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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年09月16日

高円宮杯プレミアリーグ2019 EAST第13節 流通経済大柏×清水ユース@流経柏高G

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流経×清水.JPG

お互いに上を目指す意味でも、勝ち点3のみが求められる大事なキーゲーム。流通経済大柏高校と清水エスパルスユースの好カードは、流通経済大柏高校グラウンドです。

3試合未勝利で迎えた前節のジュビロ磐田U-18戦は、前半にPKで先制を許し、後半に一旦は勝ち越されたものの、終盤にオウンゴールで追い付くと、最後は90分に「気合だけは誰にも負けないです」と言い切る途中出場の櫻井俊英(3年・FCアビリスタ)が執念のダイビングヘッドを叩き込み、劇的な逆転勝利を収めた流通経済大柏高校。「あの勝ちで少し自信が付いたというのはあると思います」と藤井海和(2年・S.T.FC)も話した通り、ああいう勝ち方をさらなる自信に変えるためにも、次のゲームの勝敗こそがより重要になってくるだけに、絶対に負けたくないホームゲームに臨みます。

圧倒的な優勝候補と目されながら、勝ち切れないゲームが続き、6月のリーグ再開後も4分け1敗となかなか白星に恵まれない中で、ようやく前節は尚志にホームで3-2と競り勝って、8試合ぶりの勝利を手にした清水エスパルスユース。一気に浮上のきっかけにしたいアウェイゲームは、前日のトップチームのリーグ戦でベンチ入りを果たした川本梨誉(3年・清水エスパルスJY)と、U-17日本代表のエクアドル遠征から帰国したばかりの成岡輝瑠(2年・清水エスパルスJY)がベンチスタートとなりましたが、現状のメンバーで今シーズン2度目の連勝を奪いに行くべく、目の前の90分間へ向かいます。この日は流通経済大柏高校の文化祭ということもあって、会場の周囲にはいつも以上の観衆が。注目の一戦は13時ジャストにキックオフされました。

いきなりの先制弾は開始1分経たず。左サイドで流経が獲得したFK。スポットに立った大西悠介(3年・クラブ・ドラゴンズ柏)がインスイングの鋭いボールを蹴り込むと、突っ込んだ羽坂豪(3年・大阪市ジュネッスFC)の横をすり抜けたボールは、そのまま右スミのゴールネットへ滑り込みます。「触ってないです。でも、自分が突っ込まな入ってないですし(笑)、練習からあそこは自分も狙っているので、良い形で点が取れたかなと思います」と羽坂も笑った大西の直接FK。あっという間に流経が1点のリードを奪いました。

以降も続くホームチームのラッシュ。2分にはエリア右で収めた森山一斗(2年・大阪市ジュネッスFC)のボレーはゴール左へ外れましたが、11分にも森山は左サイドを運びながら枠の右へ外れるシュートまで。13分にも森山が左へ流し、三好麟大(2年・RIP ACE FC)のシュートはクロスバーにヒット。「立ち上がりは課題だったので、最初の10分で猛攻を掛けるという狙い」(羽坂)がハマり、押し込み続けます。

すると、次の得点もやはり流経。14分。GKの松原颯太(2年・RIP ACE FC)が絶妙のフィードを最後方から蹴り込むと、巧みな動き出しでラインの裏へ抜けた森山は右足一閃。強烈なボレーは、ゴールネットへ豪快に突き刺さります。「前半に毎回失点していて、追い付いて逆転するかしないかみたいな試合ばっかりだったので、前半にとにかくやろうというのを今週1週間ずっと言ってきた」と藤井も口にした狙い通りの連続得点。流経がリードを2点に広げました。

止まらない勢い。18分も流経。ピッチ右寄り、ゴールまで約25mの位置から羽坂が直接狙ったFKはカベにヒットしたものの、好トライ。直後の右CKを大西がグラウンダーで蹴り込み、ニアに走った上田海渡(3年・さいたま尾間木中)のシュートはわずかに枠の右へ逸れるも、デザインされたセットプレーを披露。19分にも大西の右CKを、根本泰志(2年・FC古河)が叩いたヘディングはゴール右へ外れましたが、「自分たちが思っていた通りの、完璧と言っていい立ち上がり」とキャプテンマークを巻いた渡曾武蔵(3年・ホペイロ刈谷)も表現する流経が攻め続けます。

