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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年07月24日

クラ選1次ラウンドDグループ 鳥取U-18×千葉U-18@藤岡陸上

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0724fujioka.jpg真夏の群馬を熱く燃やす祭典の到来。通称"クラ選"の1次ラウンドが今日から開幕。8つの会場からチョイスしたのは藤岡総合運動公園陸上競技場です。
出場チーム数が24から32に増えた今大会において、予選最大のサプライズは過去2回の全国優勝を誇るサンフレッチェ広島ユースの敗退。その中国地域をトップで抜け出してきたのが、3年連続3回目の出場となるガイナーレ鳥取U-18です。既に2種登録選手として、J3リーグの公式戦に3試合出場している石輪聖人(3年・ガイナーレ鳥取U-15)や、203センチの"超長身"ストライカーの畑中槙人(3年・サルパFC)を筆頭に、大半の選手が昨年の群馬でもピッチに立っており、その経験値は大きなアドバンテージ。「このクラブユースに関してはまだ勝ち点3が取れていないチームなので、何とか勝ち点3を目指している」とは吉澤英生監督ですが、今回はもはや決勝トーナメント進出はノルマかもしれません。
対するは出場枠が増加した関東を堂々の7位で勝ち上がってきたジェフユナイテッド千葉U-18。現在は主戦場としているのが県リーグということもあって、「公式戦の場でこういう上のレベルとできるというのは本当に貴重な場」と話すのは副島博志監督。昨年は奮闘しながらも、優勝した横浜F・マリノスユースとベスト8のコンサドーレ札幌U-18相手に屈して、1次ラウンド敗退を強いられており、まずはその突破を最大の目標に掲げて、今日からの3試合に挑みます。実はお互いの指揮官が群馬にゆかりのある監督ということもあって、ある意味では因縁の対戦。オープニングマッチは千葉のキックオフで幕が上がりました。


