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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年09月24日

T2リーグ・グループB第8節 東京実業×大成@大井第二

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ooi0924.jpgトップディビジョンへの昇格枠を巡る直接対決。T2リーグ・グループBの3位と2位が火曜ナイトゲームで激突するのは大井第二です。
ここまで6試合を消化して、4勝1分け1敗という堂々たる成績で3位に付けている東京実業。日本学園との延長までもつれ込む接戦を制した一昨日の高校選手権からは中1日ですが、「負けていたら今日も厳しかったと思うんですけど、勝ったら勢いで行けるなと。足もツラいだろうけど、そんなの関係ねえと思って(笑)」と笑い飛ばしたのは片山智裕総監督。来シーズンからのT1昇格を視野に入れれば、ライバルでもある大成を直接叩くことのできるこの一戦は非常に重要なゲームです。
一方、こちらも7試合を消化して5勝2敗という好成績で2位をキープしているのが大成。インターハイ予選では優勝した成立学園に後半終了間際に追い付かれ、PK戦で敗れたものの大健闘。シードされている選手権予選でも躍進が期待されており、さらに昇格への切符を勝ち取るためには、1試合消化の少ないライバルから勝ち点3を取り上げておくことは必須条件でしょう。両チームが部員全員で作った円陣は"結束"の大輪。T2のビッグマッチは18時30分にキックオフを迎えました。
ファーストチャンスは即、決定機。2分、東京実業の"心臓"、荻原脩作(3年・横浜市場中)が右から入れたFKを、佐藤太造(3年・MKFC)がボレーで合わせたシュートは大成GK坂本賢太(3年・町田相原FC)が弾き出しましたが、これで獲得したCKを萩原が再び蹴り込むと、DFのクリアはゴール前で混戦に。高橋竜功(3年・川崎東橘中)と竹内涼太(2年・川崎チャンプ)の両CBが頭で繋ぐと、このボールをボレーで叩き込んだのは佐藤。連続セットプレーからストライカーが早くも先制弾。東京実業が1点のアドバンテージを握りました。
いきなりビハインドを追う形になった大成。4分には清水玄(3年・調布中)が左へ振り分け、SHの藤本翔哉(3年・世田谷千歳中)がアクセルを踏み込んだドリブルから枠の左へ外れるシュートを放つと、7分にも清水が正確な左CKを蹴ったものの、シュートまでは持ち込めません。すると次のゴールも東京実業に。
10分、左コーナーエリアから萩原が送ったエンジェルパスに、ニアへ飛び込んだのは高橋。高い打点でミートしたボールは、そのままゴールへ吸い込まれます。一昨日のアクシデントで負傷し、「生徒に俺がテープなんか巻くのは初めてなんですけど、こいつらは凄く"いい代"なので、こういうことも自分でしてやろうと思って」という片山総監督にテープを巻いてもらったその頭で追加点。点差が広がりました。
黙っていない青の反撃。15分、西尾龍也(3年・東京久留米FC)が左へ送り、藤本が上げたクロスを都侑也(3年・FC府中)はきっちり枠内シュート。ここはゴールカバーに入った高橋が掻き出しましたが、このCKを清水はピンポイントで中へ。待っていた楠本卓海(3年・PERADA)の頭が強く押し出したボールも、綺麗にゴールへ飛び込みます。15分間でセットプレーから3つのゴールが生まれる、凄まじい殴り合い。大成が1点を返してみせました。
「ウチが連戦だったので、相手がちょっと緩かったのかな」と片山総監督も振り返った序盤を経ると、徐々にペースを握り始めたのは大成。蹴る時と繋ぐ時のペースチェンジも清水を中心に使い分け、前線では西尾と田野圭吾(2年・世田谷緑丘中)がきっちり収めて基点を創出。18分には田野が左へ回し、藤本が放ったボレーはクロスバーの上へ。25分には中央を駆け上がったCBの楠本が、そのまま打ち切ったミドルが枠の右へ。31分、清水の左FKは何とか東京実業DFがクリア。いいリズムでゲームを進めていきます。
33分には東京実業にビッグチャンス。萩原がスルーパスを左へ通し、受けた佐藤のシュートは枠を捉えるも、坂本が懸命にファインキャッチ。39分は大成のチャンス。左のハイサイドで藤本が戻したボールをSBの小野寺陽平(3年・Forza'02)は中へ付け、清水が狙ったミドルは枠の左へ。立ち上がりに激しく動いたスコアは以降変わらず、東京実業が1点をリードして最初の45分間は終了しました。
