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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
14時キックオフはここ数年で東京のカナリア軍団の座を奪い合っている実力派同士の対峙。十条のカナリアと新小岩のカナリアが激突する好カードも駒沢第2です。
最後に選手権で全国の舞台を踏んだのは6年前。昨年の選手権予選は初戦敗退という悔しさを体感し、新シーズンに捲土重来を期している帝京。全国制覇の味を知る日比威監督の下、名門復活を懸けて臨む新シーズンは、当然過去に7年連続2位を
経験するなどなかなか手の届かないプリンス関東の扉をこじ開けるべく、リーグ戦の頂点も虎視眈々と狙っています。
一方、一昨年まではプリンス関東に所属していたものの、リーグ再編のあおりを受けた格好で、昨年から再びTリーグに主戦場を置いている関東第一。選手権予選のファイナルで2年連続の敗退を喫して以降は、なかなか都内のコンペティションでも結果の出ない日々が続いていますが、丁寧なチーム創りに定評のある小野貴裕監督もそろそろトーナメントでの勲章を1つ付けたい所。新シーズンの幕開けを勝利で飾りたい一戦です。徐々に強くなってきた北風と反比例するように、スタンドの観衆は増加する一方。激戦必至の90分間は帝京のキックオフでスタートしました。
お互いに主導権を奪い合うような格好で立ち上がり、なかなか手数の出てこない静かな序盤を経て迎えたファーストチャンスは、関東第一が掴んだいきなりの決定機。11分、冨山大輔(1年・FC習志野)のパスから抜け出した林健太(1年・FC VIDA)のフィニッシュは、帝京のGK竹内大樹(2年・AC長野パルセイロJY)が何とか防ぎ、詰めた高橋快斗(2年・P.B.J)のシュートは帝京のCBに入った五十嵐陸(1年・FCトッカーノ)が懸命にブロックしたものの、前線の連携で1つチャンスを。12分にも右サイドでボールを持った高橋はエリア外から枠内シュート。少し飛び出していた竹内は何とか弾き出しましたが、「ちょっと変則の4-4-2」(小野監督)でゲームに入った関東第一がまずは攻勢に打って出ます。
対する帝京も14分にはセットプレーのチャンス。レフティの高橋心(1年・A.N.FORTE FC)が蹴った右CKから、ニアへ飛び込んだ青柳寛己(1年・遠藤サッカーアカデミー)はシュートまで持ち込めませんでしたが、悪くないトライを。22分にはボランチの山﨑大熙(1年・S.T.FC)が左へ散らし、キャプテンの長倉昂哉(2年・さいたま木崎中)が上げたクロスは関東第一のGK円谷亮介(2年・FC東京U-15深川)にキャッチされたものの、ようやく出てきたゴールへの萌芽。
ただ、「ちょっと風も強いのと、春先なのでたぶんゲームが落ち着かないと思っていたので、前半のらりくらりで良いと子供に言った」と小野監督も話した通り、関東第一にそこまでギアチェンジの兆候は見えず。23分には道願翼(2年・VIVAIO船橋)の展開から、新藤貴輝(1年・フレンドリー)がクロスを入れるも、飛び出した竹内がしっかりキャッチ。31分には帝京も五十嵐が左へフィードを送り、得意のシザースで持ち出した長倉のクロスは、戻った関東第一のボランチ浦川眞世(2年・三井千葉SC)が何とかクリア。膠着した時間が続きます。
32分は関東第一。道願、冨山、新藤とスムーズなパスワークが飛び出し、高橋のシュートは竹内が好セーブで応酬したものの、ようやく中央を崩すアイデアが。34分も関東第一。高橋を起点に道願、新藤と繋ぎ、道願のシュートはDFのブロックに遭うも、連続してショートパスからシュートシーンまで。43分は帝京。高い位置でボールを奪った市川雅(1年・ジュビロSS浜松)がそのまま放ったシュートはDFに当たって円谷がキャッチ。やや静かな展開で推移した最初の45分間は、0-0でハーフタイムに入りました。
「あまり前半行き切って後半バテちゃって、力を使えるポイントを全部使っちゃうと厳しいと思った」ものの、45分間のパフォーマンスを見て「『おまえら力抜き過ぎだろ、どうなってんだ』って(笑) 『何なんだ、よほど温存しただろ』って笑って言っちゃいました」とは小野監督。「本当はデカい声で言ってやろうかと思ったけど」、笑って送り出された選手たちはハーフタイムが明けるとスタートからラッシュ。47分に道願が積極的なミドルを枠の左へ外すと、共に冨山が蹴り込んだ50分の左CKと53分の左FKはシュートに結び付かなかったものの、54分には新藤のボールカットから林を経由して、冨山が左足で狙ったシュートはクロスバーを越えましたが、「後半から『さあ、やろう』とできたので入りも良かったと思うし、そこからイニシアチブも取れていた」(小野監督)関東第一がゲームリズムを引き寄せます。
