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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年06月11日

インターハイ東京2回戦 堀越×関東第一@駒沢第2

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堀越×関東第一.JPG

第1試合同様に近年のトーナメントでは、大事なステージで対峙してきた両チームの激突。堀越と関東第一の2回戦は、引き続き駒沢第2球技場です。

昨年は選手権予選でベスト8まで勝ち上がり、最後は帝京に惜敗を喫したとはいえ、改めてその実力の一端を示した格好になった堀越。迎えた新チームは関東大会予選で東海大高輪台、國學院久我山と好勝負を演じ、一定の手応えを掴んでみせると、今大会は一次トーナメントで大森学園を3-1、都立小松川を7-0で下して、二次トーナメントまで。難敵相手の一戦にも「この試合に向けてチームとしてトレーニングしてきた」とはキャプテンの坂本琉維(3年・ジョカーレFC)。ここで大会を去るつもりは毛頭ありません。

兵庫県で開催されたインターハイで並みいる強豪を蹴散らし、ベスト4まで駆け上がったのは2015年。それから4年連続で夏の全国出場権を獲得するなど、トーナメントで力を発揮してきた関東第一。ただ、昨年度の選手権予選では初戦で東京実業にPK戦で屈し、春の関東大会予選では準決勝で國學院久我山に延長で競り負けるなど、2大会続けて東京の代表権を逃す格好に。「歴代の先輩たちは、そういう所を拾って拾って勝ってきた」と口にするのは佐藤誠也(3年・VIVAIO船橋)。ここからはすべて"そういう所"。今年のチームの真価を発揮したい一戦です。好カードということもあって、スタンドにはかなりの数の観衆が。楽しみな80分間は12時30分にキックオフされました。

「前日のトレーニングも自分たちがボールを持たれる設定からのリアクションのトレーニングをしてきた中で、自分たちが結構ボールを持てるとは思っていなかった」と坂本が話したように、序盤からポゼッションで上回ったのは堀越。井上太聖(2年・インテリオールFC)と馬場跳高(2年・バリオーレ日の出)のセンターバックコンビがボールを動かしつつ、坂本と宇田川瑛琉(1年・東京ヴェルディJY)のドイスボランチも左右に配球。10分には左サイドを運んだ日野翔太(2年・FC町田ゼルビアJY)が、そのまま放ったシュートはゴール左へ外れましたが、14分にも堀田五月馬(2年・横浜F・マリノスJY)の右クロスを齊藤篤史(3年・AZ'86東京青梅)が落とし、日野の左足シュートはヒットしなかったものの、まずは堀越が攻撃の時間を創ります。

一方の関東第一は右から横山慎也(3年・ブリオベッカ浦安U-15)、鹿股翼(2年・東急SレイエスFC)、田中大生(3年・横浜FC JY)、弓氣田葵(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)で組んだ4バックを比較的後ろで構えさせつつ、佐藤を中央に右へ類家暁(2年・東京ベイFC U-15)、左へ笠井佳祐(2年・VIVAIO船橋)を配した中盤もスライドしながら、まずは守備に軸足を。15分にはセンターフォワードに入ったルーキーの熊田龍輝(1年・東京武蔵野シティFC U-15)が中央を進み、枠へ収めたシュートは堀越のGK榎本将之(3年・FC.Branco八王子)がキャッチ。直後も横山の仕掛けで得た右CKを弓氣田が蹴り込み、ファーで鹿股が合わせたヘディングはゴール右へ。先制とは行きません。

23分は堀越。「右サイドの堀田が前半はかなり優位性を取っていましたね」と坂本も口にした堀田の右クロスに、齊藤が突っ込むもわずかに届かず。25分も堀越。左に開いた齊藤がボレーで叩いたシュートは関東第一のGK出口貴也(3年・葛飾青葉中)がしっかりキャッチ。27分は堀越に決定機。相手のミスを拾った若松隼人(2年・田無第一中)が打ち切ったミドルは、出口がファインセーブで何とか回避。続く堀越の攻勢。耐える関東第一。

28分も堀越。日野が蹴った右CKを齊藤が頭で逸らし、坂本が蹴ったシュートはDFが体でブロック。32分も堀越にセットプレーのチャンス。ここも右CKを日野が蹴り入れると、ルーズボールに反応した魚崎由暉(3年・三菱養和調布JY)の左足シュートはクロスバーの上へ。「こういうのも状況的にあるなというのは想定の中にありましたけど、お互い動かないような試合でしたね」とは堀越の佐藤実監督。前半の40分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。

後半スタートから動いた関東第一ベンチ。左ウイングのスタメンに抜擢された坂井航太(1年)に替えて、藤井日向(1年)を類家と並ぶドイスボランチの一角に送り込み、右サイドハーフに貝瀬敦(3年・田口FA)、左サイドハーフに笠井、前線に佐藤と熊田を置いた4-4-2にシフトして、攻守のパワーアップに着手します。

