J1第14節　
ヴァンフォーレ甲府×柏レイソル@山梨中銀スタジアム
解説：水沼貴史　実況：八塚浩　インタビュアー：高木聖佳

【ヴァンフォーレ甲府　城福浩監督インタビュー（試合後・中継内）】
Q、まずは試合の感想からお願いします。

A、今のJ1での立ち位置では
我々は非常に厳しい立場ですし、
中断期に入るのでどうしても今日は
勝ち点1じゃなく勝ち点3が欲しかったので、
レイソルさんは個人としては素晴らしい選手が揃っている中で
良さを出させない中で、よく前への推進力を持って
よく攻めてくれたなと思います。

Q、本当に勝ち点3が欲しいという気持ちが
監督からも選手からも伝わってきました。
どんなメッセージを託して選手をピッチに送り出したのでしょうか？

A、これまでシュートを浴びている数はJ1で一番少ないし、
シュート数も相手より上回った試合も多いんですけど、
どうしても勝ち点3を取り切れないというのは、
中の人数が足りなかったり、
少し前線の選手が疲弊しているなという風に感じていたので、
とにかく"5FW"で攻めると。
リスクは全員が等分に負うというような所は
今日は新たなチャレンジだったので、
そのチャレンジがある程度結果を出せて良かったと思います。

Q、そのあたりは松橋選手のチョイスというのも
"5FW"という所に関わってくると思うのですが、
そのあたりの評価はいかがだったでしょうか？

A、もちろん質の所はもっと上げて欲しいですけど、
彼なりに自分の与えられたチャンスや役割というのを
認識してやってくれたと思います。

Q、今季最多の3ゴール。
サポーターの喜びも本当に大きかったですよね。

A、点が取れなくて苦しんでいたので、
セットプレーも含めてチャンスを創り続けて、
点の取れるチームになりたいです。

Q、今日は暑さも懸念されましたが
そのあたりで何か意識されたことはあったのでしょうか？

A、意外と気候がカラッとしていましたし、
とにかく走り疲れた選手から替わっていくという意味では
みんなが最初から飛ばしてやってくれたので、
テンションも高くて良かったと思います。

Q、中断期間前の最後のリーグ戦ということで
いい形で終わることができましたね。

A、去年が非常に悔しい終わり方で中断期に入ったので、
その想いはみんなありましたので、
今日はちょっとホッとしています。

Q、今後中断期間中にこのあたりに取り組んでいこうと
考えていることがあったら教えて下さい。

A、他のクラブはおそらくウィークと言われているポジションに
ストロングな選手を補強できるというのがJ1だと思うので、
僕らはとにかく新卒も含めた全員の底上げをしない限り
そういうチームと対等に戦えないと思うので、
他から取ってくる選手に頼ることなく
自分たちで成長していくような中断期にしたいと思います。

【柏レイソル　ネルシーニョ監督インタビュー（試合後・中継内）】
Q、まずは今日の90分を振り返って一言お願いします。

A、今日の勝利はすべて相手に要因があったと思います。
相手チームが良い守備でウチを抑え込んで、
確実にカウンターで押し込むと。
セットプレーから2失点してビハインドで進んでいくうちに
やはり相手もさらに安定したゲーム運びというようになっていって、
ウチはそこの相手の守備を打開できなかったという所で、
今日は完全にウチの負けですね。

Q、前半から盛んにピッチに声を掛ける姿がありました。
どんな所を修正点として見ていらっしゃったんでしょうか？

A、ウチが押し込んでいるというか、
ボールを持って攻めている時に
やはりウチのミスからカウンターを食らったりとか、
ボールを奪った後にまた連続してミスがあるという
リズムでしたのでそこの修正と、
あとはウチの攻めている時のリスクマネジメントがちょっと緩かったので、
そこをDFラインに伝えていました。

Q、その中で後半は4バックにシステムも変更されました。
そのあたりの狙いも教えて下さい。

A、今のシステムの流れの中で
メンバーの特徴も生かしながら
状況に応じて変えることもありますし、
今日は後半の頭から変えたんですが、
前の数と中盤の数を状況を変えていきたいという意図から
システムを変えました。

Q、これから中断期間に入ります。
この後トライしていきたいこと、
また修正したいことが見えましたら教えて下さい。

A、修正点としては捉えていませんし、
今日の敗戦でウチのやってきたことを否定されるわけでもありませんから、
とにかく今日の敗戦の中で学ぶことを学んで、
ナビスコでまた続けていきたいと思っています。

【水沼貴史氏のレビュー】
（甲府）
今日のゲームは城福監督の新たなチャレンジというか、
そういう位置付けのゲームだったと思うんですけど、
本当にそれが功を奏したというか、完勝でしたよね
良さというのはそのまま継続しながらできていたと思いますし、
甲府もリードしている展開というのがここ何試合かはなかったので、
メンタル的にどうなるかとは思いましたが
非常に落ち着いていましたね。

たぶんFKとかCKとかキッカーとの
中との相性というのがあると思うんですけど、
盛田とクリスティアーノは合っているんじゃないですかね。
もっともっとゴールを量産できれば、
ゲームとしては楽になりますからね。

ホームで勝利の姿を見られるというのは
サポーターも本当に嬉しいでしょうね。
選手もそれを願ってやっている訳ですし、
監督としてもそうですからね。
試合前にも城福監督は色々な想いを話してくれたんです。
それが今日は結果に出ましたね。
まずは残留を目標に戦っていると思いますし、
その中で色々な戦術を考えながら戦っているのが監督ですけど、
本当にシュート自体は打たれていないんだけど、
2本3本のシュートで負けてしまう、
それしか打たれていないのに何で負けてしまうんだみたいな
色々な想いがある中で、ということですよね。

