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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年04月04日

関東大会予選東京1回戦 創価×東京朝鮮@清瀬内山

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0403kiyose2.jpg近年になって着実に力を付けつつある武蔵野のブルー軍団が優勝候補の一角を担う十条のレッドタイガーと対峙する一戦。創価と東京朝鮮の第2試合は引き続き清瀬内山グラウンドです。
昭和時代には高校選手権における全国出場も経験している古豪であり、近年は昨年の選手権予選を筆頭にトーナメントコンペティションでもコンスタントにベスト16まで進出するなど、都内でも存在感を発揮している創価。新チームになって最初の公式戦に当たる新人戦は都立武蔵、東海大菅生、都立福生を3試合続けてのウノゼロで退け、難敵揃いの第8地区を突破してこの関東大会予選へ。もう1つ上のステージへ到達するためにも、前評判の高い強豪を倒して今後への自信に繋げたい80分間に挑みます。
昨シーズンはインターハイ予選、選手権予選と共にベスト4まで勝ち上がりながら、全国大会出場にはあと一歩という所で届かなかった東京朝鮮。迎えた今シーズンは「とにかくゴールを取るのがこのチームの勝利のカギになるので、そういう所でチームを引っ張っていきたいと思います」と話す、FIFA U‐17ワールドカップも経験してきたリャン・ヒョンジュ(3年・大宮アルディージャJY)がキャプテンに就任し、悲願達成に向けては勝負の年。ここまで6勝1分けという圧倒的な成績を残しているT2リーグの好調を、そのままこの大会にも結び付けたい所です。天気こそ持ち直してきた清瀬内山には独特の風が吹き付け、体感的にはかなりの肌寒さも。注目の好カードは東京朝鮮のキックオフでスタートしました。


