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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
全国へと繋がる2つの切符を獲得するための大阪・春の陣。ディフェンディングチャンピオンの今大会初登場はJ-GREEN堺です。
昨年はインターハイ予選で大阪を制し、とうとう悲願の全国大会へ辿り着いた阪南大学高。ただ、選手権予選ではベスト8でPK戦の末、北谷史孝擁する興国に敗退。今シーズンこそ冬の覇権を奪取すべく、立ち上がった新チームはここまでプリンス関西も怒涛の開幕5連勝で堂々首位。「持っているツキを全部使い果たしている」と笑うのは濵田豪監督ですが、まずはこの大会で連覇を成し遂げ、全国で自らの力を問いたい所です。予選初戦で対峙するのは、1次予選からの2試合を完封で勝ち上がってきた大阪1部に所属する清風。注目校にとって船出の一戦は9時30分ジャストにキックオフを迎えました。
序盤から押し込んだのは阪南。2分に左から永田遼(3年・セレッソ大阪U-15)が蹴ったCKはDFにクリアされましたが、7分にはいきなり結果を。右SBに入った前田一樹(3年・千里丘FC)のFKから獲得したCKを、右からレフティの左SB西川竣也(3年・セレッソ大阪U-15)が蹴り込むと、ニアへ突っ込んだ奥平翼(3年・ガンバ大阪堺JY)のヘディングはファーサイドのゴールネットへ飛び込みます。広がる青い歓喜の輪。まずは阪南がスコアを動かしました。
続く阪南のラッシュ。9分、今西祥章(3年・南河内太子中)のパスから川崎雄一郎(3年・八尾大正FC)が狙ったミドルはゴール右へ。12分、西川が入れた右FKの流れから、田中凌(3年・和泉信太中)が左サイドを独力で切り裂いて折り返し、マイナスで待っていた今西のシュートはクロスバーの上へ外れるも、「試合経験をいっぱい積ませたので、今は立ち位置が良い」と濵田監督も言及したBチームからのスタメン起用となった今西がフィニッシュまで。14分にも永田が果敢なミドルにチャレンジするなど、追加点への意欲を強く滲ませると、結実は直後。
14分、中央でボールを持った川崎がルックアップから鋭いスルーパスを縦へ。左サイドからラインの裏へ潜った田中は独走すると、飛び出したGKを冷静に見極め、少し浮かせて肩越しを破る丁寧なシュート。ボールはあっさりとゴール左スミへ吸い込まれます。サイド攻撃の次は正面からグサリ。阪南のリードは2点に変わりました。
さて、相手の勢いに飲み込まれる格好で早くも小さくないビハインドを追いかける格好となった清風。17分には10番を背負う関本勇(2年)が少し下がった位置からスルーパスを送るも、東藤寿英(2年)には届かず。ただ、18分に川崎が右へ振り分け、前田のクロスに合わせた今西のヘディングが枠の右へ外れた阪南のフィニッシュ以降は、CBの元木拓郎(2年)と本道大夢(3年)を中心にしっかり最後尾からビルドアップをスタート。さらに関本も間に顔を出しながら、ボールを引き出して周囲とパス交換。少しずつテンポが上がってきます。
31分には関本と高下涼央(3年)が頭で繋いだボールから、最後は関本がチームファーストシュートとなる左足ボレーを枠の左へ。34分にも右サイドで関本がキープからラインの裏へ落とすも、東藤は届かず阪南GK日高康平(3年・大阪狭山FC)がキャッチ。35分にもCBの本道大夢(2年)がインターセプトから持ち上がり、関本のリターンは受け切れませんでしたが、積極的に最後尾から最前線まで。35+1分には阪南も田中がドリブルから右へ流すと、高橋佳(3年・千里丘FC)のカットイン左足ミドルは枠の上へ。「もう少しスコアが競るのかなというのがあったのが、面食らっちゃったかな」とは濵田監督。膠着状態の中でも、やや清風が良いイメージを打ち出し始めるような流れの中で、ゲームはハーフタイムを迎えました。
