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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年05月21日

インターハイ東京一次トーナメントEブロック2回戦 東京朝鮮×早大学院@駒沢補助

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0521komaho1.JPG東京のインターハイ予選もいよいよ関東大会予選の上位進出校が登場。悲願の全国を狙う東京朝鮮に早大学院が挑む形の一戦は駒沢補助競技場です。
関東大会予選は日大鶴ヶ丘、東京実業、帝京と難敵を相次いで撃破してベスト4進出。最後は関東第一に0-4で屈し、本大会出場には届かなかったものの、その2週間後にT1リーグで実現した関東第一とのリターンマッチには、リ・リョンジェ(3年・東京朝鮮第一中)の決勝ゴールで1-0と競り勝ってリベンジ達成。姜宗鎭監督も「関東大会予選でだいぶ自信が付いたと思います」とチームに一定の手応えを感じている中、「インターハイも選手権も全国に出て、東京朝高の名前をもっと全国に知らしめたいと思っています」とリ・ヒョンジェ(3年・東京朝鮮第一中)が口にしたチームの目標に向かうためのファーストマッチに臨みます。
インターハイ予選は支部予選を勝ち抜きましたが、一次トーナメント初戦で敗退。選手権予選は1次予選の決勝で都立紅葉川との撃ち合いに3-4で敗れ、都大会進出はならなかった昨シーズンの早大学院。迎えた今シーズンは新人戦こそ地区大会ベスト8に終わり、関東大会予選の進出権を逃したものの、今大会は支部予選の初戦と2回戦で合わせて16得点を叩き出すと、T3リーグ所属の日大三を延長の末に下して、昨年同様に一次トーナメントまで。さらに先週のゲームも日大鶴ヶ丘を3-1で振り切って、堂々とこのステージへ。「これといってスターはいないですけど、みんなで一丸となってやれるチーム」と自らの教え子たちを評するのは九里孝監督。持てるものをフルに出し切る覚悟は整っています。既に10時の時点で駒沢は初夏を通り過ぎて真夏の装い。楽しみなゲームは早大学院のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは早大学院。4分に中盤で渡邉悠大(3年)が残したボールを、千田遼太郎(3年)は思い切り良くミドル。軌道はゴール右へ逸れましたが、いきなり果敢なチャレンジを敢行すると、7分にも左サイドを抜け出した千田はカットインから枠内シュート。ここは東京朝鮮のGKチュウ・サンホン(3年・神奈川朝鮮中)がキャッチするも、まずは「入りは良かったと思います」と九里監督も認めたように、早大学院が手数を繰り出して立ち上がります。
さて、やや出鼻をくじかれた格好の東京朝鮮も15分に決定機。左からホン・リジン(2年・東京朝鮮第一中)が蹴ったCKはファーまで届き、フリーで待っていたチョン・ユギョン(2年・東京朝鮮第一中)のヘディングはわずかに枠の右へ外れましたが、一発で相手に突き付ける鋭い切先。18分には右からムン・インジュ(3年・埼玉朝鮮中)がCKを入れると、チョン・ユギョンのヘディングはヒットしなかったものの、19分にもホン・リジンの左CKをファーでチョン・ユギョンが折り返した流れは、中央でオフェンスファウルを取られるも、こちらはチョン・ユギョンの高さで惜しいシーンを続けて。
ただ、以降もペースは早大学院。23分に宮脇昇汰(3年)が右へ振り分け、有田恭輔(3年)のクロスに突っ込んだ千田のヘディングはゴール右へ。24分にも相手ボールを奪った佐久間辰之輔(2年)が左サイドを単騎で運び、エリア内で放ったシュートはリュウ・ユウォン(3年・千葉朝鮮中)が何とかタックルで回避。26分は決定的なチャンス。左から工藤大拓(3年)が入れたCKがこぼれると、山本遼太郎(3年)が右スミギリギリへ飛ばしたボレーは、チュウ・サンホンが懸命のファインセーブで応酬しましたが、「もっと苦しい展開になると思っていたんですけど、意外とこっちも何個かチャンスを創れた」とはセンターバックを任されたキャプテンの北良祐(3年)。早大学院に漂う先制の香り。
29分は東京朝鮮。ムン・インジュのスルーパスから、プ・チウ(3年・東京朝鮮第五中)が打ったミドルはわずかにクロスバーの上へ。31分は早大学院。左サイドで前を向いた田附将史(3年)が裏へ落とし、走った佐久間の1対1はチュウ・サンホンがファインセーブ。35分も早大学院。工藤の右FKを北と田附が残し、山本が枠へ収めたシュートはリュウ・ユウォンが頭でブロックするも、依然として変わらないゲームリズム。
訪れた歓喜の瞬間は前半終了間際の40分。ここも工藤が正確なFKを左から打ち込むと、中央で生まれた混戦から宮脇はシュートを打ち切れなかったものの、ルーズボールに素早く反応した千田がプッシュしたボールは、ゴールネットへ飛び込みます。「今までの試合も決定機を全部決めてきた訳ではないし、こういう展開には慣れている」と北も口にした通り、やや押し気味の展開にも焦れずに攻め続けた早大学院が1点のリードを奪って、最初の40分間は終了しました。


