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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年07月23日

クラ選グループステージBグループ 鹿島ユース×富山U-18@宮城総合

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0723miyagi1.jpg大会初優勝を狙うプレミアEAST首位に、大会初勝利を狙う北陸の新鋭が挑む80分間。鹿島アントラーズユースとカターレ富山U-18の激突は宮城総合です。
昨年末のJユースカップは2年生を中心としたメンバーで堂々たる日本一を達成。迎えた今シーズンもここまでプレミアEASTで首位を快走するなど、その充実ぶりが目を引く鹿島アントラーズユース。今大会も「長崎さんも非常にマジメな良いチームですから、非常に厳しい戦いだろうと思っていた」と熊谷浩二監督も話した昨日の初戦は、先制後に一旦追い付かれたものの、結果的に2-1で競り勝って勝ち点3を獲得。ハードな連戦というレギュレーションを考えても、今日の勝利でグループ突破を確実に手繰り寄せておきたい所です。
下部組織創設7年目で早くも3度目の全国大会出場と、北信越の中では確かな地位を築きつつあるカターレ富山U-18。今年の1月からアカデミーダイレクター兼任でチームの指揮を執っている東保成監督も、「半年しか経っていないんですけど、少し頭の中が変わってきてくれたかなと思います」と今のチームに一定の手応えを。昨日は徳島ヴォルティスユースにPKで決勝点を奪われ、0-1で惜敗したものの、主体的なスタイルは打ち出せたとのこと。全国屈指の強豪と対峙することで、自らの立ち位置を知るための大事な一戦に臨みます。昨日の灼熱地獄とは打って変わって、宮城総合は雨もパラつく絶好のコンディション。グループステージのセカンドラウンドは鹿島のキックオフでスタートしました


4分のファーストシュートは鹿島。ボランチの千葉健太(3年・鹿島アントラーズJY)が縦に付けると、1年生ながらスタメン起用となった石津駿斗(1年・鹿島アントラーズJY)が積極的なミドル。ボールは枠の右へ逸れましたが、早くも惜しいシーンを創出すると、最初の歓喜を迎えたのはその3分後。
7分に右サイドで獲得したFK。レフティの左SB大里優斗(3年・鹿島アントラーズつくばJY)が蹴ったボールは、富山の大﨑樹(2年・カターレ富山U-15)が跳ね返したものの、こぼれを拾った大里が再び左足で中央へ鋭いクロスを送り込むと、ボールは中央の密集をすり抜けてそのままゴール左スミへ飛び込みます。「ウチのストロングポイント」と熊谷監督も認めるセットプレーの流れから早くも結果が。鹿島が1点のアドバンテージを手にしました。
衝撃的な一撃はその1分後。8分に今度は左サイドで鹿島が奪ったCK。8番を背負う平戸太貴(3年・鹿島アントラーズJY)が蹴ったボールを、とんでもない打点の高さからヘディングで打ち下ろしたのはCBの町田浩樹(3年・鹿島アントラーズつくばJY)。その圧倒的な高さを見せ付けられての失点に静まり返った富山応援席。早くも点差は2点に広がりました。
10分を過ぎると富山もようやく落ち着きを取り戻し、ボールを動かしたい意志をピッチで披露しますが、以降も手数は鹿島。10分に大里が蹴った右CKは富山の左CBを務める放地駿(3年・カターレ富山U-15)がクリアしましたが、11分にはGKの木戸裕貴(2年・鹿島アントラーズつくばJY)のキックに垣田裕暉(3年・鹿島アントラーズJY)が競り勝ち、石津のリターンから垣田が枠内ミドル。16分にも大里の右CKに垣田が合わせるも、ここはオフェンスファウル。17分にも平戸の左FKは中と合わず、ゴール右へ外れたものの、セットプレーから連続して富山ゴール前を脅かします。
すると、やはり追加点もセットプレーから。20分、右から蹴ったCKのこぼれを大里が自ら拾ってクロスを送り、ファーへ詰めた垣田が押し込んで3点目。さらに23分、右からSBの戸田拓海(3年・イルソーレ小野FC)がスローインを投げ込むと、石津が巧みに落とし、右足を振り抜いた平戸のシュートはゴール左スミへ突き刺さって4点目。「昨日も先制点はポイントにしていたんですけど、昨日はその後にチーム全体に満足が出て、2点、3点と畳み掛けられずに苦しんだので、そこを意識して全体で入りました」とは千葉。鹿島が一気のラッシュで大きくリードを広げました。
あっという間に失点を重ねた富山は「去年までは速いサッカーだったんですけど、もうちょっとできることを増やしてあげたい」という東監督が取り組んできたボールを大事にするスタイルは随所に垣間見られるものの、鹿島のプレッシャーの速さにパスの繋がる本数も限られ、最前線のキャプテン高橋大樹(3年・カターレ富山U-15)も孤立。エリア内への侵入もままなりません。
29分は鹿島。右ショートコーナーから石津のリターンを大里が蹴り込むも、ニアで大﨑がしっかりクリア。30分も鹿島。大里の右CKを垣田が頭で触り、戸田が拾って再びCKを獲得すると、この左CKから平戸のキックにまたも高い打点でのヘディングを敢行したのは町田。ボールはゴール右スミギリギリへ収まります。「やっぱりアントラーズさんが厳しいリーグで、厳しい地域でやられているのがそのまま出たというか、ウチらが県リーグで体感したことのない部分がそのまま出てしまった」と東監督。スコアは5-0へと変わりました。
36分も鹿島。平戸の左CKにニアで松浦航洋(2年・鹿島アントラーズJY)が合わせるも、ボールは枠の右へ。38分も鹿島。吉岡樹利也(3年・ソレッソ熊本)を起点に石津が右へ振り分け、戸田のクロスへ飛び込んだ垣田のヘディングは枠の右へ。39分も鹿島。戸田の右クロスを石津が折り返すも、良く戻った青島章人(2年・カターレ富山U-15)が何とかクリア。40分から平戸が連続して蹴った左CKも、2本目は武部奏太郎(2年・カターレ富山U-15)が必死にクリアしましたが、「どことやるに当たってもそこは力を掛けるべきポイントだと思っています」と熊谷監督も認めたセットプレーから5点を奪った鹿島が大きくリードして、ゲームはハーフタイムに入りました。