さて、「『流経グラウンドの雰囲気は独特だよ』と。『強い気持ちを持ってやらないといけないし、平常心を持ってやらないと。相手の雰囲気に乗っちゃうとダメだよ』という話をしたんですけどね」と平岡宏章監督も話す清水は、前線に入った青島健太(2年・清水エスパルスJY)と千葉寛汰(1年・清水エスパルスJY)までボールが入らず、相手の圧力を跳ね返せない時間が続くと、28分にはキャプテンの五十嵐海斗(3年・清水エスパルスJY)が2枚目のイエローカードを提示され、退場処分に。やや厳しい判定ではありましたが、残された60分近い時間は10人での戦いを余儀なくされてしまいます。

平岡監督も30分に決断。青島健太を下げて成岡を投入し、4-4-1の布陣でバランスを整えると、34分にはセットプレーのチャンス。山崎稜介(3年・清水エスパルスJY)が粘って奪った右CKを成岡が蹴り入れ、飛んだノリエガ・エリック(3年・アリアンサ・リマ)のヘディングはクロスバーを越えましたが、ようやく記録されたファーストシュート。

36分は再び流経。大西の右CKから、根本が枠へ飛ばしたヘディングは清水のGK石井飛雄馬(3年・清水エスパルスJY)が丁寧にキャッチ。39分も流経。再び右から大西がCKを放り込むも、石井がきっちりキャッチ。42分も流経。右サイドバックの上田が推進力のあるドリブルで1人剥がし、上げたクロスはここも石井がキャッチしましたが、「前半は本当に100点に近いようなゲームができたと思います」と藤井。流経がゲームもスコアも支配する格好で、最初の45分間は終了しました。

「彼らに言ったことはセカンドボールを拾うことと、強い気持ちを持って戦うことと、あとは11人が1人いない分1.2倍走れという話をしただけ」という平岡監督は、ハーフタイムに怒涛の3枚替え。左サイドバックの鈴木瑞生(3年・清水エスパルスJY)、右サイドハーフの山崎、ボランチの中里圭佑(2年・清水エスパルスJY)を下げて、田島詳基(2年・清水エスパルスJY)、小川雄一郎(2年・清水エスパルスJY)、川本の3人を投入し、最終ラインに右からエリック、西島隆斗(3年・清水エスパルスJY)、田中芳拓(2年・清水エスパルスJY)を置いた3-4-2という、アグレッシブなシステムで後半へ向かいます。

後半開始と同時に踏み込んだアクセル。46分にいきなり川本がエリア内へドリブルで切れ込み、こぼれを狙った青島太一(3年・清水エスパルスJY)の左足シュートは枠を越えたものの、積極的なフィニッシュを取り切ると、47分にも左サイドから川本がGKのファンブルを誘う強烈なシュート。49分には小川が丁寧な右FKを蹴り入れ、ここは藤井がクリアしましたが、明らかに上がったオレンジのギア。

一方、数的優位の流経は53分に大西が右ショートコーナーで始めるも、ニアで森山はシュートまで行けず。56分にも渡曾が繋いだボールを、藤井は左からゴール右へ外れる惜しいボレーまで。58分には羽坂と伊藤勇輝(3年・クラブ・ドラゴンズ柏)をスイッチする1人目の交替を施すと、61分にはその伊藤が頭で残したボールをそのまま30mミドル。ボールはほんの少しだけ枠の右へ逸れましたが、前線起用に応えたい2番の惜しいシーンに沸き立つ応援席。

63分は清水に決定機。右のハイサイドで成岡が粘って獲得したCK。小川がピンポイントで蹴ったキックを、エリックが高い打点のヘディングで叩き付けたボールは右のポストを直撃し、混戦を制した千葉のヘディングは流経の左サイドバックを務める清宮優希(2年・Forza'02)が懸命にクリアしたものの、あわやというシーンに。直後にここも小川が入れた右CKがこぼれ、千葉の右クロスに飛び付いたエリックのヘディングはヒットせず、松原がキャッチしたとはいえ、セットプレーから清水が漂わせる得点の雰囲気。

「自分たちが狙っていた所であまり取れなくなってきて、そこからプレスもハマらなくなって、押し込まれる状況が続きましたね」と渡曾も話した流経は、何とか押し戻したい流れの中で、67分に左から大西が蹴り込んだCKに、センターバックの山尾永遠(3年・大阪市ジュネッスFC)が合わせたヘディングは石井がキャッチ。逆に70分は清水。エリックの好フィードから、川本が巧みなトラップで抜け出し、エリア内でマーカーともつれて倒れたものの、ノーホイッスルという判定。PKは与えられません。

