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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年04月04日

関西学生1部前期第1節 阪南大×甲南大@J-GREEN堺

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0404sakai1.jpg関西の大学サッカー界にもいよいよ訪れた球春。ディフェンディングチャンピオンの阪南大と、5年ぶりとなる1部復帰を果たした甲南大の開幕戦はJ-GREEN堺です。
昨シーズンは2年ぶりにリーグ戦制覇を達成。総理大臣杯でもベスト8に進出すると、インカレでは準決勝で同じ関西の関西学院大に屈したものの、かなりの好成績を残した阪南大。王者として臨む開幕戦ですが、そのタレントの多さから「新チームになってから僕たちも全日本選抜で抜けたり、関西選抜で多く抜けたりしていて、全員で一緒に練習する期間が結構少なくて細かい所は全然合わせてない」と話したのはキャプテンを任されている松下佳貴(4年・松山工業)。目標の連覇へ幸先の良いスタートを切りたい一戦です。
混戦の2部Aリーグを堂々の2位で抜け出し、5年ぶりに関西のトップディビジョンへ帰還した甲南大。『挑戦』というスローガンを抱いて挑む今シーズンは、インカレ出場という大きな目標を掲げて戦う1年に。開幕戦の相手は王者・阪南大ですが、敵将の須佐徹太郎監督も「去年の関西選手権も負けそうだったもん」と話したその関西選手権では、敗れたものの2-3と肉薄。今回こそは大物食いを果たしたい90分間を迎えます。開会式直後のゲームとあってスタンドには700人を超える観衆が。注目の開幕戦は阪南大のキックオフでスタートしました。


ゲームのファーストシュートはわずか13秒の阪南。ミドルレンジから1トップの前田央樹(3年・アビスパ福岡U-18)が放ったミドルはクロスバーの上に外れましたが、まずは開始早々のフィニッシュに先制への意欲を滲ませると、6分にも脇坂泰斗(2年・川崎フロンターレU-18)、外山凌(3年・前橋育英)とボールを繋ぎ、左SBを務める藤原奏哉(2年・ルーテル学院)のミドルもクロスバーを越えたものの、積極的な姿勢でゲームを立ち上げます。
7分も阪南。脇坂が右へ送り、田渕大貴(3年・大阪桐蔭)のクロスに八久保颯(4年・秀学館)が合わせたヘディングはゴール右へ。9分も阪南。右CKを松下がショートで蹴り出し、田渕が残して八久保が放ったシュートはDFが弾き、松下が狙ったミドルはクロスバーの上に消えるも、きっちりフィニッシュまで。12分には甲南も左からの展開でニアに潜った小野翔太(2年・神戸科学技術)はシュートを打ち切れず。この前後に2トップの一角に入った小野と右SHの吉村祐輝(2年・ヴィッセル神戸U-18)を入れ替えましたが、なかなか攻撃の手数を増やせません。
14分も阪南。田渕が左へサイドを変えると、外山のクロスをダイレクトで叩いた八久保のボレーは枠の左へ。16分は阪南の決定機。松下が裏へフィードを落とし、マーカーと入れ替わった八久保のシュートは右のポストにハードヒット。「まさか相手があんなに引いてくると思わなかった」(須佐監督)「前半は相手がずっと引いていて前から来なかった」(大西将・4年・阪南大学高)と2人が声を揃えたように、引かれた相手にもジワジワと掛け続ける圧力。
決壊の時は21分。松下が左へ展開したボールを、「とにかく走れるし変な取られ方をしない」と指揮官も評価した藤原が中へ付けると、ミドルレンジから脇坂は右足一閃。低空飛行のボールは右スミのゴールネットへ鮮やかに突き刺さります。「やっとテンポ良くなった時に脇坂のミドルシュートが出た」とは須佐監督。今シーズンから9番を背負う脇坂のゴラッソで阪南がスコアを動かしました。
28分にも脇坂のパスからエリア内へ侵入した八久保が、甲南のGK倉本仁志(4年・神戸科学技術)にファインセーブを強いるシュートを放つなど、追加点を狙い続ける阪南は、それでもこのシーン以降は少し前へのパワーが減退。一方の甲南は29分、CBの大塚雄太(4年・県立西宮)のフィードに吉村が抜け出し、シュートは阪南のディフェンスリーダー甲斐健太郎(3年・立正大淞南)がブロックしたもののシンプルなアタックを繰り出すと、34分にも中盤でボールを奪った橋川秀二(3年・大阪桐蔭)がドリブルで前進。福寿晃希(3年・滝川第二)がコース取りを迷い、チャンスは潰えましたが徐々に出始めたアタックへのトライ。
「前半はモタモタした」とは須佐監督。36分は田渕が右へ蹴ったボールを外山が頭で落とすも、前田は打ち切れずに倉本がキャッチ。37分も八久保の左CKに甲斐がフリーで飛び込むも、ヘディングはクロスバーの上へ。38分に外山が放ったミドルはクロスバーの上へ。40分に松下のパスから八久保が右アーリーを放り込むも、外山には届かず。追加点を奪えずジリジリした中での阪南ペース。
9番の煌きは42分。中央で前を向いた脇坂は、狭いスペースへ最高のタイミングでスルーパス。走った外山が戻した折り返しを八久保が枠へ収めるとGKも掻き出し切れず、ボールはゴールラインを割ったという判定が下されます。「面白い攻撃を仕掛けてくれるので、ゴールの決まり方が面白いチームだと思う」と大西も胸を張った見事なアタック。点差が広がりました。
畳み掛けた須佐軍団。43分に松下の縦パスから八久保がダイレクトで放ったシュートは倉本にキャッチされましたが、2分後にすぐさまリベンジ。左サイドから外山が中央へ速いクロスを送ると、逆から突っ込んできた八久保がきっちりミートした右足ボレーはゴール左スミへ吸い込まれます。「終了間際の1点というのもそうだし、ハチがあそこに飛び込んでいくというのがデカい」と須佐監督も納得の一撃。スコアは3-0に変わって、最初の45分間は終了しました。