立ち上がりからアグレッシブにゲームへ入ったのは東京朝鮮。6分にパク・チャンフン(3年・第一学院高)のパスを受けたリャン・ヒョンジュは、少しタイミングをずらして枠内ミドル。ここは創価のGK藤田弘一(3年・創価中)がキャッチしたものの、いきなりエースがフィニッシュを取り切ると、7分にもキム・ソンホ(3年・東京朝鮮第五中)が繋ぎ、カン・ガンホン(3年・東京朝鮮中)が強烈なミドルを見舞うと、ボールは藤田はわずかに触るファインセーブで枠の上へ外れましたが、その左CKからまたもこぼれをカン・ガンホンが藤田にキャッチを強いるシュート。東京朝鮮が高いシュート意識を披露します。
すると、勢いそのままにスコアを動かしたのは東京朝鮮。10分に中央でボールを持ったチョン・リョンホ(3年・埼玉朝鮮中)が左へ付けると、上がってきたSBのクォン・ジュンソク(3年・山梨学院高)は思い切り良くミドル。ブロックに入ったDFに当たったボールは、コースが変わってゴールネットへ吸い込まれます。「あの子は良いモノを持っているんですよ」と高隆志監督も言及する左SBがゴールという結果をきっちり。東京朝鮮が1点のリードを奪いました。
さて、早くもビハインドを負ってしまった創価は、10番を託されている前線の望月響(3年・川崎フロンターレU-15)にボールが入った時には可能性が出てくるものの、ほとんど攻撃らしい攻撃を繰り出せなかった中で、ワンチャンスを生かしたのは失点からわずかに5分後の15分。右サイドをドリブルで運んだ望月がそのままえぐり切って折り返すと、ニアサイドに潜っていた丸山広明(2年・クリアージュFC)は左足でダイレクトシュート。綺麗にミートしたボールは右スミのゴールネットを鮮やかに揺らします。やはりキーマンの10番が2年生アタッカーの一撃をお膳立て。創価があっという間にスコアを振り出しに引き戻しました。
「あっさり取られてしまいましたね」と高監督も失点シーンを振り返った東京朝鮮は、それでも高精度のミドルパスを駆使したサイドチェンジや、バイタルにクサビを入れた所からダイレクトでのパスワークなど、多彩な攻撃パターンは変わらず。21分にキム・ソンホが蹴った左FKは枠の右へ流れ、23分にチョン・リョンホの縦パスからうまく反転したキム・ソンホのシュートもゴール左へ外れたものの、予期せぬ失点にもゲームリズムは明け渡しません。
場内騒然のゴラッソは25分。チョン・リョンホが短く付けると、ボールを引き出したリャン・ヒョンジュは右に流れながら、「ボールをもらう前にスペースがあったのでワントラップしたら、2年前にここでインターハイで東久留米とやって、あそこから左で決めた時の状況がパッと浮かんで、ゴールは見ていないんですけど、だいたいゴールがここにあって、キーパーもここにいるかなということを把握しながら」右足一閃。エリアの外から繰り出された軌道は高速で少しドライブ回転を描きながら、左スミのゴールネットへ一瞬で到達します。「風が強くて普通にインステップに当てたら上に行ってしまうので、インサイド気味に無回転みたいな当てるだけのシュートでした」とは本人ですが、判断と精度が高次元で伴ったとんでもない一撃。再び東京朝鮮が一歩前に出ました。
以降も続く東京朝鮮の攻勢。34分には左サイドでクォン・ジュンソクが縦に付けると、リャン・ヒョンジュは背負ったマーカーをワンタッチで振り切ってそのまま運んで速いクロス。DFのクリアはゴール方向に飛びましたが、ここは藤田が抜群の反射神経で何とかファインセーブ。その右CKをリ・トンソン(3年・東京朝鮮第五中)がファーへ送り込み、フリーで飛び込んだキム・セヨン(3年・東京朝鮮中)のシュートはわずかにゴール左へ。37分にもチョン・リョンホ、カン・ガンホン、リ・トンソンと細かく繋ぎ、キム・ソンホのミドルはゴール右へ外れるも、スムーズなパスワークからフィニッシュまで。「前半は思った以上に緊張していて、『せめて僕だけでも喚かんとこう』とおとなしくしていましたけど(笑)」とは高監督ですが、ペースを握り続けた東京朝鮮がリードを保ったまま、最初の40分間は終了しました。