後半はスタートから鹿島に2枚替え。戸田と石津に替えて、宮本健太(3年・鹿島アントラーズつくばJY)と武田諒太(3年・鹿島アントラーズJY)を送り込み、右サイドと前線の顔ぶれに変化を加えると、42分には大里の右CKをニアで垣田がすらし、中野純(3年・鹿島アントラーズJY)が狙ったヘディングはわずかにゴール右へ外れましたが、後半もセットプレーの脅威を富山の喉元へ突き付けます。
ただ、富山も48分には左WBの浅島悠人(1年・カターレ富山U-15)が斜めのボールを中央へ流し込み、受けた高橋はそのままミドル。ここは木戸にキャッチされたものの、ようやくこのゲームのファーストシュートを記録。49分には浅島と向川巧海(3年・カターレ富山U-15)、大﨑と桶川陽永(2年・カターレ富山U-15)をそれぞれスイッチする2枚替えを敢行し、何とか陥れたい鹿島ゴール。
次の得点もスタートはセットプレー。53分、右から大里が入れたCKは佐々木玲旺(2年・カターレ富山U-15)がライン上でクリアするファインプレーに阻まれましたが、大里が右から入れ直したクロスを垣田が叩いたヘディングは、ゴールネットへ突き刺さります。鹿島伝統の13番がきっちりドッピエッタ。スコアは6-0となりました。
折れない富山も54分には狙いの一端を。右寄りでボールを持った右CBの徳田弥武(3年・カターレ富山U-15)は鋭いクサビを中央へ。ギャップに潜っていた田村晋之介(2年・SQUARE富山FC U-15)はボールを受けると、反転してミドルにトライ。ボールは木戸がキャッチしたものの、「『今日の相手とのシステムを考えると、絶対にこのコースは空く』と。『良く相手を見てごらん』というのは言いましたね」という東監督が授けた""空くコース"を生かしたフィニッシュ。富山が滲ませた恐れなきトライ。
55分は鹿島に3人目の交替。吉岡に替えてジョーカーの色摩雄貴(3年・鹿島アントラーズつくばJY)を投入。57分に左サイドを切り裂いた大里の折り返しを色摩が外したシーンを経て、60分には富山に2人目の交替。武部を下げて酒井和馬(3年・FCひがしJユース)をボランチへ送り込み、青島が3バックの右に落ちる配置転換を。それでも、次に生まれたゴールは"1点目"ではなく"7点目"。
64分に右サイドへ展開した流れから、宮本は完璧なピンポイントクロスを中央へ。ここに走り込んだ色摩はこれまた完璧にミートしたヘディングをゴールネットへねじ込みます。「開幕から考えると4人か5人は出られなくなってきている子もいる中で、チャンスをもらった人間がレベルアップしてきている」という熊谷監督の言葉を証明するかのような、途中出場の2人で生み出した素晴らしいゴール。鹿島に7点目が記録されました。
65分は富山のスムーズなパスワーク。徳田が左へ展開すると、向川、佐々木と短く繋ぎ、田村の左クロスは町田に弾き返されたものの、おそらくは普段のゲームで披露していることの一端を。67分には鹿島も松浦と西本卓申(2年・アルバランシア熊本)を入れ替えると、70分には右サイドに流れた千葉の縦パスから、垣田の折り返しを西本が枠内へ。ここは富山のGK岸大誠(3年・カターレ富山U-15)が意地のファインセーブで弾き出し、直後に左から平戸が蹴ったCKをニアで色摩が合わせるも、ボールはわずかにゴール右へ。少しずつ富山の粘りも見え始め、ゲームは最後の10分間へ。
73分は鹿島最後の交替。武田に替えて、仲田真悟(3年・鹿島アントラーズノルテJY)を左SBへ送り込み、大里が1列上がって左SHへ。同じタイミングで富山も4人目の交替。放地と佐伯拓武(1年・カターレ富山U-15)を入れ替え、守備のてこ入れでこれ以上は失点しない覚悟を鮮明に。73分に平戸が入れた左CKは岸がパンチングで回避。逆に75分には桶川が中央をドリブルで運んで、木戸にキャッチを強いるミドルを枠内へ。79分にも平戸が蹴った左CKはそのままラインを割ってゴールキックへ。鹿島が後半で蹴った6本のCKで、得点に結び付いたのは1本のみ。「前半あれだけやられて『もうわかったろ』という話をだいぶ言って後半に入らせた所、失点はありましたけど、こっちからアイツらを見ている雰囲気が『もうやらなきゃ』『マークしなきゃ』という雰囲気が全然違って、『ああ、良かったな』とそこは笑顔になれてしまう所ではあったんですけどね」と東監督。試合中で選手たちは体感し、施した確かな修正。
80+2分のラストチャンスは富山。佐々木がドリブルで獲得したFKを、76分に投入された藤田純平(3年・カターレ富山U-15)がグラウンダーで送り、突っ込んだ佐伯も届かずにファーへ抜けると、程なくして吹かれたタイムアップのホイッスル。「ここ最近プレミアリーグも含めて少し終盤、ロスタイムに失点することがあって、『勝っていても余計な失点があるぞ』というのは、子供たちに課題として伝えながら取り組んでいる所なので、今日は最後まできちっとできたと思います」と熊谷監督も評価を口にした鹿島が大勝を収めて、グループステージ連勝を飾る結果となりました。


