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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年09月06日

プリンス北信越第14節 帝京長岡×新潟明訓@帝京長岡G

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0903teinaga.JPG「自分の中ではガチンコの戦いをやり合える存在」と帝京長岡を評したのは新潟明訓を率いる田中健二監督。新・県内2強対決。帝京長岡と新潟明訓の今シーズン3度目となる対峙は帝京長岡グラウンドです。
小塚和季(新潟)を擁し、県内最高成績タイとなる選手権全国ベスト8へと躍進したのは4シーズン前。以降もコンスタントに全国大会出場を重ね、そのスタイルと共にサッカーファンの知る所となっている帝京長岡。昨年度はインターハイ予選、選手権予選と揃って新潟明訓に敗退を突き付けられ、晴れ舞台への進出は叶わなかったものの、今年のインターハイ予選ではファイナルで新潟明訓を1-0で下し、リベンジと広島への切符を同時に掴みましたが、内容は「押し込まれて辛くも延長で1点取ってという形だった」と谷口哲朗コーチ。選手権予選を見据えても、ここで最大のライバルを叩いておくことが非常に大事な"通過点"であることは間違いありません。
昨シーズンはキャプテンを務めた加藤潤(筑波大)を筆頭に実力者が居並ぶ陣容で、インターハイ予選、選手権予選と新潟を制し、とりわけ選手権では日本一に輝いた東福岡とも互角にやり合い、全国に"明訓"の存在を大きくアピールしてみせた新潟明訓。主力のほとんどが抜けた今シーズンも、「この子たちは相当プレッシャーを浴びているんですけど、そんな中でよく首位にいられるなと思います」と指揮官も評価した通り、強豪ひしめくプリンス北信越でも堂々首位を快走しており、前述したようにインターハイ予選こそ帝京長岡に0-1と苦杯を嘗めたものの、それでもなお『明訓強し』をライバルに印象付けた様子。3-2で制した前期の対戦に続き、"シーズンダブル"を達成すべく、アウェイゲームの90分間に挑みます。会場の帝京長岡グラウンドは30度を超える真夏の装い。勝ち点差6で迎えた2位と首位の直接対決は新潟明訓のキックオフでスタートしました。