先にカードを切ったのは「2点目以降は逆に動かすという所で難しい部分があった」と話した濵田監督。後半開始から今西に替えて、同じくBチーム登録の高畑亮祐(2年・長野FC)を左SHへ送り込み、田中を右へ、高橋を中央へそれぞれスライドさせて、衰えかけていた推進力を取り戻すべく、攻撃陣にテコ入れを図ります。
それでも後半開始からアグレッシブに立ち上がったのは清風。キックオフ直後から相手陣内へ複数人が飛び出していく姿勢を見せると、37分には関本が巧みに浮かせたラストパスを通し、DFラインの間をうまくすり抜けた尻家由博(2年)はダイレクトボレー。ここは日高がキャッチしましたが、ゲーム初の枠内シュートで一気に沸き上がる清風の応援席。39分には左から上がってきたSBの茶谷健介(2年)が好クロスを送り込み、日高にキャッチされたものの、サイドを崩すアイデアも出てきます。
ここで動いたベンチ。1枚目の交替は右SHの東藤を下げて、藤原悠太郎(2年)をCBへ投入。CBを務めていた本道が左SHへ上がる配置転換で勝負に出ると、50分には右SBの山田一輝(2年)が左へ送ったサイドチェンジから、受けた本道は縦へと加速してそのまま枠内ミドル。日高が懸命にキャッチしましたが、いよいよ漂い始めたゴールの匂い。
「役割が中でバラバラになった」と濵田監督も見ていた阪南は、48分に田中がルーズを拾って清風のGK酒井真志(3年)にキャッチを強いたミドルが後半のファーストシュート。51分と55分にそれぞれ奪ったFKとCKも、共にシュートへ結び付かなかったシーンを経て、56分にはそのキッカーの永田とルーキーの稲森文哉(1年・千里丘FC)をスイッチ。残り15分でのゲームクローズへ着手し始めます。
まずは1点を返したい清風。57分には左サイドで茶谷が投げたロングスローを受け、ゴールライン付近まで関本が潜り込んだものの、クロスは上がらず。64分には、中盤センターで奮闘していた田中勇祐(2年)を下げ、2枚目のカードとして品川和哉(2年)をピッチへ解き放つと、65分には本道のスルーパスに外から回った茶谷のシュートは枠の左へ。
阪南も65分には長身FWの是枝志穏(3年・和泉中)を送り込み、前線での時間創出も意図に。なかなか攻撃のリズムは出ない中でも、湯田京志(3年・東淀川FC)と小松拓幹(2年・AC Sakai)のCBコンビを中心に、守備面では強固なブロックを堅持。シュートの1つ前までは持ち込まれても、肝心のシュートは打たせません。
清風のラストチャンスは70+2分。中央で懸命にボールを繋ぎ、品川がヒールで流したパスを高下は何とか支配下に置こうと粘りますが、最後はDFのブロックに阻まれ万事休す。「一番は勝つことで『それだけにこだわれ』と言ってきたので、そこはクリアしましたね」と濵田監督も話した阪南が、終わってみれば難しい初戦で完封勝利を収める結果となりました。
阪南は非常に負けにくそうなチームだなという印象を受けました。「初戦やったんで、逆にこの子らが緊張し過ぎて何もないゲームでした」とは濵田監督ですが、実際にボールを握られる時間があった中で、被決定機は前半の1回くらい。「枝葉は去年と一緒でCBとボランチが抜けた中で、CBがちょっとずつ自信を付けてきたのかな」と指揮官も話した通り、湯田と小松に守護神の日高も加えたこの防御壁を打ち砕くのは容易ではなさそうです。昨年のインターハイを振り返って、「全国は出ただけで、何もやらんと帰ってきたので、その悔しさを僕らも3年生も持っている」と濵田監督。全国の"その先"を目指す阪南の新たな航海が、港町・堺からスタートしました。 土屋
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