後半の立ち上がりはお互いにセットプレーで窺う相手ゴール前。45分は東京朝鮮。左からキム・ヒョンジュン(2年・東京朝鮮第一中)が入れた得意のロングスローは有田がクリア。49分も東京朝鮮。ホン・リジンの左FKはDFが大きくクリア。同じく49分は早大学院。工藤の右FKはDFが確実にクリア。52分は東京朝鮮。チョン・ユギョンが左のハイサイドにフィードを落とし、走ったプ・チウのボレーは早大学院のGK高橋収平(3年)ががっちりキャッチ。54分は早大学院。右サイドをドリブルで運んだ工藤が中へ付け、千田のミドルは枠の上へ。流れの中から出し合う手数。
先にベンチが動いたのは東京朝鮮。57分にフォワードから右サイドハーフへ移っていたリ・リョンジェに替えて、キム・セリュン(3年・東京朝鮮中)をそのままの位置へ送り込み、直後にキム・ヒョンジュンの右ロングスローからホン・リジンの左足ミドルが枠の左へ外れると、62分にはリュウ・ユウォンとキム・リキ(3年・神戸朝鮮中)をスイッチして、整える全体のバランスと増強したい前への推進力。62分にホン・リジンが蹴り込んだ左CKを、チョン・ユギョンが頭で叩くも枠の右へ。なかなかスコアを振り出しに引き戻せません。
早大学院も63分に1人目の交替。先制弾を含めて積極的な姿勢の目立った千田を下げて、遠藤英彰(3年)をピッチヘ。「ハーフタイムに戻ってきた時、選手は『やれる』と言っていたので『じゃあ行け!』と送り出した」(九里監督)という選手たちの切れない集中力。67分にキム・ヒョンジュンが投げた右ロングスローを掻き出すと、直後にもムン・インジュの右FKを拾ったホン・リジンが左クロスを入れるも、田附が丁寧にクリア。0-1のままで残り時間は10分間とアディショナルタイムへ。
早大学院が相次いで切った2枚のカード。72分に有田を菊川奎介(3年)へ、74分に田附を宮本悠希(3年)へそれぞれ入れ替え、負担の大きかったサイドへ確かな蓋を。さらに77分には右サイドを駆け上がった宮脇が、枠の右へ逸れるシュートまで打ち切って消費する時間。河野恵也(3年)、北、山本の3バックと守護神の高橋を中心に、ゴールへ鍵を掛ける早大学院ディフェンス。いよいよ熱戦もクライマックスへ。
追い込まれた東京朝鮮が掴んだ千載一遇の同点機は80分。ムン・インジュが右から蹴ったCKに、飛び込んだキム・リキのへディングは枠の左へ外れましたが、その競り合いの中でファウルがあったと主審は判断し、東京朝鮮にPKがあ与えられます。早大学院にとってはやや厳しい判定。この土壇場でキッカーに名乗り出たのはキャプテンマークを巻くハン・ヨンギ(3年・東京朝鮮第一中)。凄まじい緊張感の中、ハン・ヨンギがきっちり収めたのは左スミのゴールネット。さらに80+2分にはチョン・ユギョン、直後にもキム・セリュンに決勝弾のチャンスが訪れるも、ここは高橋がどちらもファインセーブで逆転は許さず。東京朝鮮が執念を見せ付ける格好で、ゲームは前後半10分ずつの延長戦へともつれ込むことになりました。


