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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
全国の強豪の中でも、わずか4枚しかないトップディビジョンへ挑戦するためのチケット。その1枚を奪い合う新潟明訓と阪南大学高の対峙は引き続きコカ・コーラウエスト広島スタジアムです。
昨シーズンは富山第一と星稜を最終節でまとめてかわし、プリンス北信越2位でこの参入戦へ。勢いそのままに初戦で尚志に3-2で競り勝つと、最後は横浜F・マリノスユースに完敗を喫したものの、インターハイや選手権での躍進同様に大きな存在感を示した新潟明訓。主力がほとんど入れ替わった状態で迎えた今シーズンは、残念ながら夏冬共に全国切符は勝ち獲れませんでしたが、プリンスは近年最大のライバルである帝京長岡を振り切って優勝を果たし、2年連続で広島の地へ。2日前の初戦でもキャプテンを務める関口正大(3年・FC五十嵐)の決勝ゴールで浜松開誠館相手に1-0と粘り勝ち。「今年のチームは選手権予選で負けたので、この舞台に関しては200パーセントでやらせたかった」とは田中健二監督。"200パーセント"のメンタルで相手に立ち向かいます。
2部時代も含めれば5シーズン目となるプリンス関西を、開幕13戦無敗という凄まじい数字も叩き出しながら、圧倒的な成績で制してみせた今シーズンの阪南大学高。「今年は去年の枝葉の子たちが残った年なので、逆にそれが狙われちゃってインターハイも選手権も行けず、悔しい結果になった」と濵田剛監督も振り返った通り、残念ながらトーナメントコンペティションの全国出場は叶わなかったものの、挑んだ今大会の初戦は選手権でも優勝候補の一角に名前が挙がっている桐光学園を、10番を背負う木戸口蒼大(3年・千里丘FC)のドッピエッタで2-0と退けてこの決戦へ。激戦区の関西王者として重要な一戦に臨みます。広島の午後は気温21.2度と相変わらずのポカポカ陽気。プレミアへの最終関門は新潟明訓のキックオフでスタートしました。
「これだけ背後を消されるとは思わなかったので、ちょっと面食らいました」と濵田監督が話したように、ゲームは序盤から少し引き気味に構える新潟明訓に対し、阪南がボールを持つ展開に。8分は阪南。溝脇逸人(3年・川上FC)の左クロスに、島田直樹(3年・IRIS生野SS)が飛び込むもシュートには至らず。10分は新潟明訓。椎谷祐太(2年・新潟小針中)を起点に小竹直輝(3年・グランセナ新潟FC JY)がクロスを上げるも、阪南の右サイドバックに入った鍋坂陸平(2年・川上FC)がきっちりクリア。最初の10分はお互いにフィニッシュを取り切れません。
11分のファーストシュートは阪南。右から島田が入れたクロスに、飛び込んだ岩丸翼(2年・ガンバ大阪堺JY)のヘディングは枠を捉えるも、新潟明訓のGK杉本陸(3年・アルビレックス新潟JY)ががっちりキャッチ。15分にもボランチの田中大貴(3年・長野FC)を起点に、やはり島田のクロスからルーズボールを収めた溝脇のミドルはゴール左へ。20分には島田の左FKがゴール前に飛ぶも、誰も触れずにゴールキックとなりましたが、「今年のウチは右引っ張りのチーム」と指揮官も言及した通り、右サイドの活性化で阪南が掴む攻勢。
一方、「どう行くか凄い悩んだんですけど、開誠館戦のダメージが自分たちの中では大きかったので、リスクを負えなかったですね」と田中監督が打ち明けた新潟明訓も、32分にチームファーストシュート。神蔵翼(3年・グランセナ新潟FC JY)の左クロスを、うまくトラップした椎谷は左足で枠内シュート。ここは阪南のGK坂本大地(3年・セレッソ大阪U-15)にキャッチされたものの、小竹が蹴った連続CKを挟み、39分には中央をドリブルで運んだキャプテンの関口正大(3年・FC五十嵐)がミドルを放つも、坂本は冷静にキャッチ。少しずつ繰り出し始めた攻撃の手数。
45分は阪南。ここも島田が突破から右クロスを放り込み、木戸口の叩き付けたヘディングは杉本が抜群の反応でファインキャッチ。攻撃の時間が長かったのは阪南でしたが、「前半はちょっと様子を見てやっていたんですけど、それでもピンチというピンチは創られなかったですし、守備のブロックの練習は相当したので、そこは相手の良さは消せたかなと思います」と田中監督。最初の45分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。
