年末も迫ってきた今月から、
今シーズン色々な現場でお聞きして
心に響いた大切な言葉たちを
少しずつご紹介していきたいと思います。
第2回目はシーズン的には昨シーズンになりますが、
今年の1月に関東サッカーリーグ昇格決定戦を戦い、
惜しくも敗れた試合直後にお話を聞かせてくださった
tonan前橋サテライト・渡辺智洋監督の言葉です。

Q、トップチームとサテライトチームの棲み分けについて教えてください。

A、今はもう年の初めにしっかりと登録を分けています。
ただ、8月31日までに登録変更すれば関東社会人大会に出られるんですよ。
トップチームがちょっと上に上がれる可能性が低くなったんで、
3人ほどサテライトに移籍させてこの大会は戦ったんですけど、
基本的には1年間別々のチームでやっている状況です。
自由に選手は入れ替えられないですね。

Q、練習もトップとサテライトは別々ですか？
A、練習は全部一緒にやっています。
火、水、木は基本的に9時半スタートで、午前中にトレーニングできるんですよ。
仕事は株式会社図南（となん）クラブっていうのがあって、
全員じゃないんですけど、そこに所属している選手が大半で、
午前中練習して、午後は普通に仕事へ行ったりとかしています。
それは図南で仕事を色々探してきて斡旋すると。
ただ、図南で働いていない選手もいるんで、
そういう子はバイトとかをやってるんで、時間は調整してますね。
それでも来れない時は、
金曜日だけは全員で夜の練習をするのでそこに出ると。
そこには大体集まりますね。
僕も昼間はサラリーマンなんで、
このチームの練習を見られるのも金曜の夜だけなんですよ。
だから、ほとんど今日ベンチで隣に座っていた氏家（英行）が
チームを作ってくれてる状態です。

Q、県内ではあまり強いライバルがいないような状況でしょうか？

A、そんなこともないですけどね。
県リーグで2敗もしてますし、無敵って訳ではないんですけど、
これほどシビアなゲームはなかなかないですね。
やっぱり関東大会に出てくるような、
関東リーグを目指しているぐらいの相手っていうのはなかなかいないです。
だから、ウチがこれだけのパフォーマンスをして負ける相手っていうのは、
まず県内にはいないんですよね。

Q、結果は負けてしまいましたが、来年に繋がる2試合だったんじゃないですか？

A、そうだと思いますね。関東社会人の本番も含めて4試合。
たぶんほとんどこんな修羅場を経験していない選手たちが大半なんで、
関東社会人の2試合に比べても、今回の2試合は凄く逞しさも出てましたし、
たった2ヶ月だったんですけど、コイツら成長してるなっていうのは感じました。
ホント1年前から比べれば劇的に。
最初見た時はもうどうなることかと思いましたから（笑）
まあ、来年もこのモチベーションを持ち続けてやってくれれば、
いいチームになると思います。

Q、トップチームも含めたクラブとしての
目指すべき方向性というのはどういう所になるのでしょうか？

A、目指してもJFLじゃないですかね。
代表とそこまでちゃんと話したことはないですけど、
Jリーグまではなかなか難しいと思うんです。
地域貢献というのを菅原（宏）代表も一番に考えていますから、
プロになるというのは考えていないような気がします。

Q、今日もスクールの子が凄くたくさん応援に来てましたね。

A、本当ありがたくて。
中学生もかけもちで見てるんで、僕たちの教え子なんですよ。
みんな普段教えている子供たちなんですよね。

Q、試合前に監督も名前をコールされてましたね。

A、はい（笑）
するなって言っとけばよかったです（笑）

Q、普段教えている子たちが応援に来てくれるというのは
本当に素晴らしいことですよね。

A、そうですね。選手も力になると思いますし、
目指すべきチームの形でもあるかなと。
やっぱり子供たちが目指すべきチームでないといけないなっていうのは
常々思いながらやってるんですけど、なかなか理想と現実はね（笑）

Q、試合後は目を赤くされてましたけど。

A、ダメですね。年取ると涙もろくなるんですよ（笑）
最後、子供たちがあんなに自分の名前を呼んでたじゃないですか。
この大会に懸けていることは懸けているんですけど、ちょっとね。
恥ずかしいんですけど（笑）
もう来年で40なんで、涙腺が緩くなってます（笑）

いくつか状況を補足すると、
現在、tonan前橋というクラブには関東1部に籍を置くトップチームがあり、
tonan前橋サテライトというのは、そのセカンドチーム的な位置づけで
群馬県リーグ1部に在籍しています。
そして、関東社会人大会というのは
各都道府県リーグの上位チームで争われるトーナメント。
そして、そのトーナメントの上位に入った数チーム（年ごとに変動あり）が
関東リーグ2部へ昇格を決めるという仕組みになっています。

2011シーズンから2012シーズンへ向けての
関東リーグ昇格枠は4でしたが、
Y.S.C.C.がJFL昇格を決めたため、
もう1つ空いた枠を巡って、
関東社会人大会のベスト8で負けた4チームが
"5位決定戦"という名の下に、準決勝、決勝という形で
"5位＝昇格枠"を争ったのが
今回ご紹介した"関東サッカーリーグ昇格決定戦"になります。
試合の模様はコチラ↓
https://www.jsports.co.jp/football/jleague/blog/game-report/-23tonan/

つまり、11月13日の関東社会人大会準々決勝で負けてから、
Y.S.C.CがJFL昇格を決めるまでの約1ヶ月あまりは
「ひょっとしたら決定戦があるかもしれない」という
非常にナーバスな1ヶ月を過ごしていたわけです。

そんな想いで臨んだ大一番で
惜しくも敗れた試合後にお話をお聞きしましたが、
渡辺監督は真摯に答えて下さいました。
なお、2012シーズンのtonan前橋サテライトは
群馬県リーグ1部を制したものの、
関東社会人大会では初戦敗退。
関東リーグ2部への昇格はお預けとなりました。
今後もトップチーム含め、サテライトの動向にも
是非注目していきたいと思っています。

土屋