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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
"フィールド・オブ・ドリームス"への道程。昨年味わった夢舞台を再現すべく、太陽王子たちが同年代と激突するファーストステージのファイナルは日立台でのナイトゲームです。
昨年は静岡と並んで日本一過酷とも称される高校選手権の千葉県予選を勝ち抜き、わずか1枚しか用意されていない全国切符を手にした八千代。本大会では悔しい敗戦を喫しましたが、今年も当然県内ではどの大会に臨んだとしても優勝候補に挙げられるはず。新チームになって最初の公式戦は、天皇杯へと続く"アウェイ"でのビッグマッチとなりました。
一方、昨年度は天皇杯予選で1種のチームを続けて倒し、千葉県"統一王者"の座を勝ち取った柏レイソルU-18。下平隆宏監督が「今年も昨年と同じ"4つの目標"を掲げている」と明言したように、千葉県王者として臨んで1回戦を突破し、92回を数える大会史上初の、公式戦でトップチームとユースチームが対戦するという快挙を達成した昨年同様、今年も再び日立台での"兄弟対決"を明確な目標として捉えており、そのためには落とすわけにいかない大事なゲームです。平日ナイターにもかかわらず、開放されたメインスタンドはかなりの大入り。柏U-18にとっては新チーム2回目の"天然芝"。クラブユース王者と高校王者の邂逅は、八千代のキックオフでスタートしました。
先にスタンドを沸かせたのは、お馴染みのオレンジではなく、白いユニフォームを纏った八千代。3分、右サイドを山本裕貴(2年・Penya FC Barcelona Japan)が鋭く突破し、中への折り返しはDFにクリアされたものの、いきなり積極的なアタックを披露。7分には柏も手塚康平(1年・柏レイソルU-15)の縦パスを収めた宮澤弘(2年・柏レイソルU-15)がGKにキャッチされる枠内シュートを放ちましたが、8分も八千代。佐藤裕史(2年・Penya FC Barcelona Japan)の左CKから、最後は小堀将人(2年・三井千葉SC)が枠の左へ外れるミドルボレー。「相手が最初から来るのは想定していた」と下平監督は語ったものの、高校王者の勢いが序盤は上回ります。
すると、14分に八千代へ訪れたビッグチャンス。右サイドの裏へ送り込まれた1本のフィードで完全に抜け出した山本は、縦に持ち出してから中央へピンポイントのグラウンダークロス。待っていた浅川隼人(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15習志野)のスライディングシュートは、「やられたと思ったけど、アレはビッグセーブ」と指揮官も賞賛した柏GK伊藤俊祐(2年・柏レイソルU-15)が驚異的な反応でキャッチしましたが、「自分たちのペースにできなかった」と柏のキャプテンマークを巻く中谷進之介(2年・柏レイソルU-15)も話したように、八千代の時間帯が続きます。
この状況を一変させたのは、スタメンに4人が名前を連ねた1年生レフティの中でも「幼稚園の頃に右利きから変えた」という13番。20分、右SBの中込暁(2年・柏レイソルU-15)が出したパスを、堀越瑛斗(2年・足利両毛ユナイテッドFC)が繋ぎ、大島康樹(1年・柏レイソルU-15)が落とすと、「結構あそこでフリーになる時間が多かったので、1本打っておこうと」山本健司(1年・柏レイソルU-15)はミドルレンジから左足一閃。ボールは自ら「結構得意なコース」と語るゴール右スミへ一直線に吸い込まれます。"後天的左足"を自在に操るレフティのゴラッソ。柏が先制ゴールを奪ってみせました。
1点が入ってしまうと、ゲームは余裕を持ってボールを回し始めた柏ペースに。23分には宮澤が裏へ送り、大島のドリブルシュートは枠の右へ。27分には宮澤、手塚、堀越と繋ぎ、中込のクロスは何とかDFがクリア。29分にも宮澤のスルーパスから、堀越が左に持ち出しながら放ったシュートは八千代GK宮口大海(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がファインセーブ。こぼれに反応した大島のシュートも阻まれましたが、押し込むホームチーム。
