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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年07月22日

プリンス関東2部第9節 武南×関東第一@埼スタ第3

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saitama0722.jpg真夏の折り返し地点で迎えた4位と5位の直接対決。高体連同士の激突は埼玉スタジアム第3グラウンドです。
6節までは快調なペースで勝ち星を重ねていたものの、インターハイの県代表を勝ち取って臨んだ再開後の2試合はいずれも完封負けと、やや順位を落としつつある武南。優勝候補の一角とも目され、昨年よりあと"1つ上"を明確に目指している全国へ弾みを付ける意味でも、公式戦で結果を出しておきたいゲームです。
対するは前節で今季最多となる4ゴールを奪い、連敗を2でストップした関東第一。こちらはインターハイの都代表権を逃しましたが、「逆にインターハイが終わったので、ハッキリ怖がらずにやればいいよと選手に伝えている」と小野貴裕監督。宮城、金沢と続く夏の遠征シリーズを前に、強豪相手でもしっかり白星という結果を残しておきたい所です。綺麗な天然芝が醸し出す夏の風情。最高のピッチコンディション下で、前半戦ラストゲームはキックオフを迎えました。
先にチャンスを創ったのはホームチーム。2分、ゴール前で細かくパスを繋ぎ、最後は室崎雄斗(3年・武南JY)がミドルにトライ。ボールは枠を越えたものの、複数人が絡んで持ち込んだフィニッシュで、まずは積極性を打ち出します。
ただ、以降は得意のボール回しを最終ラインだけではなく、中盤でもしっかり披露した関東第一にも勢いが。ドイスボランチの渡部太一(3年・FC杉野)と高野幸祐(3年・Wings U-15)に加え、右SHに入ったレフティの山崎健之郎(3年・Wings U-15)も受けて捌いてに参加。シュートには至らないまでも、縦へのテンポアップも交えつつ、隙を窺いながらゲームを進めていきます。
18分には左から星野十夢(3年・千葉SC)が蹴ったいい軌道のCKが、わずかに中と合わずゴールキックに。24分にも右から山崎が放り込んだFKへ、懸命に頭を伸ばした星野は少し及ばず。2つのセットプレーで脅かした相手ゴール前。生まれ始めたチャンスの萌芽。
一方、10番を背負う鈴木裕也(3年・市川大洲中)を欠く中、攻撃は田中兄也(3年・武南JY)と中川風希(3年・武南JY)の縦関係気味2トップと、右の室崎、左の奥村宣彦(3年・FC KASUKABE)で組んだSHの4枚で素早くゴール前へ迫る武南。26分にはここもいい連携から右へ振り分け、奥村がクロス。関東第一GK大藤洋輔(3年・ヴェルディSSレスチ)がパンチングで回避したボールを、小宮孝介(3年・武南JY)がダイレクトで叩いたボレーはクロスバーの上へ消えましたが、持ち味をしっかりとシュートにまで結び付けます。
34分は関東第一。星野を起点にカウンターが発動され、渡部を経由すると、左サイドを独走したのは田中裕也(3年・Forza'02)。左足で放ったシュートはわずかにゴール右へ外れたものの、盛り上がる応援団。42分は武南。こちらは奥村を起点に中川が右へ。室崎が上げたクロスは、しかしゴールキックに。手数こそ少ない中、ある程度攻撃の持ち味を出し合った前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。
いきなり点った両者の導火線。48分は武南。右から小池修斗(3年・GRANDE FC)が入れた飛距離抜群のロングスローを、中川が頭で狙ったシュートは大藤がキャッチ。50分も武南。小池、田中と繋いだボールを小宮は右へ展開。奥村のクロスへ、ここも頭で飛び込んだ中川のシュートは何とか大藤がキャッチ。52分は関東第一。いいボールカットから高野と田中ヨシ(3年・Az'86 tokyo-ome)を経由し、山崎がチャレンジしたミドルはクロスバーの上へ。直後も関東第一。高野の思い切ったミドルはDFに当たり、こぼれを星野が折り返すと、田中裕也が枠へ飛ばしたヘディングは武南のGK新井文弥(2年・C.A.アレグレ)が体を伸ばしてキャッチ。譲らない火花。
