埼玉スタジアム2002で行われた
W杯アジア2次予選の
日本×カンボジアは3-0で日本が勝利しました。
以下、試合後の記者会見における
日本・ヴァイッド ハリルホジッチ監督のコメントです。

（日本・ヴァイッド ハリルホジッチ監督）
【試合総括】
こんばんは、皆さん。
勝利を要求していました。そして勝利を手にしました。
そして選手には「おめでとう」と言いたいです。
少し彼らはプレッシャーを感じていたのではないかなと思っています。
そして、戦う意識はかなりあったと思います。
この勝利に関してはもう少し点は入ったということはわかっていますけど
またこんなに大きなチャンスをたくさん創って。
ただ、3-0の3点しか取っていないということはまだ満足が行っていません。
このチームに関してはもっと効果的な所が
上がっていくのではないかなと思っています。
今日は少しまた運もなかったと思いますけど
そうは言ってもこのようにビッグチャンスを創っていたのであれば
もうちょっと点は取れたかなと思います。
何人か疲労していましたし、特に最後の最後で少し疲労した選手が何人かいました。
選手には「本当におめでとう」としか言えませんでしたけど。
彼らの戦うスピリットは本当に素晴らしいものでした。
そしてディフェンス面に関しては本当に素晴らしい働きをしてくれて
相手は2本の連続パスができなかったのではないでしょうか。
そういったことも踏まえて彼らに「おめでとう」と言いたいです。
特に我々の攻撃面の所ももちろん伸びていくと思いますけど
センタリングに関してはかなりの回数が上がったのですが
まだしっかりとしたポジションが取れていませんでしたね。
その点に関してはまだたくさんトレーニングを
していかなければいけないかなと思っています。
今度は移動して2つ目の勝利を取りにいかなくてはいけないと思っています。
これが勝利へ続く段階だと願っています。

（質疑応答）
Q：攻撃について今日の試合だと斜めにクロスを上げて
それをヘディングで狙わせるというパターンが非常に多かった印象ですが
監督からご覧になって攻撃のバリエーションの付け方については
どの程度満足されているでしょうか？

A：色々なことを要求しました。
皆さんが見られた通りミドルシュートも要求しました。
そして2点取りました。
たくさんのことを発展させるために要求していきたいと思います。
そして選手たちとやりたいと思っています。
ただ、皆さんに考えて欲しいのは、彼らはかなり引いていましたね。
そしてグラウンドがかなり滑る様子でそれからパスも繋がっていたと。
特にボールホルダーとボールを要求する人のコンビネーションが
まだいつも完全ではありませんでした。
例えば武藤にしても彼こそこのゲームで活躍して欲しかったですけど
ちょっと速過ぎて前に行き過ぎたり
もしくはちょっと遅過ぎて後ろにいたりというのがありました。
ただ、バリエーションはかなりあったかなと。
それに関しては満足しています。
そして選手にも「ミドルシュートを打ちなさい」
「シュートを打ちなさい」と言いましたし、彼らはやってくれました。
そしてボランチの2人にももう少しチャンスがあったので
打って欲しかったなと思っています。
そういうことでこのチームにはまだまだたくさん
伸びる可能性があるのではないかなと思っています。
つまり、もう少しトレーニングする時間が欲しいなと思います。
こうやってボードで説明するのは簡単なんですね。
（※後ろのスポンサーボードを指差す）
グラウンドでトレーニングしていかなくてはいけないんです。
毎回言っているんですけど、本当に時間がないのでこれが必要なんです。
そして何人かの選手も疲労していましたし、それもあります。
ただ、本当に選手たちのスピリットは良かったと思います。
我々は彼らに「6秒、7秒以内にボールを奪いなさい」と
言っていたんですけど、彼らは3秒で奪っていましたね。
それに関してももっともっと伸びていくと思います。
彼らはスピリットもありますし、本当に色々なものが伸びていくと思います。
そしてどのような分野を我々が伸ばさなくてはいけないかも
完璧に私は知っているつもりです。

