日産スタジアムで行われた
キリンチャレンジカップ2015の
日本×イラクは4-0で日本が勝ちました。
以下、試合後の記者会見における
日本・ヴァイッド ハリルホジッチ監督のコメントです。

（日本・ヴァイッド ハリルホジッチ監督）
【試合総括】
まず、みなさんこんばんは。
良い試合をしたと思います。
スペクタクルな試合だったと思います。
そして選手はパフォーマンスとしてかなりの速さを見せてくれました。
もう少し点が取れたかなと思いますけど、選手にブラボーと言いたいです。
そして観客の皆さんにも「素晴らしい応援をして頂いてありがとうございます」と言いたいです。
このような道をどんどん続けていきたいなと思っています。
私がいつも言っているように「勝利、勝利」ということを
W杯の予選のための素晴らしい準備になりました。
大変満足しています。この道を続けていきたいなと思います。
ただ、そうは言ってもここで満足するのではなく
もっとこのチームは良くなると思います。
向上させようとトライしてみたいと思います。
選手は私が要求したことをしっかりやってくれています。
ディフェンス面に関してもオフェンス面に関してもですね。
そしてハイレベルなアクションをしてくれました。
ただ、もう少し強豪国のようなものを求めてみたいです。
本当にフットボールとしては素晴らしいものを
皆さんに提供できたのではないでしょうか。

【質疑応答】
Q、監督が求めている「縦に速く」や「球際で奪う」のを試すのに
今日の試合は満足だったでしょうか？物足りない所はありましたでしょうか？

A、この試合には非常に満足しています。
この何年前かにチームがやっていた方法を抜本的に変えました。
特にオフェンス面の組み立ての所ですね。
3人目、4人目の動きを要求してきましたし
それからワンタッチも要求してきましたし
それを良くやってくれたのではないかなと。
本当にそれに関しては満足しています。
少し空白の時間もありましたけど
ただ、まだ３ヶ月しかトレーニングをやっていませんので
そうは言ってもかなりの向上をしたと思います。
ほぼ相手がシュートをほとんど打っていない状態を創りました。
我々のディフェンスとゴールキーパーのコミュニケーションが
少し足りないことで少しピンチもありましたけど
ただ、そうは言ってもディフェンス面に関しては
アグレッシブ、オーガナイズ、全員がそういったものを見せてくれました。
全員がそれをやらなければいけないですし
そうすることによってより簡単に我々は勝利に到達することになります。
そして、彼らは本当に頑張るんですね。
それを各選手が出してくれました。
そして私は監督として非常に満足しています。
ただ、ここで満足するのではなく
まだまだたくさんの伸びしろがあります。
交替して入ってきた選手も見せてくれましたし
競争がかなり高くなったなと思っています。
だから、全員が最大限のものを出さないといけないと思っています。

Q、2点取った20分過ぎまでは非常に細かいパスを繋ぎながら
速い攻撃ができていましたが、その後はブロックを少し後ろに固定して
カウンターで深さを多用するような攻撃へ変わったように見えました。
後半になって選手を替えて元の攻撃に戻した中で
それぞれの局面でパフォーマンスに差があったように見えました。
そのへんをどう分析されますか？

A、20分で2点取ったというのはかなり素晴らしいですね。
それを90分続けるというのは難しいですね。
リーグ戦が終わったばかりですし
少しの時間しかトレーニングしていませんし
かなり疲労があって何人かの選手はほとんどトレーニングできなかったと。
ただ、このリズムを保つにはまだもうちょっと、数か月必要です。
最後までやらなくてはいけないと。
先ほど言ったように確かに空白の時間もありました。
そこは少し慌てた状況ですね。少し"やり過ぎ"という所ですね。
そういった所は理想の所ではなかったですけど
タクティクスコントロールの所では色々なことを話してきましたけど
もう少しそのへんを向上しなければいけないかなと。
確かに後半も理想のリズムではなかったですね。
最初の20分を次の20分も続けて欲しいなと思いますし
数十回ほど攻撃面でかなりハイレベルなアタックがありました。
その最後の所で少し慌てた状況で
フィニッシュまで行かなかった場面もありましたけど
全員が得点を取りたいと思い過ぎて
ポジションが少し良くなくて十分な、効果的なセンタリングはなかったですし
センタリングに対しての良いポジションですね。
まだまだたくさんのことを修正しなくてはいけないと。
ただ、このチームは本当に今の所かなり大きな満足を与えてくれています。
彼らと仕事をするのが本当に楽しいですし喜びです。
本当にこちらが十分満足するほど、彼らは良く働いてくれます。
監督としても彼らの行動に本当に満足していますし
もっとできると思うので、もっと厳しくしたいなと思っています。
しっかりトレーニングを続けて、そして勝利をこのように得たので
もっともっと彼らを勇気付けなければいけません。
まあ、まだ最後までは行っていませんけれど。