わずかな休息を経て、東京朝鮮のキックオフで幕が上がった延長戦。82分は早大学院。右サイドから宮脇が持ち込んだフィニッシュはチュウ・サンホンがキャッチ。84分は東京朝鮮の決定機。ホン・リジンのループスルーパスにムン・インジュがフリーで抜け出すも、1対1は飛び出した高橋がファインセーブで仁王立ち。その左CKをホン・リジンが蹴り込み、こぼれを収めたホン・リジンの巻いたミドルは枠の右へ。87分も東京朝鮮。右からサイドバックのチョン・リュンギョン(3年・東京朝鮮中)が狙ったミドルは高橋がファインセーブ。高橋の好守でスコアは動かず、残されたのは延長後半の10分間のみ。
勝利目前での同点劇を受けて、「まだ負けた訳ではないので、『頑張ろう』とみんな言っていたんですけど、実際はみんなちょっと『ウッ』てなっちゃっていました」と北も素直に明かした早大学院は我慢の展開に。延長後半開始の91分には佐久間に替わり、堤真聖(3年)が「行くぞ!行くぞ!」という元気な掛け声と共にピッチヘ。すると、98分には早大学院にビッグチャンス。高精度キックを蹴り続けた工藤の右FKを北が懸命に残すと、山本はすかさずバイシクル。それでもここもチュウ・サンホンがこの日3本目のファインセーブで何とか凌ぎ、これがこのゲームのファイナルシュート。両雄譲らず。勝敗の行方はPK戦へと委ねられることになります。


先攻はコイントスで勝った早大学院。1人目の北は「何も考えないで、スッと置いて早く蹴っちゃおうと」左スミへきっちり成功。後攻の東京朝鮮1人目はハン・ヨンギ。この日2本目のキックは試合中と逆の右スミへ確実に成功。早大学院2人目は渡邉。左スミを狙ったキックはチュウ・サンホンもわずかに及ばず。東京朝鮮2人目はムン・インジュ。得意の左足から左スミへ蹴ったキックは高橋もわずかに及ばず。2-2。PK戦でもなかなかスコアに差が付きません。
早大学院3人目は宮脇。ここまでの2人同様に左へ蹴ったキックは、GKの逆を突いて成功。そして東京朝鮮3人目も左スミへ蹴り込むと、ここは完全に読んでいた高橋が気合のストップ。3-2。早大学院が一歩前へ。その早大学院4人目は途中出場の菊川。左上へ打ち込んだキックはGKの届かないコースにグサリ。東京朝鮮4人目はプ・チウ。外せば終わりのシチュエーションにもGKの逆を取って左スミへ成功。4-3。残りは5人目。決着の時はすぐそこまで。
早大学院5人目のキッカーはやはり途中出場の宮本。丁寧な助走から右下を狙ったキックは、チュウ・サンホンも読んでいたものの、弾き出すことはできずに揺れたゴールネット。「実はPKはこの1週間で凄く練習していて、『自分たちは格上相手にPK戦まで持ち込めたんだから誇りを持とう』『思い切り蹴ろう』とみんなで言って、蹴りたい5人が手を挙げました。練習でも5人決まったことなんてないんですけど、本番ではGKの高橋君が止めてくれるってみんな信じていたと思います」と北。終了間際の失点にもメンタルを折られずに戦い切った早大学院が、ブロック決勝へと勝ち上がる結果となりました。


「僕たちはNSリーグ1部のチームで、技術もないですし、その分どこで頑張るかと言ったら『相手より走る』『気持ちで勝つ』『しっかりプレッシャーに行く』とか、そういう気持ちの部分で最後までみんな切れなかったからこそ、PK戦で勝てたと思います」と北も話した早大学院は、真っ向から強豪にぶつかって見事な勝利を手にして見せました。今年のチームの特徴を問われ、「チームとして団結している所ですね。だから、今日は出ていない選手もサポートしてくれているので、そこが力になっているのかなと。やっぱり1つになったら力は出せるということではないでしょうか」と九里監督も答えたように、応援団も100分プラスアルファに渡って途切れることなく声援を送り続け、ピッチの選手たちへ闘魂注入。先制点の際には千田が応援団と喜び過ぎてイエローカードをもらったのはご愛敬。キャプテンの北も「ベンチに入れない3年生もみんな来てくれて、声が嗄れるまで応援してくれましたし、やっぱりベンチもコーチも応援も保護者も、その存在があったからこそ最後まで走れて、気持ちが切れなかった部分もあるので、そこは本当に感謝というか、みんなあってのこの勝利かなと思います」と感謝の念を。"オール早大学院"で掴んだこの1勝へ、大きな拍手を送りたいと思います。     土屋

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