後半はスタートから阪南に交替が。岩丸に替えて宮崎空翔(2年・千里丘FC)を送り込み、サイドの推進力向上に着手しましたが、ハーフタイムが明けて先にチャンスを掴んだのは新潟明訓。53分に高い位置でボールを奪うと、関口が左へ流し、小竹のクロスは坂本にキャッチされたものの、発動されたカウンター。55分にも関口が左へ振り分け、小竹が運んで打ち切ったシュートは枠の右へ外れるも、「チャンスを見い出すためのブロック」(田中監督)から北信越王者がちらつかせる刃。
58分は阪南。左から宮崎が右足でクロスを送ると、木戸口のヘディングは杉本がキャッチ。61分も阪南。右サイドをパスワークで崩し、鍋坂がグラウンダーで入れたクロスへニアに稲森文哉(3年・千里丘FC)、ファーに宮崎が突っ込むも両者共に触れず。61分は新潟明訓も1人目の交替を決断。椎谷を下げて、「この1年間で凄く伸びた選手で、人とは違うパワーがある」と指揮官も口にした三富優介(3年・FC五十嵐)を投入し、こちらも縦への推進力とパワーアップでチャンスを窺います。
71分は阪南。宮崎を起点にキャプテンマークを巻いた藤本悠太郎(3年・ヴィッセル神戸伊丹U-15)が縦に付けると、木戸口のシュートは新潟明訓のセンターバックを託された入山慶斗(2年・新潟上山中)が果敢にブロック。74分も阪南。ここもレフティの藤本がクサビを打ち込み、反転した木戸口のシュートはここも入山が必死にブロック。右から小林将真(3年・FC五十嵐)、入山、坂井雄大(3年・FC五十嵐)、白沢雅人(3年・FC五十嵐)と、3年生の"FC五十嵐"トリオに入山を加えた4バックを中心に、集中力の続く新潟明訓ディフェンス。
先制点は唐突に。75分に左サイドでルーズボールを収めた溝脇は、利き足とは逆の右足でミドルにトライ。「凄くブレてバウンドもイレギュラーした」(田中監督)ボールはGKの前で弾むと、そのままゴールネットへ飛び込みます。「もうシュートがイメージしていないヤツのイメージしていないシュートだったのでビックリしました。利き足が左の子ですし」と濵田監督も笑った溝脇の"右足ミドル"で破った均衡。阪南が1点のリードを手にしました。
残り15分で追い掛ける展開を強いられた新潟明訓。79分に神蔵と内藤和輝(3年・FC五十嵐)を入れ替え、直後に阪南も島田のクロスで宮崎が迎えた決定的なヘディングが枠を越えると、81分にも今井真平(3年・FC五十嵐)と皆川侑也(3年・グランセナ新潟FC JY)もスイッチして最後の勝負へ。83分には白沢がエリア内でマーカーとも連れて転倒するもノーホイッスル。85分には阪南に2人目の交替。稲森に替えて福羅光希(2年・IRIS生野SS)をピッチヘ解き放ち、前からのプレスも強化しつつ、後ろは吉田伸弘(2年・ガンバ大阪堺JY)と村瀬悠介(3年・セレッソ大阪U-15)のセンターバックコンビを軸に盤石の守備カーテンを。ゲームはいよいよ残り5分間とアディショナルタイムへ。
86分は新潟明訓。FKの流れから右へ開いた内藤がクロスを上げるも、飛び出した坂本がしっかりキャッチ。88分は阪南。粘って運んだ木戸口のシュートは杉本が執念のキャッチ。89分は新潟明訓。自らのドリブルで獲得した右CKを小竹が蹴り込み、DFのクリアをダイレクトで叩いた内藤のミドルはクロスバーの上へ。90分は阪南に3枚目の交替が。島田を下げてスピードのある渡辺滉大(3年・ガンバ大阪堺JY)をピッチヘ解き放ち、取り掛かるゲームクローズ。アディショナルタイムの掲示は3分。180秒のファイナルバトル。
90+3分は新潟明訓のラストチャンス。左サイドで奪ったCKに守護神の杉本もエリア内へ殺到。小竹が丁寧に蹴り込んだボールはこぼれ、いち早く反応した小林が打ち切ったミドルは、無情にもクロスバーを越えてしまい万事休す。「今までのウチのスタイルから一歩前に進むチームを今年は創れたので、そういう面では成長してくれた年ですよね」と濵田監督も選手たちを称賛した阪南が、見事にプレミア昇格を決定する結果となりました。 土屋
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