先にシュートチャンスを掴んだのは千葉。4分、左サイドを抜け出した御船翔太(3年・三井千葉SC JY)のシュートはクロスバーの上へ。6分も千葉。ミドルレンジから安藤一哉(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が狙ったシュートは、鳥取のGK宇山卓見(3年・ガイナーレ鳥取U-15)がキャッチしましたが、まずは14回目の出場を数える千葉が前へのパワーで上回ります。
すると、15分にはその千葉に決定的なチャンス。中盤でボールを引っ掛けたボランチの大塚一輝(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)は左へスルーパス。岩田尚樹(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)は完全に宇山と1対1になりましたが、右足で蹴り出したシュートはクロスバーを越えてしまい、先制ゴールとはいきません。
ボールも保持される時間が長く、やや苦しい展開を強いられた鳥取は、序盤こそまだ硬さが見られたものの、「そこそこ守備はうまく入れた」と吉澤監督も話したように、津森大生(3年・ガイナーレ鳥取U-15)と三浦敬太郎(3年・シーガル広島JY)のCBコンビと石輪と曽我大地(2年・FCバイエルンツネイシ)で組んだドイスボランチを中心に、「ウチのFWのファーストディフェンスが決まった所でサイドに追いやって、わざと相手のFWの所へ入れさせて、自分たちが取るみたいな形」(津森)が徐々にハマり出してからは、守備の安定がそのまま手数にも。20分には三浦のシンプルなフィードから、中津孝亮(3年・ガイナーレ鳥取U-15)が頭で落とすと、木谷将(3年・ガイナーレ鳥取U-15)の左足ボレーは枠の左へ。27分にも影山真大(3年・サンフレッチェくにびきFC)の横パスから中津がミドルを狙い、ここは横山玄徳(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が果敢なブロックを敢行してGKがキャッチしましたが、ようやくポツポツとフィニッシュを取り始めます。
ただ、ゲームリズムはやはり千葉に。29分、アグレッシブなオーバーラップが目立ったSBの齋藤拓海(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)を起点に奪ったCKを右から浦田樹(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が蹴ると、高い打点で応えた岩田のヘディングはクロスバーの上へ。30分、相手の横パスをかっさらった安藤が、右から中へ持ち込んで狙ったシュートは宇山がセーブ。35分、御船が巧みなロブで右へ流し、岩田はマーカーを外そうと鋭い切り返しを見せるも石輪が好タックルですかさず回避。40分には鳥取もゴールまで30mはある距離から、石輪がいいタイミングで狙ったミドルはわずかに枠の上へ。「自分たちは後ろからビルドアップを今までやってきたけど、それも少しでもできたし、相手の隙を見てクサビとか裏へのスルーパスとかボランチやCBからできた部分もあった」とは津森。基本的には千葉が主導権を持ちながら、鳥取もしっかり凌いで繋ぎをベースにしたカウンターの刃をちらつかせることに成功。少しずつ気温も上がり始めた前半はスコアレスのままでハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから千葉に交替が。御船に替わってピッチへ登場したのは10番を背負う仲村京雅(3年・ヴィヴァイオ船橋SC)。昨年のU-17ワールドカップにも出場したレフティが、千葉1枚目のカードとして灼熱のピッチへ解き放たれ、残された45分間はキックオフを迎えました。
いきなりのチャンスは後半開始わずか16秒。創ったのは黄緑の中国王者。右SBの恩部雅樹(3年・ガイナーレ鳥取U-15)が中へ付けると、左SBの香河優太(2年・SC鳥取プエデU-15)が放ったシュートはゴール右へ外れましたが、積極的な姿勢が呼び込んだのは攻撃の好リズム。51分には左から木谷が蹴り込んだCKを「自分の武器は競り合いだと思っているので、その部分では負ける気はしなかった」という津森が頭で競り勝ち、石輪が丁寧に落としたボールを香河が叩いたシュートは、安藤が体でブロック。53分に礒江太勢(2年・FCカミノ)が入れた右CKを経て、54分には木谷がトリック気味に浮かせたボールを石輪は触り切れなかったものの、「練習試合とかでも細かい所をみんなで指摘し合って、自分たちのスタイルを確立させた」と畑中が話した"スタイル"の一端が攻守に現れ始めます。
とはいえ、厳しい関東予選を通じて「ここは許してくれる、ここは許してくれないという所の"モノサシ"がはっきりとできた」と副島監督が話していた千葉は、57分に安藤に替えて伊藤大将(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)を最前線に送り込み、1.5列目気味の位置に岩田を、SHは右に仲村、左に氣田亮真(2年・カナリーニョFC)を並べる布陣で、再びギアをトップに。60分には伊藤とのパス交換から氣田が狙ったシュートは、津森が間一髪でブロック。直後にも浦田の左CKから、キャプテンマークを巻いた鈴木慶太(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が打ち切ったシュートは、影山が体を投げ出してブロックするも、明らかに増した千葉の勢い。
64分には「アイツがいなくなったというのは誤算」と吉澤監督も嘆いたアクシデント。「今週末にトップのゲームはありますけど、これがトレーニングだという形」(吉澤監督)で今回の大会に臨んでいる石輪が右足を負傷して、プレー続行が困難に。高橋哲也(2年・ガイナーレ鳥取U-15)との交替を余儀なくされてしまいます。
66分は千葉。横山の素晴らしいスルーパスから伊藤が抜け出すも、ここは宇山が最高のタイミングで飛び出してファインセーブ。67分に中津と遠藤大蔵(3年・ガイナーレ鳥取U-15)をスイッチした鳥取2枚目の交替を挟み、68分も千葉。左から氣田が折り返すと、フリーで受けた伊藤のシュートはクロスバーの上へ。72分には浦田の左CKがこぼれ、投入されたばかりの中上貴博(2年・カナリーニョFC)が枠へ飛ばしたシュートは宇山がファインセーブで応酬。交替でピッチへ解き放たれた2人のフィニッシュが続き、ゲームはいよいよ最終盤へ。
74分に起きた一瞬の出来事。左でボールを持った浦田は裏へ絶妙のラストパス。走った岩田がGKともつれて倒れると、主審はペナルティスポットを指差します。土壇場で訪れた千載一遇の先制機。キッカーは岩田自ら。短い助走から左を狙ったキックは宇山もよく触りましたが、岩田のパワーが一歩優り、ボールはゴールネットへ到達します。残り5分というタイミングで千葉がスコアを動かしました。
78分にとうとう登場したストライカー。「彼のストロングポイントは高さなので、どうしても高さを一番に考えると今日のゲームはそこじゃないと」いう吉澤監督の判断と、自ら「出発する1日前に熱が出てしまって病み上がり」と話した状態も重なり、ベンチスタートとなった畑中が影山に替わって最前線へ。鳥取はスクランブルでビハインドを跳ね返しに掛かります。
80+1分、津森のフィードに畑中が競り勝ち、ここは千葉も何とかクリアで逃れたものの、「ヘディングとかも絶対コイツには勝てないと思わせるように、絶対負けてはいけないと思っている」と語る畑中の強烈な高さにどよめくピッチの周囲。80+2分、右サイドを華麗な反転で抜け出したのは「結構相手が疲れていたし、絶対行けるなと思っていたので、足が勝手に動いたという感じ」という畑中。折り返しはニアに突っ込んだ木谷へわずかに合いませんでしたが、「畑中はああいうのができるようになりましたしね。敏捷性もかなり上がりました」と昨シーズンまでチームを率いていた畑野伸和コーチも認める"足元"でチャンスを創出。俄かに漂い始めた"同点"の可能性。184センチのCB岡野洵(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)も畑中へ必死に食らい付くなど、守り切りたい千葉。
80+3分のラストチャンスも鳥取。ロングフィードを当然のように畑中が落とすと、抜け出した木谷の目の前にボールが。すぐさま放ったシュートは、しかし飛び出した千葉のGK辻周吾(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が懸命にセーブ。さらに、このこぼれを拾った遠藤が渾身の力を籠めて狙ったシュートも、左サイドネットの外側に突き刺さり、万事休す。最後は何とか逃げ切る格好で、千葉が大事な初戦で勝ち点3を獲得する結果となりました。


鳥取は前述したように、今年に入って指揮官の交替が行われたとのこと。畑野前監督がコーチに就任し、トップチームの指揮官を務めていた吉澤英生監督が就任した訳ですが、「監督も僕がやってきたことというのを凄く尊重して下さる」と畑野コーチが話した通り、昨年とチームの方向性に大きな違いはなく、むしろやりたいことが一層ブラッシュアップされている印象すら受けました。「自分たちは1年生から出ていたので、集大成としてみんなでやろうと言って、日本一を目標にここまでやってきた」と最後尾で体を張り続けた津森が話せば、「サンフレッチェの分も中国地方代表としてやりたい。日本一が取れれば2枠確保できて、自分の後輩たちにもチャンスが広がるのでと思っています」と畑中も声を揃えたように、伯耆からやってきたグリーンの刺客が掲げる目標はあくまで日本一。「ちっちゃいクラブですけどやれないことはないし、ウチなりにやれれば面白いクラブを創っていけるかなと思います」という畑野コーチの言葉を、まずはこの夏で証明するための機会は少なくともあと2試合も残されています。        土屋

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