後半も幕開けは打ち合いから。48分は東京実業。堀江啓汰(3年・横浜FC鶴見JY)が左からカットインして中央に潜り、小林将之(3年・横浜市場中)が放ったミドルは枠の左へ。50分は大成。相手のクリアを清水がカットしたボールはDFラインの裏へ落ち、GKとの競り合いに勝った田野のヘディングはわずかに枠の右へ。出し合う手数に漂う、45分間への期待。
ゲームリズムの反転。後半の流れは東京実業へ。53分に小林の左ロングスローから、枠の右へミドルを飛ばした境亘平(1年・大田雪谷中)もその立役者。小林、境、萩原で組んだ中盤のトライアングルがボールを回し、拾って、攻撃のテンポを掌握し、得意のセットプレーも相次いで獲得。57分には萩原が左CKを短く出すと、堀江のミドルはDFがブロック。61分にも萩原の左CKは中央でこぼれるも、ここは坂本がワンハンドで掻き出す好判断。追加点へ猛進する赤。
63分に歓喜の輪を作ったのは青。右サイドのタッチライン沿いから、清水が素晴らしい軌道の長いFKをファーまで送り届けると、後半開始からピッチに送り出された柴田潤(2年・東村山第六中)は躊躇なくダイレクトボレー。完璧にミートされたボールは、誰にも邪魔されることなくゴールネットを貫きます。采配も当たった格好ですが、やはり輝いたのは清水の右足。大成がとうとうスコアを振り出しに引き戻してしまいました。
東京実業は中盤に滝田輝(3年・荏原第一中)と宮田剛(2年・橘中)を投入し、大成は前線に前坂隆之輔(2年・横河武蔵野FC JY)を送り込み、試合はラスト20分間へ。70分と73分には萩原がセットプレーから大成ゴール前を脅かし、75分には都がDFに当てながらも枠へ収めたミドルにチャレンジ。78分には東京実業に絶好機。右サイドを抜け出した前田航大(2年・MKFC)が中へ折り返すと、難しい高さのボールも萩原は巧みなボレーで枠内へ。しかし坂本が抜群の反応で触ると、カバーに入ったキャプテンの佐藤友哉(3年・FC府中)が間一髪でクリア。両者見事。スリリングな攻防。最終盤に向けて応援団も声援に一層力が篭もります。
勝負所で魅せるのは、やはり「何をやっても一番で帰ってくる」(片山総監督)10番のセットプレー。右サイドの深い位置で奪ったFKを、萩原は利き足と逆の左足でニアサイドへピタリ。ここへ走り込んでいたのはまたも高橋。69分前のデジャヴ。味方にとっては天使、相手にとっては悪魔の精度を誇ってきた萩原の意外な"左"が炸裂し、東京実業が勝ち越しに成功しました。
80分に前線へ坂口諒馬(3年・小平第三中)を投入し、最後の勝負に出た大成。83分には清水が右から蹴ったFKは東京実業DFが何とかクリア。直後に東京実業GK沖山璃樹(3年・横浜大綱中)の素晴らしいキックから、萩原のラストパスを佐藤が打ち切ったシュートも坂本がファインセーブで凌ぎ、わずか1点差でいよいよゲームは最終盤へ。
90分は大成。清水の左FKは東京実業の左SB三島颯太(3年・江東第二大島中)がきっちりクリア。直後も大成。相手のクリアを楠本が跳ね返し、最後は左へ持ち出した前坂がシュートを放つも、東京実業の人壁が確実にブロック。途切れない赤の集中力。90+2分も大成。右から清水が丁寧に放り込んだCKも、東京実業DFがクリア。最後はアディショナルタイムを巡って一悶着ありましたが、スコアがそれ以上動くことはなく、中1日の激闘を走り切ったイレブンの耳に届いたのは勝利を告げるタイムアップのホイッスル。厳しい日程の中、「勝ったら行けるなと思っていたので、コイツらに賭けました」と笑った片山総監督の想いに応える格好で、東京実業が貴重な勝ち点3を獲得する結果となりました。
最後の最後までお互いが死力を尽くした好ゲームでした。萩原、清水の両キッカーを中心に、練習の成果をしっかり発揮した攻防は見応え十分。生まれた5つのゴールがすべてセットプレーというのも、スリリングな展開に拍車を掛けていたのは間違いありません。特に勝った東京実業は攻守にまとまった好チーム。「ウチは必ず目標で先輩を超えようというのがあるので、去年よりも今年、今年よりも来年というのがあって、我々もそこは目標を持ってやっている」と片山総監督は話してくれましたが、容易には超えられない"ベース"を今年のチームが築いてしまう可能性も十分あるのではないかなと。どちらも次の公式戦は13日の選手権予選2回戦。東京のスタンダードをより高めてくれそうな両者には、是非悔いのないゲームを戦って欲しいと思います。       土屋

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