Q：この合宿の期間中に6つ7つの攻撃の解決策を
選手たちに指導されたという中で監督ご自身の手応えとしてはいかがですか？
また、アフガニスタン戦に向けて得点力をさらに高めるためには
何が必要だとお感じですか？

A：色々な準備によるんですけど
まずはアフガニスタンのことに関しては彼らもおそらく引いてくると思います。
おそらく同じような状況になると思うので勝ちに行くということを要求します。
私のサッカーの哲学を少し彼らにもたらしていきたいなと思っています。
今日も10個か15個のビッグチャンスを創り出したんですけど
まだ完璧ではないという所です。
そして、おそらく相手は1回も我々の16メートルの中に入っていないです。
それに関して満足していないと。
確かに厳しく要求するというのは良いんですけど
私が彼らに求める理想はまだまだ遠いということです。
ただ、このチームはまだこれからも伸びます。これは確実に言えます。
どのようなレベルに行くのかというのはまだ難しいですね。
ただ、伸びるのは確実です。
そしてアフガニスタン戦では本当に勝つためにプレーしたいと思います。
我々はこの勝利のスパイラルを創りたいなと思っています。
そして我々は自信が付くと思います。
今回のビッグチャンスに関しては少し慌てていた、
もしくは悪い選択だったというのはあるかもしれません。
ゴール前でもう少し冷静さを持って欲しいなとも思います。
今日は香川真司にしても本当にあと少しの正確さで
点が入ったんですけど、それもまだ足りないです。
ただ、それも改善していくと思いますし、それは楽観的に考えています。

Q：最初に「少し選手はプレッシャーを感じていた」とおっしゃっていましたが
それは監督ご自身が厳しい要求を出しているからなのか
あるいはこれまで4試合勝っていないという状況からなのか
選手はどこにプレッシャーを感じていたのだとお考えですか？

A：シンガポール戦の後はやはり全員が結果を飲み込めない状況だったんですね。
そして私に関してはシンガポール戦の後に
この試合まで2ヶ月も待たなくてはいけなかったんです。
つまりそれをやりかえしたかったんですね。
今年の夏はシンガポール戦の引き分けを引きずって
ずっと私は生活していたんですね。
本当に選手は勝ちたかったと。そしてその気持ちは良かったと。
そして彼らがボールを奪うとか、そういった気持ちの所も凄かったですね。
3秒4秒でボールを奪ったと思います。
本当にこれは自分自身の復讐だ、やり返しだという気持ちは
彼らを見ていても見えたと思います。
そして本当に我々自身のやり返しだと。
これは我々の全スタッフですね。全スタッフに確認しました。
特にサポーターもですね。
シンガポール戦は素晴らしいものを創ってくれたと。
つまり我々は絶対に勝たなければいけませんでした。
他の選択肢はなかったということです。
おそらくそういったこともあって、ちょっと慌てたとか
少し不確実性があってということはあったかもしれません。
けれども、彼らに「おめでとう」と言いたいです。
もちろんもっと点数を取った状態で勝つのは理想ですけど
ただ今夜はネガティブにはなれないですね。
「おめでとう」とだけ言いたいです。

Q：監督はワールドカップを目指してチーム創りをされていると思いますが
そういう中でこういう相手、守っているだけの相手が続くというのは
非常に難しくてかなりストレスが溜まっていると思いますが
いかがでしょうか？

