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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年06月21日

インターハイ東京準々決勝 大成×堀越@駒沢第2

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大成×堀越.JPG

目の前に立ちはだかってきた壁を一気に乗り越えたい両雄が、東京のベスト4を巡って対峙するビッグマッチ。大成と堀越の準々決勝は、引き続き駒沢第2球技場です。

昨年度の選手権予選。今年度の関東大会予選。共に代表決定戦まで駒を進めたものの、どちらもそのステージでの敗退を経験した大成。「選手権の決勝に行った時から『オレらは行ける』という想いはチーム全体にあるので、もう自信しかないです」という佐藤イライジャ(3年・FC.GLORIA)の力強い言葉を証明するかのように、一次トーナメントの日大鶴ヶ丘戦を6-0で勝ち上がると、二次トーナメント初戦でも難敵の実践学園を、内田康平(3年・FC多摩)の決勝ゴールで1-0と撃破。「手応えはあるんですけど、結果はあと一歩で全部止まっていて、そこで負けていたら何も去年と変わっていないので、それを変えるために何をするかが大事だと思っています」とは宮脇茂夫(3年・練馬三原台中)。さらなる変化を進化と結び付けるべく、重要なクォーターファイナルへ向かいます。

関東大会予選では初戦で激突した東海大高輪台を2-0で打ち破り、2回戦では優勝した國學院久我山に0-2で敗れたものの、今シーズンのチーム力に確かな手応えを掴みつつある堀越。迎えた今大会も大森学園に3-1、都立小松川に7-0ときっちり勝利を収めると、二次トーナメント初戦では大会5連覇を狙う関東第一を終始押し込みながら、最後は延長後半に花枝龍之介(3年・あきる野FC)が決勝ゴールを叩き出し、この準々決勝まで。「『東京を制覇するんだ』という目標設定で、その中の逆算で『今何ができるのか』『今どうしていくべきなのか』とやっているので、確実にその部分に関しては、やってきたプロセスに対して価値を付けて、結果にも少し価値が付き出したというようなイメージですね」とは佐藤実監督。明確な目標を達成するまでに必要な勝利はあと3つです。駒沢は午後になっても変わらぬ強い雨脚。寒さも感じるようなコンディションの中、堀越のキックオフでゲームはスタートしました。

「立ち上がりがあまり自分のペースも良くなくて、チーム全体のペースも悪かったですね」と佐藤も話したように、序盤は堀越が丁寧なパスワークでリズムを掌握。宇田川瑛琉(1年・東京ヴェルディJY)と坂本琉維(3年・ジョカーレFC)のドイスボランチを中心に、左右へボールを振り分けながら攻撃のテンポを創っていきます。

逆に「相手のパス回しに自分たちが行き切れなくて、少しやられていて後ろ気味になってしまったかなと思います」とキャプテンの杉田健(3年・三菱養和調布JY)も振り返った大成は、なかなか良い形で前の4枚がボールを受けられず、攻撃が停滞気味に。22分には宮脇が40m近いミドルを狙ったものの、ボールは枠の右へ。26分にも中央やや右寄り、ゴールまで約25mの位置から宮脇が直接狙ったFKもカベにヒット。決定的なシーンは生み出せません。

31分は堀越。10番を背負う日野翔太(2年・FC町田ゼルビアJY)のセットプレーはDFのクリアに遭い、坂本がダイレクトで叩いたボレーはゴール左へ。38分も堀越。ここも日野の右CKから、再びこぼれを拾った坂本のミドルはゴール右へ。「とりあえず前半は失点しないで0-0で折り返そうかなと思っていた」という佐藤と金井渉(3年・FC多摩)の鉄板コンビに、右が加藤竜吾(3年・Forza'02)、左が金井陸人(2年・三鷹F.A.)という大成の4バック、魚崎由暉(3年・三菱養和調布JY)、井上太聖(2年・インテリオールFC)、馬場跳高(2年・バリオーレ日の出)で組んだ堀越3バック、双方のディフェンスラインが慎重に相手を最終局面まで至らせなかった前半は、スコアレスで40分間が終了しました。