いきなり勢いよく飛び出したのはホームチーム。「入りが凄く良かった」と話す1トップの楜澤健太(3年・長野パルセイロU-15)が前で収め、左サイドの陶山勇磨(3年・長岡JY FC)と右サイドの木村勇登(3年・Desenvolver FUT)も縦へと仕掛ける姿勢が高く、立ち上がりから迫力あるサイドアタックを連発すると、7分の先制弾もやはり帝京長岡。「練習でも『前に行くタイミングを逃すな』と言われて、クロスを上げる時に上げたり、前を向いた時に背後に走ったりを意識していた」という陶山が左サイドをぶち抜いてグラウンダークロス。ここへ飛び込んだ木村が確実にゴールネットを揺らします。「中は見ていなかったんですけど、走っていなかったら走っていなかった方が悪いかなという感じで上げたら、良い所にいてくれました」と笑った14番のアシストで、まずは帝京長岡がスコアを動かしました。
早くも追い掛ける展開となった新潟明訓。11分に左サイドで獲得したCKを小竹直輝(3年)が蹴り込むも、帝京長岡のキャプテンマークを巻くGK深谷圭佑(3年・豊橋デューミラン)がしっかりキャッチ。12分にも右サイドに開いたボランチの今井真平(3年・FC五十嵐)がアーリークロスを放り込むと、飛び込んだ小竹のボレーはクロスバーの上へ。悪くない形を創出したものの、同点とは行きません。
14分も帝京長岡。陶山のパスから楜澤が左クロスを送り、こぼれを拾った小林歩夢(2年・長岡JY FC)は足裏でボールを引きながらクロスを上げ直すも、ここは新潟明訓のGK杉本陸(3年・アルビレックス新潟U-15)がキャッチ。16分も帝京長岡。右サイドバックの金子大晟(2年・長岡JY FC)が頭で前に送り、小林のパスから楜澤が得意の左足で狙ったミドルは枠の右へ。17分も帝京長岡。スムーズなパスワークから、最後は中盤アンカーの安井嶺芽(3年・長岡JY FC)が枠へ収めたミドルは杉本が何とかキャッチ。押し込む緑。耐える赤。
押し切った緑の追加点は18分。左サイドで奪ったCKのキッカーは陶山。レフティがアウトスイングで蹴ったボールをニアで木村がフリックすると、「いつも練習でやっている通り、1人が前で潰れてこぼれてきた所を決めるだけだった」と振り返る楜澤が難なくプッシュ。ボールはゴールネットへ転がり込みます。「この帝京長岡での2年半で凄く上手くなれた実感もありますし、ここに来て良かったと思っています」とチームへの感謝を口にする10番がきっちり一仕事。両者の点差は2点に広がりました。
「理想は3-0、4-0で叩ければ良いぐらいの出足だった」(谷口コーチ)「最初の15分間ぐらいは、まず2点で抑えないと何点取られるのかなというくらいだった」(田中監督)と2人が声を揃えたように、圧倒的な帝京長岡ペースの中で2得点を経ても、ゲームリズムは変わらず。19分にはハーフウェーライン付近で前を向いた楜澤が、左サイドを持ち上がりながら放ったシュートは枠の左へ。20分にも小林、楜澤と細かく繋ぎ、上がってきた金子の折り返しに、陶山のシュートはヒットしなかったものの好アタックを。ホームチームが漂わせる3点目の香り。
ただ、田中監督の施した"手当"は早々に。「相手が結構ヘディングをがむしゃらにやってくる強い子がいたので、そこはちょっと上でやらせた方が良いのかなと」、右サイドハーフの三富優介(3年・FC五十嵐)と前線の内藤和輝(3年・FC五十嵐)を入れ替え、三富の高さに期待を掛けつつ、「陶山君のサイドで局面の数的優位でやられていたので」内藤を右サイドに当てて、守備面でのテコ入れにも同時に着手。23分には左サイドを三富が独走し、クロスはファーへ。拾った内藤のクロスは帝京長岡の左サイドバックを務める齋藤日向(3年・長岡ビルボードFC)がブロックしましたが、ポジションを入れ替えた2人で際どいシーンを。その右CKを小竹が蹴り入れ、ルーズボールを収めた坂井雄大(3年・FC五十嵐)のシュートはDFがブロック。25分にも内藤が左CKを蹴り込み、入山慶斗(2年・新潟上山中)が合わせたヘディングは枠の右へ逸れたものの、少しずつ変化し始めたゲームリズム。
31分にも内藤のクロスから右CKを奪うと、小竹のキックに飛び込んだ内藤のボレーは枠の右へ。38分にも左サイドで三富が2人を巧みに振り切り、ここもファーへ流れたボールを小林将真(3年・FC五十嵐)がクロスまで持ち込み、ゴールに向かったボールは深谷がフィスティングで凌ぐも、一気にペースを引き寄せた新潟明訓の追撃弾は43分。左サイドで藤田凌央(2年・上越春日FC)のパスを受けたキャプテンの関口正大(3年・FC五十嵐)は丁寧にクロス。ニアに突っ込んだ三富のヘディングは深谷も良く触りながら弾き切れず、ボールはゴール右スミへ吸い込まれます。「思った以上にハマりましたね」と田中監督も笑顔を見せた三富のフォワード起用がズバリ。44分にも小竹の右CKから、フリーで放った田代蓮太朗(2年・アルビレックス新潟U-15)のヘディングはわずかに枠の上へ外れ、45+5分に三富が強引に打ち切ったシュートも左ポストを直撃するなど、同点の可能性までチラつかせた新潟明訓が点差を縮めて、最初の45分間は終了しました。