71分は流経に2人目の交替。先制ゴールの大西に替えて、キャプテンの八木滉史(3年・FC多摩)をピッチへ。73分は清水。田島のキレ味鋭いドリブルで手にした右CK。小川のキックから、エリックのヘディングは清宮がきっちりクリア。74分も清水。田島の右ロングスローから、上がっていたエリックのミドルはゴール左へ。75分は流経。八木のパスを受け、「自分たちがやれることをやっていこうという話をしていた」渡曾がシュートを狙うもDFがブロック。76分は清水に最後の交替。千葉と東廉(2年・清水エスパルスJY)を入れ替え、最後の勝負に打って出ます。

81分は清水。小川の右CKにエリックが飛ぶも、「去年1番試合に出ていて、キャプテンは僕じゃないですけど、自分がキャプテンぐらいのつもりでやっています」という藤井が高い打点で競り勝ち、大きくクリア。直後に両足が攣って宇津木脩人(2年・ジェファFC)と交替しましたが、藤井が見せ続けたハイパフォーマンス。同じ83分に本田裕一郎監督は三好と橋本清太郎(1年・横浜FC JY)もスイッチして、取り掛かるゲームクローズ。試合は残り5分。最終盤の攻防へ。

85分は清水。エリックのフィードに、抜け出し掛けた青島太一がエリア内でマーカーともつれるも、ここもノーホイッスル。88分は流経。左サイドを橋本が単騎で運んで中へ折り返し、伊藤が迎えた決定的なシュートは、石井が超ファインセーブで回避。直後の右CKも八木のキックを、根本と山尾が頭で残すも石井がキャッチ。90+3分は清水にセットプレーのチャンス。小川が右CKを蹴り込み、エリア内で川本が倒れると、笛を吹いた主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーは青島太一。左スミへ打ち込んだキックが揺らしたゴールネット。2-1。土壇場で両者の点差はわずか1点に。

90+4分のラストチャンスは清水。青島太一が右へ振り分け、小川のクロスに後方から試合のリズムを変えた成岡が果敢に飛び込むも、当てたボレーが枠の右へ外れると、しばらくして聞こえたファイナルホイッスル。「失点をしても『絶対勝ちたい』という気持ちだけは、どのチームよりも持っていたと思うので、その気持ちだけで正直勝ちになったかなと思います」と渡曾も話した流経が、今シーズン初の連勝を飾る結果となりました。

「もう少し早い段階で1点取れている形もありそうな雰囲気でしたし、僕は1人少なかろうが逆転しようと思っていました。あと、彼らに言ったのは『こういうシチュエーションを楽しんで、こういうのを勝てるようになったら本物だよ』という話をして、残念ながらそこまでは行かなかったですけど、最後まで何とか諦めずにやったということは評価できると思います」と平岡監督も話した清水は、ややアンラッキーな数的不利の状況にも、後半は明らかにペースを握り返すなど、実力の一端はしっかり見せながらも結果は黒星という格好に。引き分けもリーグ最多の6と、前述したように勝ち切れない試合が続く中で、「可能性はゼロでない限り、上を追い掛けていきたいと思いますし、まずは当然残留することが大事ですけれども、下を見ずに上を目指していきたいと思っています」という指揮官の言葉を、残り5試合でどう体現していくか。彼らの真価が問われています。

「後半は相手が10人になった中、それで逆に難しくなったというか、前半と全く違うチームみたいなサッカーになってしまったので、スタミナだったり、そういう所で課題はあるのかなと思います」と藤井も話した流経は、それでも相手の猛攻を1失点に抑えての連勝。残留という意味でも、この"勝ち点6"が非常に大きな上積みであることは間違いありません。特に磐田戦の勝利を経て、「チームの練習の雰囲気がちょっと変わってきて、先頭に立つ人は同じかもしれないですけど、その横で今まであまり声を出していなかったヤツからの『もっと強く行こうよ』みたいな声かけが増えてきているのは、良い傾向になってきていると思います」と渡曾が口にしたように、チームの雰囲気もより良化してきている様子。「目標は選手権優勝なんですけど、それまでを大事にして、プレミアも『残留できたらいいや』とかじゃなくてそこの勝負所を勝っていくにつれて選手権に繋がるので、そこは一戦一戦大事にしていきたいです」とは羽坂。勝負強さが返ってきつつある流経のここからにも、大いに注目したいと思います。        土屋

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