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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年12月19日

高円宮杯プレミアリーグ参入戦Aブロック 米子北×札幌U-18@コカ・コーラウエスト

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1218ccw.JPGプレミアへの挑戦権を巡るリーグ戦のファイナルバトル。中国王者の米子北と北海道王者のコンサドーレ札幌U-18が激突する一戦はコカ・コーラウエスト広島スタジアムです。
広島皆実、作陽、立正大淞南など強豪が居並ぶ激戦のプリンス中国で連覇を達成。2年続けてこの参入戦へと勝ち上がってきた、鳥取の絶対王者とも言うべき米子北。昨シーズンは初戦でジュビロ磐田U-18に0-3と屈して涙を飲みましたが、今大会は2日前の初戦で名門の東京ヴェルディユースに先制を許しながらも、後半だけで伊藤龍生(3年・ヴィッセル神戸U-15)、山室昂輝(3年・FCバイエルン ツネイシ)、倉本峻汰(3年・FCカミノ)が相次いで得点を重ね、堂々たる逆転勝利。「良いチャンスをもらってチャレンジできるというのは凄く嬉しいこと」と話すのは城市徳之総監督。スタンドに詰めかけた大応援団も一体になって、さらなるステージへの欲求を90分間にぶつけます。
プレミアリーグ発足初年度で見事にEAST王者となった2011年以降、5シーズンに渡って守り続けたトップディビジョンの地位からの陥落。当然目指すのは1年での返り咲きしかないコンサドーレ札幌U-18。6年ぶりとなるプリンス北海道を終盤の5連勝できっちり制すると、参入戦の初戦でも明徳義塾をトップ昇格が決まっている菅大輝(3年・コンサドーレ札幌U-15)、途中出場の野上誠(2年・苫小牧ELSOLE-FC U-15)、キャプテンを務める濱大耀(3年・ほくでんスポーツフィールズ)の3ゴールで退け、トップディビジョン復帰へ王手を。遠い広島まで駆け付けた熱心なサポーターの前で、シーズン最後の90分間に挑みます。この日の会場は気温22.1度と季節外れのポカポカ陽気。絶好のコンディションの中、札幌のキックオフでゲームはスタートしました。


ファーストシュートは開始27秒の札幌。右サイドでボールを持った菅のシュートは枠の右へ外れましたが、まずはエースが勝利への意欲を一振りに込めると、米子北も2分にセットプレーのチャンス。ピッチ中央、ゴールまで約30mの位置から山室が小さく出したボールを、伊藤が枠へ収めたミドルは札幌のGK櫻庭立樹(2年・コンサドーレ札幌U-15)にキャッチされるも、3分にも米子北は右サイドの小橋亮介(3年・ハジャスFC)が入れたグラウンダーのクロスから、伊藤が放ったシュートは札幌のセンターバック小園悠馬(3年・スプレッド・イーグルFC函館)が体で弾き、こぼれを拾った﨑山誉斗(3年・FC琉球U-15)のシュートもDFがブロックしましたが、いきなりチャンスを創り合う格好でゲームは立ち上がります。
6分は札幌。ここも右サイドから菅がシュートを狙うも、米子北のGK中原創太(3年・FCバイエルン ツネイシ)が丁寧にキャッチ。10分は米子北に決定機。1本の長いボールからラインギリギリで飛び出した﨑山に、副審のフラッグは上がらず。独走した9番のシュートは櫻庭がファインセーブで何とか回避。14分も米子北にビッグチャンス。右サイドバックの田中宏旺(3年・サンフレッチェくにびきFC)のロングスローがエリア内で弾むと、伊藤が叩いたボレーはわずかに枠の右へ外れましたが、畳み掛けた中国王者。
ピッチコンディションもあってか、なかなかボールを回し切れない札幌も、18分には菅のパスから河野隼平(3年・コンサドーレ札幌U-15)がミドルを狙うも枠の右へ。22分は米子北。左サイドバックの村木遵平(3年・京都修学院中)が中に付けると、伊藤の反転ミドルは枠を襲い、櫻庭が横っ飛びでファインセーブ。直後に左から山室が蹴ったCKと、25分に田中宏旺が右から入れたFKは、いずれも濱のクリアに阻まれたものの、「いつも通りの感じ」(城市総監督)という米子北の攻勢が続きます。
エリア内で手数を繰り出せない札幌は37分に右CKを獲得するも、高野大(3年・コンサドーレ旭川U-15)のキックは中原がきっちりパンチング。逆に39分はまたも米子北。伊藤が体を張って収め、小橋のシュートは櫻庭がファインセーブ。40分も米子北。エリア内の混戦から﨑山の枠内シュートは櫻庭が懸命の反応でストップし、こぼれを拾った武部雄(3年・サウーディFC)の落としを伊藤は枠越えミドル。44分にも田中の鋭いクサビを武部と﨑山が繋ぎ、伊藤のミドルは櫻庭がキャッチしましたが、「自分たちは前半0-0、0-1というスコアでも全然大丈夫という感じだった」と山室も口にした米子北が圧倒した前半は、スコアレスで45分間が終了しました。


