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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年08月25日

高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 京都Topリーグ第13節 洛北×福知山成美@宝が池

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0821takaragaike.JPG約1ヶ月ぶりのリーグ再開は早くも第13節。ここ4試合は負けのない洛北と、現在2連勝中の福知山成美が激突する一戦は宝が池公園運動施設球技場です。
OBの前田尚克監督が母校へ指揮官として復帰した昨年は、選手権予選で4連覇を狙う京都橘と大接戦を演じ、最後はPK戦で屈したものの古豪復活を高らかに宣言した洛北。迎えた今シーズンも新人戦、インターハイ予選と共に京都橘の返り討ちに遭うも、どちらも舞台はファイナル。「なんか知らんけど決勝までたまたま行けただけですよ」とは前田監督ですが、「決勝に行くというのは少しずつ当たり前になってきているかもしれない」と力強く語ったのは上﨑寛大(2年)。11月から始まる選手権予選に向けて、今は大事な戦力底上げの時期であるのは間違いありません。
2006年度には湘南で活躍する大槻周平を擁して、選手権で初めての全国を経験。さらに2011年にはインターハイ予選でも全国切符を勝ち獲るなど、一定の結果を叩き出しつつ、近年の府ではベスト8の常連となっている福知山成美。今シーズンはいきなり久御山と初戦でぶつかった新人戦こそ、PK戦での惜敗を突き付けられたものの、インターハイ予選ではベスト8まで勝ち上がるなど、当然府でもトップレベルの実力を有しており、久々の晴れ舞台を引き寄せるためにも大事な夏を過ごしている最中です。会場の宝が池はハッキリ言って"灼熱地獄"。楽しみな一戦は14時ジャストにキックオフされました。


立ち上がりからペースを掴んだのは「割と中盤でボールが動いてサイドが空いた」と前田監督も口にした洛北。2分に貞方勇斗(2年)とのワンツーから、久乗匠(2年)が上げたクロスに吉岡豊(3年)が合わせたヘディングは枠の左へ外れるも、いきなり悪くないサイドアタックを。6分にも貞方のミドルは枠の右へ逸れましたが、積極的な好トライ。一方の福知山成美も11分には松本健作(3年)が左からFKを蹴り込むも、ここは洛北のGK大神慶士郎(3年)が丁寧にキャッチ。12分に今度は上野皓大(3年)が蹴ったFKへ、センターバックの岡田皓介(3年)が飛び付くも大神がキャッチ。全体的に洛北ペースで推移していきます。
フィニッシュを取り切れない福知山成美。27分にはルーズボールを拾った辻丈一郎(3年)が左からクロスを上げるも、洛北のセンターバックに入った小田遼(3年)がクリア。28分には桝村武史(2年)がミドルを枠の上へ外すも、これが彼らにとってのファーストシュート。29分には松本のスルーパスに、木村玲音(3年)が抜け出すもオフサイドの判定。逆に32分は洛北。久乗の縦パスをシルツ壮馬(2年)が落とし、清水駿介(3年)の叩いたボレーは福知山成美のGK川満大誠(3年)がキャッチしましたが、「今はできるだけボールを動かして、あまりルーズボールを作らんでというのでずっとやってきている」と指揮官も言及した洛北が手放さないゲームリズム。
33分の先制弾は1トップに入った23番の頑張る男。貞方がエリア内右サイドへボールを付けると、開いて受けたシルツは切り返しでマーカーを外しながら、そのまま左足一閃。ボールは懸命に飛び付いたGKも一歩及ばず、左スミのゴールネットへ飛び込みます。「ずっと自分たちが押していて、ボールを保持できていた」(上﨑)中での素晴らしい一撃で、勢いそのままに洛北が1点のリードを奪いました。
追い掛ける展開となった福知山成美も36分に反撃。岡田が長いFKを蹴り込むも、寺坂治樹(3年)が飛び付いたヘディングは大神にキャッチされると、突如として生まれたゴラッソも古都の深紅。38分に中切英真(2年)、シルツ、久乗と繋いだ流れで獲得したFKは中央左寄りで、ゴールまで約20m。スポットに立った久乗は「最初はカベの上を越そうかなと思ったんですけど、距離的に近くて相手のカベも大きかったですし、カベとGKがカブっていたので、流し込もうかなと思って蹴りました」というキックを、ゴール右スミへ綺麗に直接流し込みます。「来年は中盤で中心でやってもらわんとアカン選手」と前田監督も期待を寄せる2年生が一仕事。点差が広がります。
さて、2失点を受けて福知山成美は2枚替えを敢行。北野拓斗(3年)と松本に替えて、森勇也(2年)と岩間捺希(2年)を送り込み、岩間はボランチへ、森は右サイドバックに入り、その右サイドバックを務めていた田中俊(3年)が左サイドバックへスライドして整える逆襲へのバランス。ただ、44分は洛北。久乗の右FKへ飛び込んだ清水のヘディングは枠の左へ。45+1分には福知山成美も上野が右へ振り分け、木村がエリア内へ侵入するも洛北の左サイドバック松田英朗(3年)がきっちりカット。洛北が2点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。