後半はスタートから大成に交替が。負傷を抱えていた右サイドハーフの今西奏真(3年・府ロクJY)を下げて、阪口駿(3年・あきる野東中)をピッチへ送り込み、着手したサイドの推進力アップ。46分は大成。右から宮脇が蹴ったFKは球足が伸びてゴールへ向かうも、堀越のGK榎本将之(3年・FC Branco八王子)が懸命に弾き出し、ボールはクロスバーにヒット。49分は堀越。左から日野が蹴ったFKは、佐藤が大きくクリア。51分は大成。杉田の左ロングスローから、金井陸人が放ったミドルは枠の左へ逸れるも、動き出したゲーム。漂う変化の予兆。

53分の歓喜は紫の古豪。左サイドへの展開から花枝がクロスを上げると、反応した日野が左足で打ち切ったシュートはDFに当たって少しコースを変えながら、そのままゴールネットへ吸い込まれます。「『自分たちトップチームの選手も責任を伴っている』ということも話をしましたし、下のカテゴリーの選手にも『自分たちは必死でやっているから、しっかりとしたサポートで1つになって戦ってほしい』ということを言って、少しずつチームが成長してきていると思います」と坂本も話したように、スタンドも含めたチーム全員がこの一撃で沸騰。堀越が一歩前に出ました。

「ちょっと失点の仕方は自分たちで招いた部分がありましたね」と豊島裕介監督も話した大成は、56分に1人目の交替。最前線で奮闘した平川優大(3年・調布第八中)に替えて、実践学園戦でも好リズムを生み出した尾崎元(2年・FC.GLORIA)をピッチへ。60分は堀越に追加点機。日野が蹴った左FKはゴールへ向かうも、ここは必死に戻った金井渉がライン上でスーパークリア。62分は双方に交替が。大成はドリブラーの大石勇冴(3年・FC多摩)と片原崇也(2年・FC多摩)を、堀越は右サイドの堀田五月馬(2年・横浜F・マリノスJY)と市村大基(2年・FC府中)をそれぞれスイッチする一手を講じます。

62分に飛び出したのは豊島監督が「ここ最近で成長してきた選手なので、今日は自信を持って入れました」と口にしたストライカーのスーペルゴラッソ。内田からのパスを中央で引き出した尾崎は、「自分はそんなに技術がなくて、雨で滑ったからボールを前に流したら、スピードもそんなにないので『追い付けなくなりそうだな』と思って、まずは止めて。その後にサイドハーフが上がってきて『出そうかな』と思ったんですけど、それにディフェンスが釣られたのでシュートを打ちました」と右足一閃。パーフェクトな軌道を描いたボールは、右スミのゴールネットへ美しく飛び込みます。「自分でもビックリしました(笑) 練習でも1回もあんなシュート打ったことないので、メッチャ気持ち良かったです。あんなの人生で一度あるかないかです」と本人が笑えば、中学時代の先輩に当たる佐藤も「スーパーでしたね。彼からはあまり想像できない感じのシュートなんですけど」と笑顔。尾崎の衝撃弾で大成がスコアを振り出しに引き戻しました。

丁寧に守ってきた堅陣を打ち破られた堀越は、67分に2人目の交替。ルーキーの宇田川と齋藤光(2年・東京武蔵野シティFC U-15)をスイッチして中盤の強度アップを図るも、直後は大成にチャンス。内田のパスから尾崎が抜け出すも、井上が力強くカット。71分も大成。杉田が左ロングスローを投げ込み、拾った片原のシュートは枠の上へ。72分は堀越に3人目の交替。体を張り続けた若松隼人(2年・田無第一中)を下げて、片山信歩(3年・CHUO sports Academy)を送り出す勝負の采配を。残りは5分間とアディショナルタイムのみ。