A：個人的にはストレスは感じていないです。
とにかく本当に勝ちたかった、それだけです。
そして、選手から本当に勝ちたいという欲求が伝わってきました。
そのせいで少し彼らがプレッシャーを
感じ過ぎたのではないかなというのは先ほどお話ししました。
そして、彼らの相手のブロックはかなり堅かった中で
我々が準備したのは「サイドで三角形を創りなさい」とか
「オーバーラップをしなさい」とか色々なことがあったんですけど
ちょっと複雑にし過ぎた所はあったと思います。
本田に関してもそれをちょっと修正したんですね。
特に逆サイドの武藤も修正しました。他の可能性を与えるためにですね。
最後の16メートルのフィニッシュの所ですけど
彼らが引き過ぎたのでちょっとスピードアップが物足りなかったですね。
我々のフォワード陣が早めに入って止まった状態を創ってしまいました。
だから岡崎と武藤には「ボールが自分から遠い所にある時の動きを注意しなさい」
という話をしました。
「自分でチェックの動きや騙す動きをして、スペースを創り出しなさい」と
いう話もしました。
2人がだいたい同じラインに入ってしまったんですね。
例えばそれを時々はマイナスのセンタリングをもらうとか
真司に関しても「フォワードの2人に対して少し引いた状況で受けなさい」と。
特に長谷部と山口にも「マイナスのボールをもらってシュートを打ちに行きなさい」
という話をしました。
ただ、物凄い人数が真ん中のゾーンにいたのでかなり難しかったですね。
それから3人目の動きも要求しました。3人目が動きながらですね。
ただ、本当に彼らが低い位置を取ったのでスペースがなかったですね。
おそらくアウェイではもしかしたらもう少し
スペースが生まれるかもしれません。
おそらくですけどアウェイの方がスペースがあって
点を取れる可能性があるかもしれないです。
開始1秒で彼らがもう16メートルの中ぐらいに
閉じこもっているのはすぐにわかりました。
今度は我々はFKの所も改善しなくてはいけないかなと思います。
また見られたと思いますけど、FKもまたなかったですし
ペナルティエリアでPKももらわなかったと。
おそらくそれに関しては我々は世界一だと思います。
相手ももちろんフィジカル的にゴール前に来ましたけど
まだ本当にFKがないと。
これはちょっと信じられないですけど仕方ないかなと。
3-0で勝ったので満足しているのではなくて
まだ改善することがあるということです。
もっともっと厳しい要求ができます。それは伸ばせます。改善していけます。

Q：監督は昨日の会見で「点を取ることで選手たちに自信を取り戻してほしい」と
いう話もされていましたが、今日3点を取ったことで
選手たちが自信を取り戻すのにこれは十分な結果だったと思われますか？

A：何人かは満足していると思いますけど、何人かは満足していないと思います。
私は満足しています。勝ちましたから。
ただ、もっともっと点が取れましたね。
これは批判ではなく気付きですね。
我々に厳しい要求をし続けて下さい。
我々は我々をそれによってもっと向上させたいと思います。
ただ、選手とチームはこのようにビッグチャンスを創り続けるということが大事です。
そして、このフィニッシュの所はまだまだハイレベルには行っていないですし
それは伸ばせると思います。

Q：一貫して速い攻撃を志向されていて
引いた相手に対してもそれをやろうとしている中で
日本はもうちょっとゆっくりしたパスで崩していくというのが
今までのやり方だったと思うんですけど
監督はあくまでも高いレベルの速いパス回しを追求していくということで
よろしいでしょうか？

A：まずは点を取るためのポジションを取らなければいけないという所から
始めなくてはいけないと思いますし
このように引いてきた相手に対して
おそらく一番良いのはサイドからの攻撃だと思います。
そして中央のコンビネーションはワンタッチで行くのが理想です。
2，3回のパスをコントロールなしで続けるというのが大事だと思います。
もしくはミドルシュートですね。
今日はこんなにセンタリングを上げて、少し合わせる所が足りなかったと思います。
何回センタリングしたかわからないですけど
しっかり合わせるという所が本当に足りなかったと思います。
おそらく我々はFKをして、それがヘディングになって
それがセンタリングで唯一成功したのでないかなと。
これから映像をしっかり用意して
センタリングに関してどのように合わせるかという所も
戦略的にゾーンを埋めて行こうと。
同じラインにならないように動きながらですね。
全てのことを伸ばしていかなくてはいけないかなと思っています。
本当に我々より弱いとは言いませんけど
そういったチームが低い状態のブロックで来た時に
点を取るというのは全世界で難しいですね。
我々もすぐにプレッシャーを掛けに行きましたけど
それから本田にも要求しましたし、後半にも少しチェンジしました。
武藤を中に入れて、真司を外に置いて
相手を困らせるようなこともトライしました。

以上になります。

土屋