44分は堀越。若松がきっちり落とし、エリア外から日野が狙ったシュートはゴール左へ。52分は関東第一。貝瀬のドリブルから奪った右CKを弓氣田が蹴るも、シュートには至らず。56分も関東第一。佐藤が蹴り込んだ左FKから、ファーに走り込んだ鹿股は少し届かずゴールキックに。「ボランチ2枚の受ける位置を相手のフォワードのすぐ背後にして、トップ下をまず空けようという話になった」と坂本も話した堀越は、その2トップ下に配した日野の受ける回数が増加したことでサイドアタックも同時に増加。手数とは裏腹に少しずつ手繰り寄せるゲームリズム。

60分は関東第一に2枚替え。佐藤と熊田を下げて、太田樹(3年・フレンドリー)と安藤慎之助(2年・VIVAIO船橋)を送り込み、さらに選手の配置を変えながら、何とか取り戻したい自分たちの流れ。66分は堀越に1人目の交替。「後半は少し相手も堀田のスピードはケアしてきたので、時間を作れる市村を入れました」と坂本が話したように、右ウイングバックを堀田から市村大基(2年・FC府中)にスイッチして、狙う右の推進力アップ。67分には堀越に決定的なチャンス。日野の右CKから、坂本が打ち切ったボレーはクロスバーと左ポストの"カドカド"にハードヒット。スコアは動きません。

同時に切り合うカード。72分は堀越が2枚目。躍動したルーキーの宇田川を下げて、齋藤光(2年・東京武蔵野シティFC U-15)をそのままボランチへ。関東第一は4枚目。菅原涼太(2年・SCH)を最終ラインに送り込み、鹿股が左サイドバックに、弓氣田が左サイドハーフにそれぞれスライドして最後の勝負へ。77分は堀越。左ウイングバックを務める花枝龍之介(3年・あきる野FC)とのワンツーでサイドを抜け出した齊藤篤史のクロスに、最後は坂本が合わせたボレーはゴール左へ。80+2分は堀越に決定機。日野の丁寧な右CKに、高い打点で合わせた井上のヘディングは左スミを襲うも、ここは出口がファインセーブで仁王立ち。80分間では決着付かず。ベスト8への進出権は前後半10分ずつの延長戦へと委ねられることになりました。

堀越のキックオフで開始された延長戦も前半はお互いにシュートなく、勝負の行方は後半の10分間へ。91分は堀越。坂本を起点に市村が右へ付けると、後半終了間際に投入されていた片山信歩(3年・CHUO sports Academy)のクロスは、よく戻った類家が決死のクリア。93分も堀越。右サイドで獲得したFKを日野が蹴るも、悪くない軌道はそのままゴールキックへ。94分は関東第一に最後の交替。沼田晃将(2年・東京武蔵野シティFC U-15)をピッチに解き放ち、整えた全体のバランス。決してうまくはいかない展開の中でも、関東第一が数々の策を講じながら保ってきた均衡。残りは5分。正真正銘のラストバトル。

狂喜の時は95分。再び右サイドで手にしたFKのチャンス。キッカーはここも日野。「その前にも日野が良いボールを入れていて、あそこは相手も付き切れていなかったので、もしかしたら同じようなボールが行ったらチャンスになるかなと思っていた」という坂本の思惑通り、日野の蹴った軌道はゴール前を横切ると、混戦の中からファーサイドに突っ込んだ花枝がプッシュ。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。その瞬間。沸騰した堀越イレブンとベンチとスタンド。「セットプレーは入り方も練習してきていたので、その成果が出たかなと思います」と坂本も笑ったこのゴールが劇的な決勝弾。長谷川遥輝(3年・東京ヴェルディJY)と中村ルイジ(1年)を交替カードとして使い切り、きっちりゲームクローズにも成功した堀越に軍配。5連覇を狙った関東第一を延長戦の末に退け、準々決勝へと駒を進める結果となりました。

「今年はある程度みんなでサッカーも理解していきながら戦う、相手も見ながら戦う、みたいな所は常にミーティングだったりでできているので、そういう所の大崩れの仕方はあまりないかなと思っています」と佐藤監督も言及したように、堀越は終始ピッチとベンチがうまくシンクロしていた印象です。「今日はベンチに、リーダー格の選手で今はケガしてしまってやれていない前田(晃侑)を入れたんですけど、そういった選手の意見だったり、蔵田先生の意見もしっかり採り入れつつ、最終的に決定する判断は中なので、自分や魚崎やフォワードの齋藤がしっかり揉んで、そこで交替を決めるという感じです」とは坂本。選手主導の中に指導陣の意見も例年以上にうまく取り込んで、ゲームの中で柔軟にいろいろなことを決定していくシステムも、非常にうまく回っていたのかなと。次の相手は同じT2所属の大成。「自分たちは新チームが始まった時に、東京制覇という目標を掲げて1月からスタートしてきたので、そこに今日勝ったことで少し近付けたかなと。まずは次、大成に勝つということを目標に1週間トレーニングしていきたいなと思います」と言い切った坂本。彼らの掲げる"目標"は手の届く位置まで近付いてきています。        土屋

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