城福監督の言葉からすれば
"5バック""5FW"ということをハッキリ話されていました。
やはり松橋のチョイスがメッセージだと思います。
リスクを掛けながらも点を取りに行くんだという
意識付けが成功したと思います。
前半頑張って後半は早い時間からすぐに福田に替えましたね。
ただ、守備的なメッセージではなくて
疲弊した選手からどんどん替えていくということで福田を入れたと。
彼も守備もしっかりするんだけれど、
得点に関してはアシストもしましたし、
水野もまた疲れている選手に替わって入ったと。
クリスティアーノを前に出して盛田が退きましたが、
その盛田も点を取ったし守備でも頑張れたと。
ということは、監督が伝えたかったメッセージを
選手がしっかり遂行したということなんですよね。
ですから、今日の1勝は色々な意味で大きな1勝ですよね。

あとはウィークの所にいかにストロングを持ってくるか
という話をされていましたけど、
本当に苦しい台所事情なのかなというのを理解して
自分たちで成長していくんだという言葉が印象的でした。

（柏）
結果、内容共に今日のゲームは仕方ないかなと
率直に思いました。
PKでの失点はシステムを変えて
「行こう！」という時の矢先の失点だったので痛かったですね。
勢いを削がれるような1点でしたから。

順位の話はまだ早いと思うんですけど、
本来はそういう所にいて、選手たちが自信を持って
よりポジティブに色々なことにトライできる環境を創れたということからすると、
もちろん痛い敗戦ですよね。
やっぱり攻撃の推進力で考えると
工藤も替わってしまったということが一番顕著かなと。
前のレアンドロと工藤が早めに替わりましたからね。

ただ、ネルシーニョ監督はこういうこともあるよという捉え方でしたね。
相手が良ければこういう試合もあるさという感じでしょう。
そのへんは監督は常にチームのパフォーマンスということを捉えた時には
別に1試合負けたから「何をオタオタするんだ」みたいには捉えていないし、
今日はこういう試合だったと。
もちろん修正する所も今日の試合に関してはあったと思いますけど、
大きく自分たちがやることというのはブレないと思いますね。
それでずっと結果を出してきている監督ですから。
まあ、1シーズンを通して戦うということからすると
「バタバタするなよ」ということじゃないでしょうか。

【Jリーグブログ的データ】
J1第14節
ヴァンフォーレ甲府 3-0 柏レイソル
入場者数：10,073人　天候：晴、微風
気温：26.4度　湿度：24%
主審：パベル・ラチコフスキ　
副審：マチェイ・ヴィエジュボフスキ、コンラッド・サペラ
第4の審判員：三上正一郎

《得点者》
＜甲府＞
20'盛田剛平③（アシスト：クリスティアーノ）
50'クリスティアーノ②（PK）
78'水野晃樹①（アシスト：福田健介）

《選手寸評》
（甲府）
GK荻晃太...守備機会も少なく久々のスタメンを完封勝利で飾った
DF青山直晃...体の強さが効果的だった90分間。まったく破綻なし
DF山本英臣...やはりこの人が最後尾にいるだけでチームは落ち着く
DF佐々木翔...守備の各局面でほとんど相手に何もさせなかった
MF松橋優...今日のキーマンは縦への推進力をチームに落とし込んだ
（→MF福田健介...途中出場で1アシスト。彼のクロスはやはり大きな武器）
MF新井涼平...イエローも辞さない果敢な守備で中盤を締めた
MFマルキーニョス・パラナ...盆地特有の暑さにも年齢を感じさせない運動量で貢献
MF阿部翔平...松橋とのバランスを取りながらの上下動は地味に効いていた
MFクリスティアーノ...前節のフラストレーションを振り払うような1ゴール1アシストは立派
MFジウシーニョ...日本人以上に併せ持つ献身性を考えるとゴールを取らせてあげたい
（→FW石原克哉...クローザーとして勘所を押さえたベテランの働き）
FW盛田剛平...絶妙のポジショニングで絶妙の先制弾。インタビューの間合いも独特で◎
（→MF水野晃樹...古巣相手のスーパーボレーは移籍後初ゴール。強烈に存在をアピールした）

（柏）
GK菅野孝憲...2失点目のPKは完全に読んでいただけに悔しさが残る
DF鈴木大輔...レアンドロへのクロスはピンポイントもPK献上はいただけない
DF近藤直也...本人の過失はなかったものの3失点という厳しい結果に
DF渡部博文...普段ほど高さの優位性も生かせなかった
MF高山薫...攻撃で目立つ場面がほとんどなく持ち味を封じ込められた
MF茨田陽生...彼が縦パスで入れるスイッチが数少ない攻撃の可能性だった
MF小林祐介...前節と比べるとなかなか攻守両面で流れに関与できなかった
MF橋本和...相手のキーになるサイドで押し込まれる時間が長かった
FW工藤壮人...シャドーに入るも持ち味を出せたとは言い難い
（→FW木村裕...投入直後から仕掛けるなど積極性は見せた）
FW田中順也...後半からはサイドハーフ起用も左足の見せ場はFKのみ
FWレアンドロ...コンディションは復調途上か。前半の決定機逸は見逃せない
（→MF狩野健太...悪くはなかったがそろそろ目に見える結果が欲しい）

再放送スケジュールは
5月17日（土）午後9：00～午後11：15　J SPORTS 3
5月19日（月）午前11：15～午後1：30　J SPORTS 3
となっています。
是非このマッチレビューと共に再放送もお楽しみ下さい！

土屋