ハーフタイムが明け、後半のスタートと同時にラッシュを仕掛けたのは北海道王者。48分に左から藤村怜(2年・コンサドーレ札幌U-15)が蹴ったCKへ、ニアに突っ込んだ加藤蓮(2年・コンサドーレ札幌U-15)はわずかに届きませんでしたが、惜しいシーンを創出すると、51分には菅、高野、藤村、野上と細かくパスを繋ぎ、最後は藤村がエリア内へ侵入。ここは米子北のセンターバックを任されている池澤裕翔(3年・鳥取VAMOS FC)が果敢なタックルで食い止めましたが、ようやく見え始めた札幌のポテンシャル。
54分も札幌。野上のパスから菅が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。55分も札幌。野上と大屋敬太郎(2年・コンサドーレ札幌U-15)のスムーズなパス交換から、菅が狙ったシュートはここも池澤が体で防ぎ、こぼれを拾った菅のシュートは枠の左へ外れましたが、息も吐かせぬ連続攻撃。川口卓哉監督の決断は55分。1人目の交替として大屋と山田優介(3年・CASCAVEL SAPPORO U-15)を入れ替え、前線に山田と野上を並べ、菅を右サイドハーフにスライドさせて勝負に出ます。
少し押し込まれる時間が続き、古屋野雅希(3年・サウーディFC)と池澤のセンターバックコンビを中心に凌いでいた米子北も62分に2枚替えを敢行。左サイドバックを村木から井上聡(3年・鳥取VAMOS FC)へ、右サイドハーフを小橋から「スーパーサブみたいな感じ」(城市総監督)の倉本へそれぞれスイッチ。すると、「一昨日は自分が出る前に点が決まっていて、チーム的にも勢いが付いていてやりやすい部分もあったんですけど、今日はずっと競っていた試合だったので、緊張感がありました」という倉本は67分にショートカウンターへきっちり絡み、その流れからスーパールーキーの佐野海舟(1年・FC Viparte)が左スミへ収めたミドルは櫻庭のセーブに止められましたが、「押されていましたけど、カウンター1本で行けるというのは自分たちでもイメージしていました」と山室も語った"イメージ"の具現化で、変わり始めたゲームリズム。
67分は米子北。佐野のシュートで得たCKを左から山室が蹴り入れ、DFのクリアをそのまま狙った井上のミドルは枠を越えるも、甦ってきた積極的な姿勢。70分は札幌にもチャンス到来。高野が丁寧に繰り出したスルーパスに、走った山田のシュートはわずかに枠の上へ。75分は米子北。山室のパスから左サイドを運んだ﨑山のシュートは、櫻庭が正面でセーブ。77分も米子北。山室が右へ振り分け、田中宏旺のクロスはゴール方向へ向かい、クロスバーの上を叩いてゴールキックに。「プレスを掛けたら蹴ってくれたので、それを拾うとなった時にウチにも分があるかなと思っていた」と城市総監督。押し切りたい中国王者。
札幌は78分に野上と下田友也(3年・FC Jubelgol U15)をスイッチして、前線の推進力向上に着手したものの、79分は米子北。田中宏旺がギャップに縦パスを打ち込み、うまく潜った﨑山の右クロスに倉本が突っ込むも、札幌の右サイドバックに入った岩田佑成(3年・コンサドーレ札幌U-15)が懸命にクリア。82分も米子北。﨑山が右へ流し、武部のクロスを巧みにトラップした伊藤のボレーはゴール左へ。83分も米子北。佐野のセカンド奪取を起点に、﨑山、武部と繋ぎ、田中宏旺のクロスを濱が弾くと、武部のボレーミドルは櫻庭がキャッチしましたが、「最後の15分はウチが運動量で勝って圧倒できるという風に思っていた」(城市総監督)「後半残り15分くらいが自分たちのチャンスだと思っていた」(山室)と2人のイメージもシンクロした米子北が押し込み続けます。