55分には帝京も1枚目の交替として10番の鈴木啓太郎(2年・ジュビロSS浜松)を送り込みましたが、55分のチャンスも関東第一。新藤、冨山と回して浦川は左へスルーパス。飛び出した林はオフサイドの判定も悪くないチャレンジ。57分にも新藤、浦川とボールを動かし、高橋は左へ。上がってきたSBの佐々木功輝(2年・アルドール狭山FC)のクロスは、青柳が何とかクリアするも、「前半は怖がってやっていたんですけど、後半は強気になってやってくれた」と指揮官も評した右の大須賀琢真(2年・FC東京U-15深川)と左の佐々木を配したSBの攻め上がりも増加して、サイドの主導権も獲得。59分には帝京のCBを任された平井寛大(2年・帝京FC)のフィードに長倉が走るも、良いポジショニングを取っていた関東第一のCB鈴木友也(1年・VIVAIO船橋)がきっちりカバーしてオフェンスファウルに。さらに62分には新藤に替わって、鈴木隼平(2年・Forza'02)がピッチへ入ると、最終ラインを束ねていた中村翼(2年・大豆戸FC)は自らが巻いていたキャプテンマークを鈴木隼平の腕へ。攻守に噛み合い出した歯車。目指すは先制点と勝利のみ。
差し込まれる展開を強いられた帝京も65分に2人目の交替を。右SHの大塚迅人(1年・FC東京U-15むさし)に替えて、桑島健太(2年・和歌山西脇中)を送り込んで中盤のバランス向上を図るも、流れは依然関東第一に。66分には道願のパスから高橋が放ったシュートはDFが体でせき止め、こぼれを拾った浦川のシュートはクロスバーの上へ。67分に高橋のパスから、巧みなターンで前を向いた冨山のミドルは竹内がキャッチ。69分には浦川のパスを引き出した冨山が完璧なスルーパス。走った林は左へかわそうと持ち出すも、ここは竹内が足を伸ばしてストップするファインプレーを披露しましたが、「やっと真ん中の3枚でボールが回るようになってきた」(小野監督)関東第一の続く攻勢。
帝京も70分には五十嵐が約35mの、71分には高橋が約25mの直接FKをどちらもDFにぶつけると、72分は関東第一。高橋の左クロスをファーに潜った鈴木が頭で折り返し、平井が間一髪でクリアして帝京もピンチを切り抜けますが、とうとうスコアが動いたのは77分。林が付けたボールを浦川は丁寧に左へスルーパスを送り、高橋はGKとの1対1も冷静にループをチョイス。ボールはフワリとゴールネットへ飛び込みます。「それなら前半の最初に決めておけよとか思うけど(笑)」と笑ったのは小野監督ですが、高橋の技アリループで関東第一が1点のリードを手にしました。
アドバンテージを得た小野監督はすかさず2人目の交替を決断。林に替えて菅屋拓未(1年・POMBA立川FC)を投入し、サイドの守備力向上を。帝京も81分に中盤で奮闘した富澤玲太郎(1年・FCトッカーノ)と吉田大晟(2年・足立六月中)を、86分に前線の中瀬大夢(1年・FCトリプレッタJY)と斎藤光輝(1年・スポルティング品川)を相次いで入れ替え、山﨑をワンアンカー気味に置いて同点への意欲を。それでも87分は関東第一。道願の散らしから佐々木が左クロスを放り込み、ニアへ飛び込んだ菅屋のボレーは枠の左へ外れましたが、あわやという場面が最後の活力をチームに。
88分に最後の交替カードとして黒岩興貴(2年・つくば高崎中)をピッチへ解き放った帝京は、89分にFKのチャンスを掴みましたが、高橋の蹴ったボールがDFにクリアされると、これがこのゲームのラストチャンス。逆に89分、高橋のパスを冨山が絶妙ヒールで落とし、浦川が右へ展開。菅屋の鋭いグラウンダークロスに飛び込んだ鈴木隼平のシュートは竹内にキャッチされ、ゴールの欲しかったキャプテンは頭を抱えたものの、最後まで2点目への意欲を表現した関東第一が「今日は粘り強く戦って、後半の45分でサッカーをやろうと思っていた」という指揮官の狙い通りのゲーム運びで、勝ち点3を奪い取る結果となりました。
「高校生でシーズン最初の試合だからどうこう言ったってというのもあって、交替も色々と考えていたんですけど、後半は声も出ていたし顔つきも良かったから、じゃあ子供にやらせちゃうかなと思いました」と小野監督が話した関東第一は、ドイスボランチや高橋を除けばほとんどがトップチームの公式戦は初出場という中で、後半は随所に"らしさ"を発揮できたんじゃないかなという印象を受けました。「どこもそうだと思うんですけど、ウチも今はだいぶタマが欠けている」と指揮官も認めたように、昨年のチームでも主力を担っていた立石爽馬(1年・フレンドリー)や二瓶亮(2年・江戸川葛西第三中)、岡崎仁太朗(2年・大宮ソシオ)など、まだまだ豊富なタレントも。「もう今年は大きなことは何も言わないで下さい。僕はコツコツやっていくので」と小野監督。コツコツ積み上げていくものがどれだけ大きな実を結ぶのか。今シーズンも関東第一には注目していきたいと思います。 土屋
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