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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年02月28日

FUJI XEROX SUPER CUP 2015 NEXT GENERATION MATCH U‐18Jリーグ選抜×日本高校サッカー選抜@日産

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0228next.jpg如月のスペシャルマッチは6回目にして初めてワールドカップファイナルの舞台へ。日本の未来を担うべきハイティーンが一同に会するのは日産スタジアムです。
例年のように1年生と2年生で構成されるU-18Jリーグ選抜。昨年末のJユースカップを制した鹿島アントラーズユースを率いる熊谷浩二監督の下に集ったのは、プロへの道を切り拓くための新シーズンへ挑む逸材揃い。千葉健太(2年)や田中稔也(2年)、平戸太貴(2年)らの鹿島アントラーズ勢や、市丸瑞希(2年)や高木彰人(2年)といった2種登録済みのガンバ大阪勢に加え、来週のJ1開幕戦での出場も期待される横浜F・マリノスユースの和田昌士(2年)も追加招集で参戦。日本最高峰の"劇場"で自らの未来を証明する70分間に臨みます。
わずかに1ヶ月前の真剣勝負を経験した精鋭たちに、それぞれの予選で涙を呑んだ猛者も集った日本高校サッカー選抜。前川優太(3年・星稜)、平田健人(3年・星稜)、吉田舜(3年・前橋育英)に鈴木徳真(3年・前橋育英)、渡邊凌磨(3年・前橋育英)、青柳燎汰(3年・前橋育英)と6人のファイナリストを軸にした17人の選手権出場組と、今回の選抜でただ1人プロへと進む志村滉(3年・市立船橋)や既にJ2での出場経験を持つ野田裕喜(2年・大津)ら4人の予選敗退組をミックスしたチーム構成で、欧州遠征への決意を表明する一戦に挑みます。「勝ちを追求していくという中で試合を行いました」という熊谷監督の言葉は間違いなく両者の共通認識。スタンドでは13724人が見守る中、高校選抜のキックオフで未来への新たな扉は開かれました。


先に勢いを持ってゲームに入ったのは高校選抜。4分、岩崎悠人(1年・京都橘)が果敢に仕掛け、末吉塁(3年・初芝橋本)が左サイドをえぐって上げたクロスはDFにクリアされましたが、両SHの積極性でチャンスを生み出すと、直後に渡邊が蹴った左CKに渡辺剛(3年・山梨学院大附属)が合わせたヘディングは枠の右へ外れたものの、6分にもシンプルなフィードを収めた岩崎が枠の左へ外れるミドルを放つなど、まずは3年生も多くスタメンに名を連ねた"1世代上"の高校選抜が好リズムで立ち上がります。
一方、「まずはシンプルにゴールを目指していって無理だったらポゼッションという感じ」と市丸も話したJリーグ選抜は9分に決定機。その市丸が右へ振り分け、粘った高木がマーカーと入れ替わってマイナスのクロス。フリーで走り込んだ平戸のダイレクトシュートはクロスバーを越えるも、いきなりビッグチャンスを創りましたが、10分には横パスをかっさらわれて鈴木に枠の上へ外れるミドルを打たれてしまい、攻撃のテンポを上げ切れません。
10分以降はお互いになかな手数を繰り出せない中で、個の特徴が目立ったのは高校選抜の末吉。左SHの位置でとにかく縦に仕掛ける姿勢を前面に押し出しながら、ドリブル勝負の連続。トップチームのプレシーズンマッチにも出場したJリーグ選抜の右SB藤谷壮(2年・ヴィッセル神戸U-18)とのマッチアップは迫力十分。メインスタンドサイドで双方がバチバチ飛ばし合う意地の火花。
20分はJリーグ選抜。「1個上の世代だけど、U-20ワールドカップの1次予選のメンバーに食い込んでいきたい」と意気込む堂安律(1年・ガンバ大阪ユース)がスルーパスを繰り出し、走った高木の前で野田がきっちりカットしますが、1年生ながらトップチームのキャンプにも帯同していた7番がセンスの一端を。29分は高校選抜。右サイドから久保和己(3年・流通経済大柏)が上げたクロスはGKを越え、ゴールのわずか左へ流れましたが、やはりゲームリズムは変わらず高校選抜に。
すると、31分に飛び出した先制弾。野田がシンプルなフィードを送ると、同じ高校の同級生でもある一美和成(2年・大津)が抜け出して中央へ。走り込んだ渡邊のシュートは一旦DFにブロックされたものの、いち早くリバウンドに反応した渡邊は自らの頭でゴールネットへ球体をねじ込みます。前橋育英でも選抜でも10番を託されたストライカーの一撃で、高校選抜がスコアを動かしました。
34分も高校選抜。末吉を起点に前川の浮き球パスを岩崎が競ると、こぼれを拾った一美のシュートはDFが何とかブロック。同じく34分も高校選抜。渡邊の左CKはファーに流れるも、久保の折り返しを叩いた渡辺のシュートもDFが懸命にブロック。そして、35分に飛び出した11番のゴラッソ。左サイドでボールを持った前川は、ゴールまで30m近い距離にも躊躇なく右足を振り抜き、軌道はゴール左スミへ一直線に突き刺さります。「前半は個々の部分の良さというのは、出せたのかなという気がしています」と大野聖吾監督。6回目の対戦にして初めて"2点目"を奪った高校選抜がアドバンテージを握って、最初の35分間は終了しました。


