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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年12月22日

インカレ準々決勝 中央大×阪南大@川口

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kawaguchi1222.jpg今大会では2試合目となる関東関西対決。関東第4代表の中央大と、関西王者の阪南大がベスト8のステージで顔を合わせます。
中大は初戦で新潟医療福祉大に、前半だけでいきなり2点のビハインドを負わされる展開に。75分と77分の連続ゴールで追い付き、最後は安柄俊(4年・東京朝鮮・川崎内定)の決勝弾で何とか逆転勝利を収めたものの、苦しみながら勝ち上がってきました。
一方、近年着々と力を付けてきている仙台大を、小池恭一(4年・佐賀東)と工藤光輝(3年・札幌U-18)の2トップ揃い踏みとなる2ゴールで振り切った阪南。夏冬連覇へ向けて順調に滑り出しましたが、今日は負傷離脱中の窪田良(3年・東京Vユース)に加え、谷本泰基(4年・広島皆実)まで欠場と「レギュラーのボランチが2人いない」(須佐徹太郎監督)非常事態に。メンバーや配置を入れ替えながら、この一戦に臨みます。川口の空模様はあいにくの雨。スタンドには傘の花が色付く中、中大のキックオフでゲームは開始されました。
ファーストチャンスは阪南。5分、工藤が右へ送ったパスを泉澤仁(3年・新潟ユース)は枠内シュート。ここは中大GK岡西宏祐(4年・山梨学院大附属・甲府内定)が防いだものの、阪南はもう一度右へと展開すると、上がってきたキャプテンのSB飯尾竜太朗(4年・神戸ユース)が繋ぎ、泉澤の鋭いクロスを工藤が完璧なヘディング。広がった歓喜の輪。電光石火のアタックで、早くもスコアが動きました。
衝撃再び。7分、右サイドでボールを持った泉澤は低いアーリークロス。ニアへ飛び込んだのは「オフ・ザ・ボールの駆け引きで上回れた」と自ら語る工藤。綺麗なボレーが激しく揺さ振ったゴールネット。点差が2点に広がります。
衝撃三たび。10分、小池が左へ繋ぎ、上がってきたSBの二見宏志(3年・奈良育英)がグラウンダーで入れたボールを、またもニアで工藤がプッシュ。岡西もよく反応しましたが、ポストに跳ね返ったボールを、本来はストライカーながら左SHで起用された河田篤秀(2年・阪南大高)が"嗅覚"でねじ込みます。「ゲームの入り方が素晴らしかった。あんなにうまくいくとは」と須佐監督も納得の表情。圧巻の10分間。あっという間にスコアボードへ"3"の数字が躍りました。
確かに想定以上の成果だったとは思いますが、それでもこの阪南の立ち上がりには必然のロジックも。中大のサイドを「ポジションを曖昧にしたら絶対に食い付く」という左と、「SBが戻り遅れる」という右と分析していた阪南は、右に泉澤を、左に河田を置いた、いつもと異なる布陣に。この配置が両SBの飯尾と二見の攻め上がりも促進して、序盤のラッシュに結び付いていたようです。
さて、重いディスアドバンテージを追い掛ける中央も21分に追撃の狼煙。右から砂川優太郎(2年・広島ユース)が蹴ったFKに、ファーへ潜った安田隆(4年・三菱養和ユース)は執念のダイビングヘッド。これがゴールに吸い込まれ、点差は2点に。すると、ここから明らかに変わった流れ。
26分は中大。1本のフィードに砂川が抜け出し、強引に打ったシュートは二見がブロック。30分も中大。奥山慎(4年・帝京)がドリブルで縦にテンポアップさせると、六平光成(4年・前橋育英・清水内定)は左へ。安のミドルは阪南GK原田直樹(3年・広島観音)が好セーブ。33分も中大。バイタルで受けた安は、そのままミドルを枠内へ。「だんだん不安定になってきた」(須佐監督)阪南を尻目に、右FWの奥山とCFの安がボールを引き出し始め、攻撃のギアチェンジがスムーズに。
攻める中大。そして35分に掴んだ決定機。六平がピッチ中央から鋭いスルーパス。安はパーフェクトなターンから独走態勢に入り、原田と1対1。5秒後、しかし頭を抱えたのは安。原田のビッグセーブが飛び出し、スコアを詰められません。
「主導権を握られていた」(須佐監督)状況下、守護神の大仕事で窮地を脱した阪南は、前半終了間際にもう一刺し。45分、右サイドで小池は溜めて溜めて縦へ。追い越した飯尾が上げたクロスを、ニアで合わせたのはやはり工藤。「頭に分厚く当てた。アレは凄い」と指揮官も高評価を与えた9番は、前半だけでハットトリックを達成。リーグ戦ではあまり出場機会に恵まれず、「出たらやってやろうという気持ちは持っていた」という工藤の爆発で、阪南が3点のリードを持ってハーフタイムに入りました。
後半も勢い良く立ち上がったのは阪南。46分に小池がドリブルから積極的なシュートを枠の右へ飛ばすと、56分にも今日はボランチに入った可児壮隆(3年・川崎U-18)が右へ送り、工藤のシュートは枠の右へ外れましたが、攻撃をしっかりフィニッシュで終わります。
58分には中大のチャンス。今井智基(4年・大宮ユース・大宮内定)を起点に奥山を経由し、安が打ち切ったミドルは難しいワンバウンドも原田にキャッチされると、その2分後には左FWの川越勇治(3年・川崎U-18)を下げて、田仲智紀(4年・浦和ユース)を投入。砂川を左に移し、前線の顔触れに変化を加えます。しかし、次に生まれたゴールも阪南。
64分、右サイドを切り裂く泉澤のドリブルは止まらず、えぐってえぐって中へ。高速クロスに走り込み、ボレーでぶち込んだのはもはやチームメイトも「アイツ今日エグいな」と呆れる工藤。泉澤の3アシストを、すべてワンタッチでゴールに昇華した工藤は自身4ゴール目。1-5。勝敗は決しました。
何とか意地を見せたいオレンジ軍団。68分には、奥山の右クロスを安が得意のヘディングで枠へ収めましたが、「あそこで止めるから原田」と須佐監督も賞賛した原田のファインセーブに阻まれます。
羽根を休めないリバティウイング。71分、二見の突破で獲得したPKを可児がきっちり沈めて、1-6。76分、可児の右CKがこぼれると、反応した二見のシュートはゴール左スミへ飛び込み、1-7。意外な大差での決着。「僕も含め、試合に出られなくてウズウズしていたメンバーがたくさんいる」と工藤が話したように、層の厚さをまざまざと見せ付けた阪南が圧勝を収め、9年ぶりのベスト4進出を決める結果となりました。
中大は立ち上がりの3失点も当然痛かったですが、1-3で迎えた安の決定機逸が悔やまれます。ただ、安は底知れぬポテンシャルを随所に見せてくれたことも確か。81分の交替時に泣きじゃくりながらピッチを後にした彼には、その想いを胸に是非次のステージでも羽ばたいて欲しいと思います。
ドイスボランチを欠きながら、「春からやってきて積み重ねてきた部分」 (工藤)を存分に発揮し、衝撃的なスコアで勝利した阪南は、かなり訓練されているなあという印象です。点差が開いた後半も、最後まで運動量を落とさずに容赦なく加点。「絶対に走り切る自信はある」と須佐監督。夏冬連覇がいよいよ現実味を帯びてきました。         土屋

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