「最悪の形で点を取られてしまったのが凄く痛かったですけど、後半の入り自体はそんなに悪くなかったと思います」と楜澤も認めたように、後半もまずは帝京長岡に手数。47分にはCBの石川悠(2年・FCトリプレッタJY)を起点に、齋藤の外を回った陶山が鋭いグラウンダーのクロスを蹴り入れ、小林が打ち切ったシュートはDFに当たってわずかにゴール左へ。直後に左から安田光希(2年・P.T.S.C.LONDORINA)が入れたCKは関口がクリア。48分には新潟明訓も小竹の右CKに、内藤が合わせたボレーは大きく枠の右へ。52分は再び帝京長岡。木村が右サイドで仕掛けてクロスを上げ切り、こぼれを叩いた陶山のボレーは枠の右へ。後半も立ち上がりからやり合う両者。
56分は新潟明訓にアクシデント。前線でも右サイドでも効いていた内藤は負傷でプレー続行が難しくなり、神蔵翼(3年・グランセナ新潟FC JY)との交替を余儀なくされてしまいますが、2分後には相手CKのカウンターから右サイドを小竹が運んでクロスを送ると、突っ込んだ神蔵のシュートはわずかに枠を逸れたものの、投入直後にあわやというシーンに絡んだ15番のことを「国体の選手なんですけど、今日初めて使ったんですよ」と笑いながら教えてくれたのは田中監督。神蔵の纏う不思議な空気感。
お互いに切り合うカード。60分は帝京長岡。先制弾の木村に替えて、小泉善人(1年・長岡JY FC)を中盤センターに送り込み、小林が右サイドハーフへ。61分は新潟明訓。藤田を下げて椎谷祐太(2年)を右サイドハーフへ投入。直後に左サイドのスローインから関口が放ったシュートが、DFに当たって深谷にキャッチされたシーンを経て、64分は帝京長岡に2人目の交替。安井と荒井太樹(3年・東松山ペレーニア)を入れ替え、「技術はしっかりしているからね」と谷口コーチも信頼を寄せる安田をアンカーにスライドさせて、整える全体のバランス。65分は新潟明訓。坂井の左FKから、三富が打ったボレーは深谷がキャッチ。67分は帝京長岡。齋藤の左スローインから安田がクロスを上げると、走り込んだ楜澤のスライディングボレーはクロスバーの上へ。この日2度目のクーリングブレイク。残された時間は15分間とアディショナルタイム。
歓喜の瞬間は奮闘した三富と岡本雅貴(3年・グランセナ新潟FC JY)をスイッチした交替の2分後のこと。78分に右サイドで関口が外へ送ったボールを、「良いボールを蹴れますし、練習し始めたので自分でこだわってキックをやっている」と田中監督も認める小竹がピンポイントクロス。ここに走り込んだ神蔵は"1度目"のヘディングこそ当たり損ねたものの、そのまま敢行した"2度目"のヘディングでボールをゴールネットへ流し込みます。「元々走れる子だったんですけど、走力も付いてきたかなと思います」と指揮官も言及した神蔵の"連続ヘッド"が飛び出し、とうとう新潟明訓がスコアを振り出しに引き戻しました。
双方が勝利を目指す熱戦もいよいよ最終盤。85分は帝京長岡。荒井の果敢な仕掛けで右CKを得ると、安田の蹴ったボールは一旦混戦を生み出し、左からカットインしながら陶山が右足で枠へ飛ばしたシュートは杉本がキャッチ。86分に新潟明訓は4人目の交替として今井と小林天晴(2年)を、89分に帝京長岡は3人目の交替として小林と「裏に抜けるタイミングとかフィニッシュ能力は凄く高い」と谷口コーチも口にする晴山岬(中学3年・長岡JY FC)をそれぞれスイッチして、向かうは6分間のアディショナルタイム。
90+4分は新潟明訓。左サイドで小竹が2枚のマーカーを独力で剥がし、懸命に入れたクロスは中と合わず。90+5分は帝京長岡。齋藤の左スローインを陶山が体で落とし、齋藤のクロスに飛び付いた澄川広大(2年・長岡JY FC)のヘディングがゴール右へ消えると、これがこのゲームのラストシュート。「ケガ人も多数出ている中で、この勝ち点1は色々な意味で大きいと思います」と田中監督が話せば、「もうちょっと落ち着いてボールを持って、横に揺さぶってからやっても良かったかなと。リードもあった訳だし、『取りに行け、取りに行け』と言ってやったけど、結果的にはそういう部分で少し受けてしまったかなと。もったいないですね」と谷口コーチ。両者にとって意味合いの異なる勝ち点1がそれぞれ振り分けられる結果となりました。


やはり期待通りの面白い試合になりました。「リーグ戦だったらお互い攻め合ってという感じで、良い好敵手かなと思いますね」と谷口コーチも言及した通り、リーグ戦ということもあってお互いにカードも切り合いながら、良い所を出し合うような90分間に。結果はドローでしたが、双方にとって色々な意義を見い出せるゲームだったことに疑問の余地はないでしょう。「やることを変えないですし、うらやましいくらい良いサッカーをやるので凄いと思います。自分にとっても本当に勉強になりますし、何かやっぱり帝京さんとやった後というのは違うんですよね」と田中監督が語り、谷口コーチも「外に出て行っても『コイツら明訓より強いよな』『コイツら明訓より弱いよな』という1つの基準で、一応夏のゲームもできたりしますし、お互いに全国レベルになっていかないといけないチームなので、そういう意味では良いライバルでいれたらいいなと思います」ときっぱり言い切ったように、県内をリードする両校の切磋琢磨がもたらすのは地域自体のレベルアップ。今シーズンで言えば、公式戦で3度実現した対戦結果は1勝1分け1敗とまったくのイーブン。このライバル同士の直接対決に決着が付く日が来るとしたら、残されたゲームはもう選手権予選のファイナルしかありません。    土屋

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