後半はスタートから両チームに選手交替が。Jリーグ選抜は平戸と和田、千葉と伊藤達哉(2年・柏レイソルU-18)、田中と色摩雄貴(2年・鹿島アントラーズユース)と一気に3枚を入れ替え、高木と和田が2トップ気味に並び、右SHに色摩、左SHに伊藤を配置。堂安が市丸とドイスボランチを組む4-4-2気味の布陣へシフト。高校選抜は野田と菊池流帆(3年・青森山田)というCB同士の交替を行い、残された35分間へ向かいます。
いきなり魅せたのは鹿島の快足アタッカー。開始早々の36分、右サイドを駆け抜けた色摩のクロスはDFに弾かれたものの、気持ち良いくらいの仕掛けに沸いたスタンド。41分に前川と澤田篤樹(3年・流通経済大柏)をスイッチする高校選抜の交替を挟み、42分もJリーグ選抜。今度は左サイドから伊藤がカットインしながらシュートを枠内へ。ここは高校選抜のGK吉田舜(3年・前橋育英)にキャッチされましたが、43分にも高木、和田と繋ぐと、上がってきた左SBの吹ヶ徳喜(2年・名古屋グランパスU18)がDFに弾かれるフィニッシュまで。色摩と伊藤の両SHが躍動したことで、Jリーグ選抜に増えてきた攻撃の形。
45分に3人目の交替として一美と青柳を入れ替えた高校選抜は、49分にようやく後半のファーストシュート。渡邊が左へ展開したボールをSBの小川明(3年・履正社)がクロス。ファーで打ち切った岩崎のボレーは枠の上へ消えたとはいえ、サイドアタックからシュートへの形を1つ。大野監督は53分に大野佑哉(3年・山梨学院大附属)、54分に旗手怜央(2年・静岡学園)、55分にGKの脇野敦至(2年・東福岡)、57分に森島司(2年・四日市中央工業)と相次いで交替選手を送り出し、「チームとして戦うという中では大変だったかなという気がしますが」と話しながらも、ベンチメンバー全員をピッチへ登場させます。
「勝つということを目的にしていた」(千葉)Jリーグ選抜も庄司朋乃也(2年・セレッソ大阪U-18)と町田浩樹(2年・鹿島アントラーズユース)で組んだCBコンビを中心に守備は安定感を増していく中で、63分に市丸が蹴った左CKはゴールキックへ変わり、65分に伊藤のパスを受けた和田が巧みな切り返しから入れた左クロスも小川のクリアに遭うと、67分には一挙に4枚替え。GKの阿部航斗(2年・アルビレックス新潟U-18)、麻田将吾(1年・京都サンガU-18)、大里優斗(2年・鹿島アントラーズユース)、長沼洋一(2年・サンフレッチェ広島ユース)をピッチへ解き放ち、迎える最終盤の時間帯。
68分は高校選抜に好チャンス。中央をドリブルで運んだ澤田がそのまま放った30mミドルは、入ったばかりの阿部がファインセーブで応酬。アディショナルタイムへ突入した70+3分にはJリーグ選抜にセットプレーのチャンス。中央左寄り、ゴールまで約25mの距離で獲得したFKを和田がゴール左スミの枠内へ飛ばすと、脇野はファインセーブで掻き出し、詰めた大里のシュートは枠の右へ。双方に訪れた好機にもスコアは変わりません。
意地のゴールは終了間際の70+4分。色摩のドリブルで獲得した右CK。堂安が丁寧に蹴ったボールは中央へ鋭く飛び込み、突っ込んだ藤谷がヘディングで叩き付けたボールは、ゴール左スミへ弾み込みます。昨年の"ネクジェネ"も経験している神戸の槍が頭で魅せてJリーグ選抜も一矢を報いたものの、直後にピッチへ鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「こういう大事なゲームで勝ちを収められたことは凄く良かったと思います。その中でも良かった点、改善点がいくつか見られたので、ヤングフェスティバル、ドイツと繋がっていく中で、ドイツへ良い形で乗り込めるように、チームとして改善点を克服しながらプラス思考で頑張っていきたいと思います」とキャプテンの鈴木も話した高校選抜が、2年連続でJリーグ選抜を撃破する結果となりました。


個人的にはお互いにもっと魅せて欲しかったなという印象が残りました。Jリーグ選抜は完全な即席チームであり、高校選抜もドイツ遠征に向けて数少ない"チーム"として実戦経験を積める場であるということは重々承知していますが、それでも1万人を超える観衆の前でプレーする機会というのは、高校年代の選手にとってはそうそうない経験であり、そういう環境の中で自身をアピールする姿勢がもっとあっても良かったのかなと。Jユースカップや高校選手権の取材を通じて、彼らが有する本来の実力は十分に理解しているつもりだったからこそ、この日の観衆の前でそのポテンシャルを遺憾なく披露してもらいたかったなという気持ちは拭えません。ただ、彼らのこれからに無限の可能性が広がっているのも間違いのない事実であり、この"午前中"を戦った彼らの中から何人もの選手が数年後、"午後"の舞台に立っていることを強く期待したいと思います。        土屋

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