鹿島で印象的だったのはキャプテンマークを巻いた千葉。ある程度点差が付いても、攻撃のセットプレー時には最後方から守備に備えた指示やプレー面での修正の指示をしきりに送るなど、油断という文字は微塵もなし。「全体的にも良い時は良いんですけど、悪い時にうまく行かなかったりということが多いので、そういう時に自分が少しでも声とかで雰囲気を変えられるようにすることを意識して、常に声は掛けるようにしています」という主将は「小さい頃からアントラーズにお世話になっていて、近くでトップの選手の姿を見ていたこともあって、チームに力を与えたり、チームを勝たせるようにする選手が鹿島の選手だと自分でも思っているので、自分が相手よりも誰よりも声を出したり戦ったりすることは負けたくないし意識しています」とキッパリ。「サッカーが上手いというよりも強いなと。体が何とかというよりも、『サッカーをやらせると強いな』と。『勝負をさせると強いんだろうな』というのを感じました」と敵将の東監督が表現した鹿島を牽引する小柄な5番は今後も要注目だと思います。
残念ながら大差を付けられ、グループステージ連敗となってしまった富山。それでも「いくら口で言っても映像で見せても、肌で感じ続けている中でやっている人たちとの差というのはどうしてもあるのかなというのは正直な所」と東監督が言及した部分を、"肌で感じた"ことが大きな財産になっていくであろうことは容易に想像できます。「あのプレッシャーの中で、まだまだ弱いし下手なんですけど、今までやってきたことを出せるか出せないかという所でやりがいがあったというか、何点差を付けられようが『もっと楽しんで欲しい』『僕らも楽しみたいし最後までやらせたい』というゲームでした」と話した指揮官は、「ああいうのを日常的に体感できる場所に、早くあの子たちを連れて行ってあげないとなというのが正直な所でしたね」と想いを新たに。「まだ我々はできて10年にも満たないクラブで、クラブの幹みたいなものができているのかと言ったらそういう所はまだまだですけど、できることから少しずつ少しずつ積み上げていくしかないのかなと今は考えています」という東監督に率いられたカターレ富山U-18の挑戦はまだまだ始まったばかりです。      土屋

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