Q、3月の試合からかなり精度が上がっているように見えたのですが
3月以降で全員が揃って戦術練習をしたのは1回だけだったと思います。
なぜ監督のやりたいことがここまでピッチで表現できるようになったと
お考えでしょうか？

A、今日のチームはかなりテクニックを持った人を選びました。
彼らに動きながらワンタッチ、ツータッチを要求しました。
このオフェンス面に関しては7，8人が攻撃参加できるようなスタイルで
特に両サイドバックはかなり上がっていましたし
柴崎、香川、岡崎、本田、宇佐美と。
そして彼らはフットボールの選手ですね。
彼らがボールをしっかり持って運んで
さらにボールを持たずに背後に出たら
グラウンダーのボールを使えば、かなりハイレベルなプレーができると証明しました。
皆さんがトレーニングを見られたかわかりませんけど
かなり速いパス回し、コンビネーション、
それから動きながらワンタッチ、ツータッチのプレーを何度も何度もしてきました。
それを彼らが感じたんでしょうね。
そしてサポーターも観客も席を埋めてくれましたし
グラウンドが良いですし、それ以上何が望めるでしょうか？
スペクタクルなプレーをするだけですね。
皆さんにとっても満足できますし、
ジャーナリストの皆さんにもしっかり分析して頂いて
今日何が起きたかを見て欲しいですけれど、
ただ、日本に来てまだ３ヶ月しか経っていないので
まだまだ私の理想からは遠いのですが
まだまだそんなに向上したとは思っていませんけど
ただ多くのことはできたなと。
ただ、今日はメンタルのことに関して宇佐美のプレーを見られましたか？
彼はやりましたよね。
「行けよ、行けよ」と。「アグレッシブに行けよ」と
真司にも言いましたし、本田にも言いました。全員に言いました。
まあオカには言っていないです。オカはもう勝手に行きますから。
「後ろを見てから行ってくれよ」とは言いました。
そういったことを彼らは喜んでやってくれました。
そして、自分たちから喜びを見出した形ですね。
W杯の後にデリケートな時間を過ごしたと思うんですけど
それを見たので抜本的に変えたいなと思いました。
そして、彼らを勇気付けるのは勝利です。
もしかしたらこの先、試合に負けることもあるかもしれません。
ただ、そういった負けた試合でも彼らの反応を見てみたいです。
我々の向上を続けながら、毎回の合宿でもっと厳しく要求したいです。
ただ、今日は清武に関しては物凄く良いトレーニングをしてくれたので
今回この試合に来られなかったことは残念でした。
競争意識がすべてのポジションにあると思いますし、それがチームの力です。
もちろん試合に出られなかった選手は満足していないと思いますけど
これがチームというものですね。

Q、監督のサッカーで１人１人のやる気というか、
「自分で何かしてやろう」という気持ちはとても大事だと思いますが、
その「自分でやってやろう」というプレーと
チームとしてやるプレーのバランスは
今日の試合はどのように考えられますか？

A、個人の能力を組織に生かすというのが大事ですね。
個人の能力を"閉じる"ということはやったことがありません。
本田とか宇佐美とか真司とかですね。
彼らは能力があるので何かを見せなくてはいけないということです。
ただ、チームとしての機能を果たさなくてはいけないですね。
１人だけのプレーではだめです。
それを彼らは理解しなくてはいけません。それがチームの力ですね。
個人の力もあるし、能力を組織に生かすということですね。
それが強豪国への道だと思いますね。
そして、フィジカル的にもっと良い準備をしたいと思います。
もっとフィジカル面が20パーセントは向上すると思います。
そしてどんなチームが相手でも良いプレーができると思います。
我々は世界で一番強いチームにはまだまだ程遠いですし
本当にまだまだ焚き付けないで欲しいんですけど
私がここにずっと残るか、予選を突破するのか全然わかりませんよ。
3年残れるかどうかも様子を見て下さい。
時間があるかどうかはまだわかりません。
この選手たちと一緒に歩いて行けるかもまた見ていて下さい。
そういった様子を見ながら向上させていきたいなと思っています。

以上になります。

土屋