3点のビハインドを追い掛ける甲南はハーフタイムに2枚替え。右SBの寺西元輝(3年・県立伊丹)と福寿を下げて、福田宜史(4年・桃山学院)と西彰太(3年・桃山学院)を送り込み、整えた反撃体制。47分には左から吉田和史(2年・静岡学園)が蹴り込んだFKはDFのクリアに遭うも、まずは1点を取りに行くための勢いを打ち出します。
51分に脇坂とのワンツーから八久保が右クロスを送り、フリーで打った外山のヘディングが倉本に止められ、52分にも右サイドで八久保が2度の切り返しから持ち込んだクロスを、外山が粘って脇坂が放ったシュートが枠の右へ逸れると、須佐監督は1人目の交替を決断。前田を下げて松尾雄斗(2年・コンサドーレ札幌U-18)をSHへ投入し、外山を最前線へスライドさせて窺う4点目。
反攻の甲南。53分、大塚の好フィードに西が反応し、ここは大西が果敢な飛び出しでカットしたものの、54分には右サイドを吉村が独走。枠へ飛ばしたシュートは「今年は僕もやっと中心選手になれたので、それを自信にしっかり声を掛けてまとめるようにしています」という大西がファインセーブで阻みましたが、あわやというシーンを。バックスタンドの黄色い応援団も声援にさらなる力が入ります。
4度目の歓喜は意外な伏兵が。59分に右サイドで獲得したFK。スポットに立った松下は低いボールを蹴り込むと、エリア内でこぼれたボールへ真っ先に反応したのはリーグ戦デビューとなった岡部拓実(2年・正智深谷)。右足で蹴り込んだボールは目の前に広がったゴールネットを確実に揺さぶります。「後半になって相手が上がってきた時にちょっと後手を踏んだり、対応できなかったりという部分はあった」(大西)嫌な流れの中でCBが貴重な4点目。試合の大勢は決しました。
66分に西がヒールで左へ落とし、キャプテンの阿波野稔旺(4年・県立西宮)が送った速いクロスも大西に掴まれた甲南は、直後に3枚目のカードを。ボランチを橋川から谷壮一郎(2年・作陽)にスイッチすると、69分には決定的なシーン。高い位置で相手のミスを突いた吉村は一気に独走。そのまま放ったシュートは、しかし「味方のアクシデントに対して常に準備して、シュートに対しても全部止めようという意識で臨んでいたので、止めたのも良い準備をしていたから対応できたと思っています」と振り返った大西が完璧なポジショニングで仁王立ち。失点を許しません。
73分には阪南に2人目の交替。田渕を下げて大本祐槻(3年・野洲)が左SBへ送り込まれ、左SBの藤原が右SBへ移ると、74分にはいきなり入ったばかりの大本が八久保のフィードを粘って収め、ニアサイドを狙ったシュートまで。ここは倉本がファインセーブで応酬し、ゴールとは行かなかったものの、78分にも松下が右へスルーパスを打ち込み、外山の折り返しから脇坂が倉本にキャッチされる枠内シュート。「後半はちょっと崩れてますよ」と指揮官が表現した中でも阪南のゴールに対する希求は衰えず。
81分の主役は途中出場の2人。「佳貴だけは格の違いを見せたんじゃないですか」と須佐監督も賞賛した松下を起点に脇坂が綺麗なスルーパス。左サイドから中へ潜った大本のシュートはDFにブロックされたものの、こぼれに詰めた松尾のボレーはゴールネットへ飛び込みます。「サイドバックの所で1枚剥がせるかとか、キッカケを創れるかというのは、お互いのすべてを決めるかもしれない」と言い切る須佐監督の送り出した左SBが得点に絡み、とうとうスコアボードに5の数字が踊りました。
一矢報いたい甲南。87分に倉本の正確なパントキックを阿波野が縦に蹴り込み、走った吉村が獲得したCKも小野のボールはシュートまで行けず。逆に90分には阪南も脇坂が左へ出したスルーパスを松尾はグラウンダーで中へ戻し、八久保のシュートは左ポストを直撃。90+1分は甲南のラストチャンス。阿波野が粘って残し、吉田がドリブルから放ったシュートも甲斐が確実にブロックして阻むと、堺の空に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「内容で圧勝した感はないんですけど、点を多く取って勝ち切れたというのは良かったと思います」と松下も語った阪南が、快勝で開幕戦勝利を飾る結果となりました。


阪南の強さが際立った試合でした。主力が多く残る中でも、昨年は出場機会を得られなかった岡部が安定した守備に加えてゴールまで記録すると、同じくトップでの実戦経験の浅い藤原も、先制点に絡みながら両サイドバックを務め上げるなど、選手層の厚さを誇示。さらに、「最近は失点が多かった」(須佐監督)とのことですが、危ない場面は「今年になって関西選抜にも選ばれて、やっと自分の立ち位置を見い出せて、サッカーに対する気持ちももっと強くなったし、意識も凄く高くなっている」という大西が守護神の名にふさわしい好セーブ連発でゴールに強固な鍵を。試合を見ていた他校の監督からも随所で溜め息が漏れていました。「今年連覇を目標にできるのは僕たちだけなので、チームとして連覇を掲げている」と松下。12年ぶりのリーグ連覇へ。阪南が手応え十分のスタートを堺の地で切りました。       土屋

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