89分に訪れた狂喜の主役は「自分がやらないとダメだなと思っていた」という"スーパーサブ"。「高い位置にオーバーラップしてクロスを上げる選手なので、そこが期待できる所だった」と城市総監督も評する田中宏旺が右サイドから上げたクロスは、中央を越えてきっちりファーサイドまで。待っていた倉本が「良い所に来たので『思い切り振ろう』と思って」右足でダイレクトボレーを敢行すると、ボールは力強くゴールネットを揺らします。「あんまり覚えていないですけど最高でした」という倉本が向かった先には、ベンチメンバーと全速力で集まってきたピッチのチームメイトが。土壇場で米子北が1点のリードを奪いました。
追い込まれた札幌にもすぐさま訪れた同点機。失点した1分後の90分。右サイドから菅が粘って上げたクロスを、エリア内で高野は正確なトラップ。すかさず得意の左足を振り抜くも、ボールはわずかにゴール左へ逸れ、頭を抱えたピッチとベンチ。命拾いした米子北は直後に殊勲の倉本を下げて、田中聡太(3年・フットボールクラブアミーゴ)を「守りの布陣でスイーパーを入れてという形」(城市総監督)でピッチヘ解き放ち、取り掛かるゲームクローズ。90+4分は札幌に左CKのチャンス。藤村が丁寧に蹴ったボールを山室がクリアすると、これがこのゲームのラストチャンス。「自分たちがプレミアに上がれるなんて夢のまた夢みたいな感じ」と山室も笑顔。米子北が来シーズンからのプレミアリーグ挑戦権を獲得する結果となりました。


「本当にビックリですよ。チームを立ち上げた時から考えると、本当に良くここまで成長したなという気はしますね」と自らのチームを称えた城市総監督。その総監督曰く、この日のゲームには3年生にとって2つの大きなモチベーションがあったとのこと。1つは「このプレミアに参入するという所で、後輩へのお土産という部分」のモチベーション。そしてもう1つとして「ウチが今日勝てば中国のプリンスリーグの入れ替え戦にBチームが出られるので、プリンスの入れ替え戦でもう一度スタンドで応援していた彼らにチャンスを与えるという所」のモチベーションがあったそうです。実際に山室も「1,2年生にはプレミアという置き土産をしたいなと思っていたんですけど、今日のメンバーに入れていない3年生がプリンス参入戦に自分たちが上がったら出れるので、『もう1,2試合やらせたいな』という気持ちは特に強かったです」とそのモチベーションを自ら口に。「キツい時でも応援の声で頑張れたりするので、今日は凄く力になりました」と山室が感謝の言葉を語った通り、声を嗄らして声援を送り続けた応援団とピッチ上の選手が、立場は違えど大きな共通のモチベーションの下に戦い、見事に2つの目標を同時に達成した米子北。彼らの選手権での躍動も非常に楽しみです。      土屋

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