75分は大成。内田が思い切りよくスルーパスを通し、走った片原は抜け出し掛けるも、榎本がジャストのタイミングで飛び出してシュートを打たせず。77分も大成。宮脇がFKを蹴り入れ、混戦の中から金井渉のシュート態勢がオフェンスファウルに。80+5分は堀越が日野と花枝の連携でCKを奪うも、左から日野が蹴った軌道の先でオフェンスファウル。直後に大成が加藤と丸山大哉(3年・FCトレーロス)を4人目の交替として入れ替えると、ここで後半終了の笛が。両者譲らず。ベスト4への進出権獲得は前後半10分ずつの延長戦へ持ち越されます。

81分は大成。宮脇の右CKはDFが大きくクリア。85分も大成。杉田が左へ短く付け、片原が果敢に打ったミドルはクロスバーの上へ。86分は堀越に4人目の交替。鉄壁の一翼を担った馬場に替えて、ルーキーの中村ルイジ(1年)がピッチへ。87分は大成。左からピッチコンディションも生かした低空ミドルを宮脇が放つと、GKが弾いたボールを尾崎がゴールへ流し込むも、副審のフラッグが上がってオフサイドの判定が下され、勝ち越しとは行きませんでしたが、"正真正銘"はそのすぐ後に。

90+2分。右サイドで手にしたCK。キッカーの宮脇が得意の左足で蹴ったボールはファーへ。待っていた金井渉が丁寧に頭で折り返すと、「たまたまそこに僕がいた感じでしたけど、チームとしては狙う形になっていました」と振り返る佐藤が強烈なヘディング。クロスバーを叩いたボールは、バウンドしながらゴールネットへ弾み込みます。実は59分に今大会2枚目のイエローカードをもらっていたことで、勝っても次は出場停止だったセンターバックが大仕事。「イエローをもらった瞬間に『ああっ...』ってなりましたけど、あそこはねじ込んだ感じです。気持ちで持っていきました」と笑った佐藤が見せた執念の一撃。大成が延長で逆転に成功しました。

攻めるしかなくなった堀越は92分に最後の交替。宇賀神遥大(3年・JACPA東京FC)を最終ラインに送り込み、長身センターバックの井上を齋藤篤史(3年・AZ'86東京青梅)と前線に並べて最後の勝負へ。94分には後方から日野がFKを蹴り込むも、シュートには至らず。99分にも市村のフィードから、井上が大成のGK高田龍太郎(3年・FC.GLORIA)と競り合うも、ボールはゴール左へ。100+1分にも日野が右へ振り分け、花枝がグラウンダーのクロスを入れ切り、井上のシュートは金井渉が気合でブロックし、日野のシュートも金井渉が気合のブロックで弾き出すと、程なくして曇天の駒沢の空に吸い込まれたファイナルホイッスル。「とにかく気持ち良かったですね。『ああ、勝った』という。最後の最後で、延長でイライジャがああいう点を決めてくれたことは、チームとしても強くなったという実感があります」と杉田も手応えを語った大成が、全国出場へ王手を懸ける結果となりました。

決勝ゴールの佐藤は前述したように、このゲームで今大会2枚目のイエローカードをもらってしまい、大事な大事な準決勝は出場停止となりました。それでも、「次が出場停止というのもあって、感情が上がっちゃたんですけど、『何かできることがないかな』と思ったら、ゴールしかなかったですね」との言葉通り、チームを大事な次のステージへと導く決勝ゴールを叩き出し、あとは悲願達成をチームメイトに託します。「ウチは大事な所で勝ち切れてないという所が課題で、これから1週間の過ごし方にポイントがあって、行けるか行けないかはそこの差で決まると思います。僕はサポートという形になると思うんですけど、準決勝をやった後にも決勝で試合はあるので、そこに向けての準備を兼ねて、次の試合でみんなのサポートになれたら十分です」。佐藤の想いも背負い、大成が初の全国大会出場を懸けて挑む相手は、復権を期すカナリア軍団です。          土屋

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