先制は「後半の入りは死んでも負けちゃダメだ」と指揮官に送り出された黄色と紺。54分、右SBの菊池優生(2年・三菱養和調布)が縦に付けると、田中ヨシは一瞬タメを創ってから柔らかい絶妙クロス。飛び付いた星野のヘディングは、フワリとした軌道を描いてゴールネットへ収まります。「サイドバックには両方攻撃的な選手を置いているので、やりたいようにやりなさいと話している」(小野監督)というサイドアタックの結実。関東第一がスコアを動かしました。
さて、リードしたアウェイチームでしたが、得点直後にアシストを記録した田中ヨシと角口大征(2年・FC府中)を交替させると、4分後には先制弾の星野が負傷で倒れ、余儀なくされた小笠原翔紀(2年・三菱養和巣鴨)とのスイッチ。63分には武南のショートコーナーから、勝山雄月(3年・坂戸ディプロマッツ)が見舞った強烈な枠内ミドルを挟み、65分には田中裕也と小泉敦(3年・三井千葉SC)、さらに66分にはチームで一番声を出し、中盤で奮闘していたものの足を攣らせた高野と小林海輝(3年・三井千葉SC)も相次いで交替。「替える数が多くなるとゲームが落ち着かなくなるので、本当はもうちょっと最小限に抑えていきたいんですけど」と小野監督も苦笑した関東第一は、およそ10分間で4枚を入れ替えるという「戦術的ではない交替」(同)を強いられます。
それでも次の決定機は関東第一。66分、山崎が右から得意の左足で蹴り込んだFKに、まったくのフリーで走りこんだ天羽章太(3年・1FC川越水上公園)のヘディングは、しかし荒井ががっちりキャッチ。絶好の追加点機を逃すと、少しずつ変化し始めたゲームリズム。
72分に右の小池、左の勝山と両砲のロングスローが関東第一ゴール前を襲い、73分には勝山の左CKを中川が当てたヘディングはわずかに枠の右へ。74分にも田中兄也のパスを奥村が左へ捌き、室崎のシュートは天羽が間一髪でブロック。一気に押し込み始めた名門の圧力。77分には関東第一も川路亮憲(3年・三鷹FA)が左から放り込んだFKを、天羽が今度はボレーで合わせましたが、ボールが選んだのは左のポスト。小野監督は81分に山崎と上脇健太郎(3年・三菱養和調布)を入れ替え、中盤のフィルター部分を強化して、最後の10分間に臨みます。
81分の決定機は武南。中川を起点にして室崎は丁寧に右へ。小宮が枠へ飛ばしたフィニッシュは、大藤がファインセーブで何とか回避。84分も武南。高い位置でボールを奪い返すと、投入されたばかりの山本奨(2年・C.A.アレグレ)はわずかに枠の右へ外れるミドル。86分の決定機は関東第一。右サイドのボール奪取から小笠原が縦へ運び、折り返したクロスを小泉は枠内へ飛ばすと、GKは破られたものの、カバーに戻っていた高野拓実(2年・大宮アルディージャJY)がライン上でスーパークリア。勝敗の行方はまだ見えず。
「天羽と川路の所の"上"は戦えるようになってきたので、サイドをやられていても怖くはなかった」と小野監督が振り返ったように、サイドからのクロスに対しては前述の天羽と川路で組んだCBコンビを中心に、しっかり跳ね返せていた関東第一。89分にはゴール前でルーズになったボールを小宮が打ち切り、DFに当たったこぼれを田中兄也が狙うも大藤がキャッチ。勝利へ向けて取り掛かるゲームクローズ。
訪れたヤマ場。90分、信じられないミスパスをかっさらった田中兄也の独走に、やむを得ず手を掛けた関東第一の選手へ提示されたのはレッドカード。ファウルの位置はエリアのすぐ外。武南にFKが与えられます。キッカーは後半途中からボランチとして投入されていた奥津大貴(2年・C.A.アレグレ)。奥津と大藤が実質1対1で向き合った勝負の帰結は、きっちり枠を捉えたボールをファインセーブで掻き出した大藤に軍配。最後は10人になった関東第一が埼玉の雄を撃破し、大きな勝ち点3を獲得する結果となりました。
忠岡義紀(3年・フレンドリー)という絶対的な中心選手を欠きながらも、難敵を向こうに回し勝ち切ることができた関東第一。小野監督も「最近は練習ゲームでもそうだし、どことやっても良くはなってきているかなと思う」と一定の手応えを掴みあるようです。この日の中盤は全員がアンダー170センチでしたが、サイズをものともしないそのテクニックには、思わず観衆からも感嘆の声が。スタイルは間違いなく確立されている中、2年続けて立ちはだかった最後の壁を打ち壊すためにも、ここからの1ヶ月が本当の勝負所です。     土屋

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