生まれた2度目の歓喜は32分。CBの中山雄太(1年・柏レイソルU-15)を起点に右へ振り分けると、中込は二アサイドへ素晴らしい軌道のクロス。ここへ走り込んだのは"柏の9番"を背負った大島。ワンタッチで流し込んだボールは、確実にゴールネットを揺らします。監督も大きな期待を口にしているストライカーの一撃。点差が広がりました。
小さくないビハインドを追い掛ける八千代が再び掴んだ決定機は37分。右から左SBの金子理史(2年・Wings U-15)が蹴り込んだCKは、中央でフリーになっていた浅川の頭にピタリと合いましたが、ボールはクロスバーの上へ。45分には柏も左サイドを宮澤とのワンツーで抜け出した麦倉捺木(1年・柏レイソルU-15)のクロスに、堀越がヘディングで合わせるもDFが体を張ってブロック。前半は柏が2点をリードして、ハーフタイムに入りました。
後半も前半同様に、まず勢いよく飛び出したのは八千代。49分、古巣対決となった武藤友樹(2年・柏レイソルU-15)が裏へ落とし、浅川のノートラップランニングボレーはDFがブロック。55分には中盤での鋭いインターセプトから、佐藤がDFラインの背後へ送り込み、ワントラップから打ち切った浅川のシュートは枠の上へ消えたものの、「前半も後半も立ち上がりが良くなかった」と中谷が言及した通り、八千代のペースでゲームは推移していきます。
とはいえ、「後半の序盤は相手の速いプレスもあったが、徐々に落ち着いてきた」と山本。少しずつ相手のアタックをいなしながら、しっかりボールを回すことでリズムを取り戻した柏の攻勢。57分、大島のスルーパスから白井永地(2年・柏レイソルU-15)がチャンスを迎えるも、シュートには持ち込めず。61分、手塚のスルーパスから大島が1人かわして打ったシュートはDFがブロック。
64分は八千代の反撃。中盤でのボールカットから、ドイスボランチの一角を占める小堀が左へ流れながら枠へ飛ばしたミドルは伊藤がキャッチ。68分は柏。左サイドを抜け出した白井の折り返しに、反応した山本のシュートはクロスバーの上へ。72分には八千代に1人目の交替。前線の松信日南人(1年・FCクラッキス松戸)を下げて、同じ位置に山田晋平(2年・Wings U-15)を投入し、勝負に出ます。
勝負所を嗅ぎ分けた"巧者"の3点目はセットプレー。75分、右から麦倉が蹴ったCKを大外にいた大島が頭で折り返すと、フィフティのボールに足を伸ばして押し込んだのは中山。CBの1年生レフティが記録したダメ押しゴール。柏が勝利を大きく手繰り寄せました。
下平監督は78分に3枚替えを敢行。中島玲央(1年・柏レイソルU-15)、宇野木悠佑(1年・柏レイソルU-15)に加え、「彼はいずれAチームに絡んで来る選手」と山﨑海秀(中3・柏レイソルU-12)も投入し、85分には上島拓巳(1年・柏レイソルU-15)もピッチへ。日立台で貴重な公式戦の場数を踏ませます。
90+3分には白井のスルーパスに反応し、右から宇野木がカットインしながらトライしたシュートは枠の右へ。やはり90+3分、「トレーングマッチでは凄いシュートを決めていたけど、俺がこの中に入っても緊張するもん」と下平監督も笑った山﨑の左足ミドルは大きく枠外へ。終わってみればスコアは3-0。新チーム2度目となる日立台での公式戦で色々な収穫を掴んだ柏が、2年連続での"兄弟対決"にまた一歩近付く結果となりました。
柏は今週の金曜からダラスカップのためにアメリカへと遠征し、その直後には中東遠征も待っているとのこと。貴重な海外遠征2連発を経て、4月開幕のプリンス関東へ突入するそうです。ダラスカップは昨年に続いての出場となり、「1回経験しているので、だいぶいい準備ができると思う」と下平監督。グループステージの最終戦ではマンチェスター・ユナイテッドとの対戦も控えており、キャプテンの中谷も「これからの遠征でどれだけ成長できるかが大事」と話してくれました。是非日本の代表として頑張ってきて欲しいですね。 土屋
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