後半のファーストシュートも東京朝鮮。41分にミドルレンジからクォン・ジュンソクが狙ったシュートはクロスバーの上へ外れましたが、「もう一列前で使っても面白いですけどね」と指揮官も語る攻撃的サイドバックが果敢なトライ。45分には創価も望月が左へ振り分け、SBの横川健一(2年・横河武蔵野FC JY)がクロスを送り込むと、負傷退場した安齋幸一(2年・東大和第四中)に替わって前半から途中出場していた奥貫智也(3年・狭山JY)が頭で飛び付くも、触り切れずに東京朝鮮のGKチュウ・サンホン(2年・神奈川朝鮮中)がしっかりキャッチ。悪くない流れもシュートには繋がりません。
47分に東京朝鮮も1人目の交替を決断。その直前にゴール右へ外れる惜しいシュートを放っていたパク・チャンフンを下げて、ピョン・ヨンジュ(3年・西東京朝鮮第一中)を右SHへ送り込み、その位置にいたカン・ガンホンが1トップへスライドすると、48分には東京朝鮮の最終ラインでGKへのバックパスが短くなり、懸命に食らい付いた望月にあわやというシーンが訪れましたが、わずかに届かず。50分は再び東京朝鮮。キム・ソンホを起点にリャン・ヒョンジュが左へ流し、カン・ガンホンのシュートは創価のCB高橋大貴(3年・創価中)が決死のブロックで回避。創価も許さない追加点。
「速攻か遅攻かという所の判断も悪かったし、ちょっと崩せないなと思った時に遊ぶ心の余裕も欲しかったですね」と高監督も言及したように、ボールは握り続ける東京朝鮮も少しずつ攻撃に停滞感が。56分に創価は右から城戸伸二(3年・創価中)がロングスローを投げ入れるも、キム・セヨンが高い打点でクリア。61分は東京朝鮮。リャン・ヒョンジュの左CKをハン・チュンヒョン(3年・東京朝鮮中)が残し、クォン・ジュンソクが叩いたシュートは枠の上へ。64分も東京朝鮮。クォン・ジュンソクのパスをリャン・ヒョンジュが巧みに繋ぐも、チョン・リョンホのミドルはゴール左へ。67分も東京朝鮮。キム・ソンホの右クロスにクォン・ジュンソクが頭で合わせるも、藤田ががっちりキャッチ。「最後のフィニッシュの所でクオリティが低い部分があった」とリャン・ヒョンジュ。70分にピッチ中央、ゴールまで約30mの位置からキム・ソンホが直接狙ったFKも藤田が丁寧にキャッチ。1点差のままで試合はいよいよ最終盤へ。
守護神の藤田やCBコンビの久田亮(3年・三鷹F.A.)と高橋に加え、守備に回る時間の長かった安田淳平(3年・FCホッツ)と茂山秀雄(2年・むげんJY)のドイスボランチも含めて、何とか2失点で踏みとどまっているデイフェンス陣に結果で応えたい創価のアタッカー陣ですが、73分に城戸が再び投げた右ロングスローはチュウ・サンホンががっちりキャッチ。逆に75分にはクォン・ジュンソクに枠越えミドルを打たれ、79分にもゴールまで約25mの距離からリ・トンソンが枠の左へ逸れる際どい直接FKを。攻めたい創価の前には、キム・テウ(3年・西東京朝鮮第一中)とキム・セヨンで組んだ共に180センチを越えるCBコンビの壁が高く聳え立ち、アタックの意識を手数に反映し切れず、ゲームは2分間のアディショナルタイムへ突入します。
80+2分は創価のセットプレー。左サイドで獲得したFKを望月が蹴り込むと、DFのクリアはゴールラインを割ってCKに。ほとんどラストプレーのチャンスに全力でスポットへ走る望月。ベンチからの指示もあってGKの藤田もゴール前へ駆け上がる中、10番が渾身の力を込めて蹴り込んだキックに、東恩納信明(3年・愛知小牧中)がヘディングを当て切ったものの、ボールは枠の左へ外れると、これがこのゲームのファイナルシュート。「緊張して目に見えないプレッシャーがあったんですかね。2戦目から良くなると思いますので、今日は許してください」と高監督も苦笑した東京朝鮮が、終わってみれば1点差でベスト16へと勝ち上がる結果となりました。


スコアこそ2-1ではあったものの、その強さを改めて見せ付ける格好となった東京朝鮮。「前の子たちのテンポが悪いので、もうちょっとドリブルをして欲しいんですけど、子供たちのその意識がなかったかなと思います」と高監督が話し、「ボールを保持しているからと言って心の隙ができると、1個のパスミスでカウンターを食らったりチームの雰囲気が悪くなったりしますし、強いチームはそこで前に前に行って点を取れるチームだと思います。そういう隙をなくしていかないと今後そういう試合になった時にキツくなるので、やっぱり日々練習からそういうのを意識していかないといけないと思います」とリャン・ヒョンジュも反省の弁を。チームのポテンシャルを感じているからこそ、目線を上げて戦っている意識が2人の言葉からも透けて見えました。「今年は本当に良いメンバーが揃っているので全国に行かないとダメだと思いますし、チーム一丸となって選手権を目指して、自分も個人的にプロを目指して精進していきたいと思います」と話したリャン・ヒョンジュをキャプテンに頂き、歴史を変える覚悟を携えた2016年シーズンの東京朝鮮は要注目チームです。         土屋

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