントン(1年・FCトリプレッタJY)。狙うは昨年果たせなかった頂点獲りのみ。そのために必要な目の前の1勝へ全力で向かいます。会場の駒沢第2には、午後に入ってさらに多くの観衆が。注目の80分間は石神井のキックオフで幕が上がりました。

「みんな硬くなっていた感じが凄くありました」とバーンズが話したように、大成もなかなか流れの中からは良い形を創り切れない中、セットプレーで窺う相手ゴール前。12分は大成。右からレフティの宮脇茂夫(3年・練馬三原台中)が蹴った右CKに、センターバックの金井渉(3年・FC多摩)が合わせたヘディングは、こちらも1年生守護神を務める石神井のGK大西真龍(1年・東京ヴェルディJY)がキャッチ。16分も大成。杉田健(3年・三菱養和調布JY)が入れた左ロングスローから、右サイドバックの今西奏真(3年・府ロクJY)が枠へ収めたシュートも大西がキャッチ。大成が手数を繰り出します。

17分は石神井。左サイドで得たFKを塚田隼(3年・フレンドリー)が蹴り込むも、バーンズがキャッチ。19分は大成。左から今西が蹴り込んだFKに、エアマスターの佐藤イライジャ(3年・FC GLORIA)が打ち下ろしたヘディングはゴール右へ。21分は石神井。後方からセンターバックの大橋翼(3年・石神井マメックスFC)が放り込んだFKは、杉田が丁寧にクリア。23分は大成。宮脇の右FKは、タイミング良く飛び出した大西ががっちりキャッチ。均衡は崩れません。

そんな中で先にスコアを動かしたのは石神井。26分。右サイドへ開いた岡澤樂(3年・足立第十一中)のクロスは、一旦大成ディフェンスが弾き返したものの、いち早く反応した岩浪涼祐(3年・Forza'02)は右足一閃。強烈なボレーで叩いたボールが、DFの人垣を縫うようにゴールネットへ飛び込みます。衝撃の先制弾にピッチの全員が駆け寄ってできた歓喜の大輪。石神井が1点のリードを手にしました。

「勝つために何をすべきかというのを向こうは徹底してやってきたと思うので、そういった部分ではウチもリスペクトして入った部分はあったんですけど」と豊島裕介監督も話した大成はビハインドを負う展開に。29分に右から宮脇が蹴ったFKは、大西が確実にパンチング。32分にも右サイドのCKを宮脇はショートで始めるも、大石勇冴(3年・FC多摩)はクロスまで持ち込めず。34分には宮脇の右足クロスがこぼれ、内田が叩いたシュートは枠の右へ。「前半は相手に飲まれる所があって、先制点も決められて、少し自分たちのサッカーができていなかった」とはその内田。右から相馬恒一(3年・府ロクJY)、大橋、牧野直人(3年・練馬中村中)、橋本翔真(3年・練馬中村中)で組んだ4バックも安定感を誇る石神井がアドバンテージを握った格好で、前半の40分間は終了しました。

後半はスタートから動いた豊島監督。ボールを受け切れなかった尾崎元(2年・FC GLORIA)に替えて、「フォワードとかサイドは競争が激しくて、すぐにスタメンが変わったりしているので、練習の時から良いプレーを見せられるように心掛けています」という平川優大(3年・調布第八中)をピッチへ送り出し、前線の推進力向上に着手。41分に阪口駿(3年・あきる野東中)の右ロングスローが大橋に、直後に杉田の左ロングスローが牧野に、45分に宮脇の右CKが橋本にすべて跳ね返され、46分に宮脇が直接狙った30m弱のFKも太西にキャッチされると、48分にも大石と片原崇也(2年・FC多摩)を入れ替え、一気に勝負を仕掛けます。

すると、48分に訪れたビッグチャンス。右サイドで奪ったFKを宮脇が丁寧に蹴り込み、エリア内でこぼれたボールを阪口は左足でフィニッシュ。枠へ向かったボールにDFが足を出すと、軌道が変わってゴールネットへ吸い込まれます。苦しんだ大成に明るく灯った1点。後半の早い段階でスコアは振り出しに引き戻されました。

追い付かれた石神井は52分に1人目の交替。前線で奮闘した吉田悠人(3年・レッドスターJY)を下げて、渡辺真人(3年・FC GABE)をピッチへ解き放つと、52分には橋本の左スローインから塚田がシュートを放つも枠の右へ。さらに大成は直後に3人目の交替として杉田と原輝斗(1年・FCクレセル)を入れ替え、前線を平川と原のコンビに託します。

