【高校選手権東京都大会Aブロック展望】
インターハイ王者の成立学園と昨年度王者の実践学園を軸に、
東海大高輪台と修徳が追いかける展開が予想される。

インターハイ予選では9年ぶりの全国出場を勝ち取った成立学園。
ここ数年はあと一歩で結果を出せない勝負弱さが目立ったが、
「練習から手を抜かずに100%でやろうという合言葉」（太田昌宏監督）の下、
3試合連続PK勝ちで全国切符を奪い取るなど、粘り強さも身に付いてきた。
アタッカー陣には浅野裕永（3年・鹿島アントラーズつくばJY）や
中村諒介（3年・武南JY）など個人で局面を打開できるタレントが、
最終ラインには内田悠磨（2年・東松山ペレーニア）や
荷平雅史（3年・アルビレックス新潟JY）といった
ポゼッションサッカーに必要なボールを持てる選手が揃う中、
チームのキーマンはボランチを務める鈴木和真（3年・FC東京U-15深川）。
リズムの悪い時にも積極的にボールを引き出し、
相手を潰しに掛かる彼の出来が勝敗を左右する。
今年のチームは「日本一になろうと言って出発したチーム」（太田監督）。
8年ぶりの全国を射程圏内に捉えたゼブラ軍団は要注目だ。

都のトーナメント三冠を達成した昨年から一転、
インターハイ予選では1次トーナメントで姿を消すなど、
苦しいシーズンとなった実践学園。
ただ、「能力的には去年に劣らないと思っている」という
深町公一監督の言葉を証明するように、ここに来てチームは調子を上げてきている。
湘南ベルマーレへの加入が決まった福岡将太（3年・JACPA東京FC）は、
複数ポジションでの起用が可能。
CBの佐藤稜大（3年・FC.多摩）と左SBの大瀬貴己（3年・AZ'86 tokyo-ome）は
都内トップクラスのフィジカルを有し、
大瀬の高精度キックはセットプレーでも威力を発揮する。
また、前線でも森田竜太（3年・FC府中）、富田峻介（3年・町田JFC）、
田嶋翼（3年・FC.Branco）など中心選手が固まりつつあり、
初戦でいきなり当たる国士舘を含め、厳しい印象のある組み合わせにも、
「戦うしかないという気持ちにさせたほうが前に行くパワーが出る。
勝てるかどうかは別にして、『これ以上いい組み合わせはないよ』と言っている」と
深町監督も連覇へ自信を覗かせる。

昨年度はインターハイ、選手権と共に東京を制した修徳。
今年のインターハイでもPK戦や延長戦をしぶとく制して
準決勝まで勝ち上がるなど、相変わらず一発勝負での強さには定評がある。
今年のチームの生命線は久保祐貴（3年・習志野第一中）と
池田晃輔（3年・埼玉ユナイテッドFCフェスタ）のボランチコンビ。
どちらかがサイドバックで起用されるゲームもあるが、
このドイスボランチがどれだけセカンドボールを回収できるかが、
攻守に渡ってチームのリズムを決定する。
また、昨年の全国も経験している田上真伍（3年・FC東京U-15深川）や
佐藤悠輝（3年・FC東京U-15深川）、関秀太（3年・スクデット）、
加藤禅（3年・柏レイソルU-15）など、個性的な攻撃陣が
素早い切り替えを生かしたカウンターからゴールを虎視眈々と狙う。
「去年のヤツらを見ているから、接戦をモノにしていくのが
いい習慣になっている」とは岩本慎二郎監督。
トーナメントでの修徳はやはり侮れない存在だ。

このブロック最大のダークホースは東海大高輪台。
4-3-3を敷く攻撃サッカーの象徴は3トップ。
右の荒川真作（3年・FC駒沢）、左の伊藤竜之介（3年・ヴェルディSS調布）が
切れ味鋭いドリブル突破を繰り返し、
CFのレフティ金子真彦（3年・川口戸塚西中）が高い決定力でゴールを仕留め、
さらに中盤もコンダクターの吉野崚平（3年・川口在家中）を筆頭に、阿部駿佑（3年・GRANDE FC）と
岸本康太郎（3年・インテリオールFC）で構成するトライアングルがボールを支配。
都内でも有数の"イケイケサッカー"を常に披露してくれる。
インターハイ予選では帝京と互角以上に渡り合ったものの、結果はPK戦での敗退。
「インターハイで負けてから、フィジカルと走力をまずやろうと取り組んできた」と
川島純一監督が話した部分も、夏を越えて着実に成長の色が。
「やっていて面白いサッカー」（川島監督）を掲げるチームが、
見ている者も魅了するスタイルで頂点を目指す。

他にもアタッカーの酒巻峻（3年・湘南ベルマーレJY）や外村裕太（3年・Forza'02）、
10番を背負う田口圭介（3年・帝京FC）など小柄な好選手を揃え、
実践学園との対戦となった2回戦屈指の好カードに挑む国士舘、
清水玄（3年・調布中）というプレースキッカーを擁し、
佐藤友哉（3年・FC府中）と楠本卓海（3年・PERADA）のCBコンビが
地上戦でも空中戦でも真価を発揮する大成、
角田悠之助（3年・FC.Branco）や石上輝（2年・練馬光が丘第二中）、
鈴木信司（3年・青梅FC）といった昨年からの主力も残り、
2回戦で東海大高輪台と対戦するアタッキングサッカーの堀越、
伝統のサイドアタックに冴えを見せ、司令塔の加藤有騎（3年・青梅霞台中）を中心に
全国を見据える都立東久留米総合がなどが有力校。

2回戦の開催は13日。対戦カードは以下の通りになっている。

【実践学園高尾グランド】
9:30　実践学園×国士舘
11:30　成立学園×都立府中東
【東海大高輪台総合グラウンド】
10:00　堀越×東海大高輪台
12:00　大成×高輪
【都立東久留米総合高校グラウンド】
10:00　都立東久留米総合×都立西
【東海大菅生高校学びの城グラウンド】
10:00　攻玉社×東海大菅生
【清瀬内山総合公園サッカーグラウンド】
10:00　都立保谷×修徳
12:00　都立狛江×創価

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