ハーフタイムに福知山成美はこの日2回目の2枚替え。辻と寺坂を下げて、神社優太(2年)を1トップ下へ、木村誠哉(2年)を左サイドハーフへそれぞれ配し、上野が最前線へ移ると、後半はスタートから攻勢に。54分に上野のパスから桝村が狙ったミドルは岩間に当たってしまいましたが、55分には左サイドをえぐった田中の折り返しに、飛び込んだ木村のシュートは枠の右へ。洛北も56分には1人目の交替として、右サイドバックを中島悠聖(2年)から川﨑遥己(3年)にスイッチするも、57分も福知山成美。桝村が華麗なルーレットで繋ぎ、神社のスルーパスは大神がキャッチするも、ようやく出てきた攻撃のテンポ。
ところが次に記録されたゴールは追加点。61分に右サイドを運んだ貞方がクロスを放り込むと、トラップでボールを収めた清水はそのまま左足でボレーを選択。右スミへ向かった軌道はゴールネットへ飛び込みます。「やられているならやられているなりにゲームを進められていたよね」と前田監督も話した通り、守勢の中でも隙を窺う姿勢を崩さなかった洛北に、大きな大きな3点目が入りました。
62分は双方に交替が。福知山成美は木村と千原翔悟(1年)を、洛北は貞方と小宮光貴(2年)をそれぞれスイッチすると、73分は福知山成美に決定機。神社のラストパスに抜け出した木村は冷静にループを狙い、ボールはわずかにクロスバーを越えましたが、2年生コンビでチャンスを創出。77分にも英篤志(3年)を起点に、千原がエリア内へ侵入。ここは「今回はキャプテンもいないので、自分が引っ張っていこうという気持ちでやりました」という上﨑がクリアしたものの、途中出場のアタッカー陣がもたらした追撃の空気。
意地の一発はやはり途中投入のドリブラーから。78分に左サイドでボールを持った木村は、ここも果敢に仕掛けて縦へ持ち出しながらクロスを上げ切ると、中央で待っていた上野のヘディングはきっちりゴールネットを揺らしてみせます。「後半向こうのサイドはキツかったね」と前田監督も言及した"向こうのサイド"、すなわち活性化していた福知山成美の左サイドが1つの成果を。スコアは3-1に変わりました。
79分に沖田雄一郎(2年)と金森雄希(2年)を同時にピッチヘ解き放ち、86分には藤野正慈(2年)も投入して、ゲームクローズに取り掛かる洛北。90分は福知山成美。千原がフリーで飛び出すも、1対1は大神がファインセーブで回避。90+1分も福知山成美。右のコーナーアークから直接枠へ飛ばした上野のキックは、ここも大神が何とか掻き出すファインセーブ。90+3分は洛北。久乗のパスから金森が右へ流し、吉岡が枠へ収めたシュートは川満もファインセーブで応酬すると、これがこのゲームのファイナルシュート。「アバウトなパスとかリスクを回避するようなキックは極力使わんようにというのをやっているので、まあまあボールも動いていたから、見ていてストレスは溜まらんかったよね」と前田監督も一定の評価を下した洛北が、きっちり勝ち点3を手繰り寄せる結果となりました。


「後期なんでどっちか言うたら選手権に向けてのチーム作りというので、サブとか2年生の子で今頑張っている子を、なかなかこういう相手のトップと戦う機会がない子やらを、最後の選手権までにB戦や途中交替じゃなくて、自分たちでゲームをやらせて、勝っても負けてもそれはしょうがないねんけども、ちょっと自分らでやらせて経験させて、ちょっと自信を付けてもらえたらと。夏は一緒に活動していたので、そういうメンバーは積極的に使ってあげようかなと思ってやりました」とこの一戦の位置付けを明かしてくれた前田監督。それを考えれば内容と結果がきっちりリンクした好ゲームに、選手もスタッフも一定の手応えを掴んでいる様子が窺えました。母校を率いるプレッシャーを問われ、「自分の母校やから、周りからのプレッシャー以上に洛北を全国に連れて行きたいというのは、たぶん他のOBの人以上にあると思うよ。やっと帰ってこれたという感じやから、ここからあと何年かかの勝負やし、運が良ければ全国で校歌が流せるくらいまで行けたらなというのがあるから。そこはその気持ちをあまりむき出しにせんと、今の彼らが良いゲームで良い活躍ができるように、何とかちょっとずつ練習して、その積み重ねの結果としてそういうのができたらいいなと思っています。のらりくらりという感じでね(笑) 地盤をしっかり作らないとというのは考えていて、それだけの力を付けて全国に行ってくれるんならいいんやけど、また一から作り直さなアカンという状況はちょっとアカンので、これから『京都だったら洛北に行きたいな』『あそこでサッカーをやりたいな』と思う中学生の子が増えるようなゲームもしていかなアカンし、そういう意味では結果も残していかなアカンねんけどもね」と笑った前田監督。チーム全体が期す京都橘へのリベンジも含め、今後の洛北には大いに注目する必要がありそうです。      土屋

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