そんな中で55分に飛び出したのは、「平川、原、片原の調子が正直良かったので、あそこは流れを変えてくれると信じていた」という指揮官の采配ズバリという勝ち越し弾。左サイドを片原が単騎で運び切り、中へ付けたボールを「自分が決めるって思ってはいましたけど、ここはもっと確実に行きたいなと」平川はもう1つ後ろへ。ここへ走り込んできた内田のシュートは、左スミのゴールネットを確実に射抜きます。「ばっちり繋がったというか、内田なら決めてくれるだろうと思ってました」と平川が話せば、「自分と目線が合ったので、打っても良かったと思うんですけど自分に出してくれて、アレは優大のおかげかなと思います」と内田も笑顔。大成が逆転に成功しました。

1点を追い掛ける石神井は続けて交替を。59分には先制弾の岩浪と阿部楓矢(3年・FC Consorte)を、63分にはボランチで効いていた吉野琉(3年・北区十条富士見中)と田中楓馬(3年・練馬関中)を入れ替え、攻撃のパワー向上に着手。65分には前線の大友良平(3年・Forza'02)を起点に阿部が右へ送り込み、渡辺が走るもオフェンスファウル。66分にも右から塚田がFKを蹴り込むも、大成の左サイドバックを任された加藤竜吾(3年・Forza'02)がきっちりクリア。「みんな硬くなっていた感じが凄くあって、ちょっと不安もあったんですけど、それが後半で解けたので良かったと思います」とはバーンズ。攻守にまとまりを取り戻した大成。

66分は大成に絶好の追加点機。1年生ながら10番を背負う原が左へ展開すると、片原がきっちりクロス。エリア内でマーカーを外そうとした阪口が倒れると、主審はPKというジャッジを下します。キッカーは阪口自ら。大西もコースは読んでいたものの、わずかにキックが上回り、揺れたゴールネット。「途中から入ってきた選手も躍動してくれて、そこで流れが変わったかなと思います」と内田も語った通り、途中出場の原と片原が絡んで生まれた3点目。両者の点差は2点に広がりました。

ゴール直後に大成は4人目の交替。加藤を下げて金井陸人(2年・三鷹F.A.)を投入する、この日初めての守備陣に施した交替策で、取り掛かるゲームクローズ。71分は石神井に4人目の交替。岡澤と池田優太(3年・杉並東田中)の交替で、より攻撃姿勢を鮮明に。73分は大成。今西が左から入れたCKは、ニアで田中がクリア。同じく73分も大成。阪口が右から打ち込んだシュートは大西が掻き出し、詰めた今西のシュートも太西がキャッチ。いよいよ最終盤。逃げ切りたい大成。追い付きたい石神井。

77分は石神井のセットプレー。塚田が蹴った右CKから、ルーズボールをボレーで叩いた田中のシュートはゴール左へ。78分も石神井。今度は左から塚田が入れたCKに、ここも田中が打ったシュートはDFに当たって枠の右へ。その右CKも塚田が蹴り込むと、大成ディフェンスは大きくクリア。アディショナルタイムは3分。白熱の2回戦もクライマックスへ。

80+1分は大成。原からパスを引き出した平川は、「ベンチスタートに少し悔しい気持ちはあるんですけど、チームのためになるなら相手が疲れた時に自分の足の速さをさらに生かせると思うので」というそのスピードからシュートを打ち切るも、再三好守を続けてきた大西がビッグセーブ。80+4分も大成。右からカットインした阪口のシュートがゴール右へ逸れると、程なくして吹き鳴らされた主審のファイナルホイッスル。「今日も驕るプレーが1つあったらやられちゃうチームなので、そこは徹底してやってくれるんじゃないかなと思います」と豊島監督も言及した大成が、ベスト8へと勝ち上がる結果となりました。

「実際の所、『全国に出ているチーム』という目で初めて見られるので、いつも僕らはチャレンジャーに変わりはないんですけど、相手の考え方も『今までとは違うな』というのは凄く感じます。そこはこっちが今まで経験できていない部分でもあり、これからは経験しなきゃいけない部分なので、彼らには夏からずっと『僕らはチャレンジャーだけど、向こうからするともっとチャレンジャーで来るよ』という話はずっと言ってきています」と豊島監督も語った大成は、おそらく既にどのゲームもリスペクトを受ける存在に。その中で今まで通りの内容と結果を打ち出せるかが、ここから先のステージに進めるかの大きなポイントであることは間違いありません。続けて豊島監督は「全国を経験して感じたものは、全国大会に出るのが目標だった所から、全国で勝てるチームを創りたいという所に変わったので、そこが本当に一番の大成高校の大きな財産だったと思います」とも。1年前はファイナルで屈した因縁の選手権予選。"昨年超え"を果たすために必要な勝利は、あと3つです。        土屋

  • Line