J1第34節　
アルビレックス新潟×コンサドーレ札幌@東北電力ビッグスワンスタジアム
解説：玉乃淳　実況：西岡明彦　インタビュアー：桑原学

【玉乃淳氏によるマッチレビュー】
Q、ゲームの全体的な印象を教えて下さい。

A、新潟が思い描いたとおりの完全勝利ですね。
勝たなきゃいけないということがあったので、
立ち上がりから先制点を取りにいく姿勢があったと思います。
今までは負けないサッカーをしていたのが、
勝たなくてはいけないサッカーになったのが功を奏した印象です。
攻撃陣にタレントも多く、あれぐらいできる力は持っていると思うので、
やっとアレがこの土壇場に来て出せたのかなと。
今日の新潟は本当に強かったですからね。

Q、新潟にとって、先制点を取れたのは大きかったですよね。

A、マジでデカかったと思います。先制したら本当に強いですから。

Q、中継の中では結構ブルーノ・ロペスに厳しい評価をされていました。

A、元々ポテンシャルは相当高い選手だと思っていて、
今シーズンの働きには納得がいっていなかったですから。
アレぐらい、ないしアレ以上やっていれば、
逆に言ったら残留争いにも巻き込まれていなかったんじゃないかなと。
結構今シーズンは新潟の中継を担当させてもらう機会が多く、
ゲームもかなり見ていたので、
常に「もっとできるのにもったいないな」という印象でした。

Q、アラン・ミネイロはいいパフォーマンスを見せていました。

A、そうですね。逆にミシェウがいなかったことで、
自分の思い通りのスペースを使えたので、
ああいう結果が生まれたのかなという印象です。
ただ、ちょっとウエイトオーバーだと思うので、
もう少し絞って、コンスタントに90分間使えるくらいの
コンディションには持っていって欲しい気はします。
来シーズンも残るのであれば、
プレシーズンから徹底的に絞っていかないと、彼にとってももったいないし、
新潟にとっても宝の持ち腐れになってしまうのかなという印象ですね。
アレだけのポテンシャルを持っているわけですから。

Q、札幌が1点返した時はどういう印象だったでしょう？

A、正直新潟は危ないんじゃないかなと思いました。
引き分けじゃダメという状況だったので、
3点目を取りに行くのか、1点を守りに行くのかという部分で、
スタジアム全体が困惑していたように僕には映りました。
ただ、何を言っているかまではわからなかったですけど、
栗原コーチが凄くいい表情で指示を出していたのが印象的で、
選手に自信を与えていたのかなという感じでした。

Q、今日のビッグスワンの雰囲気はどうだったでしょう？

A、凍えるような寒さの中、
試合前からサポーターの熱気がスタジアムに充満していましたし、
他力でしか残留できない中で、
「この試合に勝てば絶対残留できるんだ」という確信めいた決意が感じられました。
「とにかく勝たなくてはいけない。点を取らなければいけない」という気迫が凄くて、
この土壇場でサポーターと選手が一体となった瞬間でもあったと思います。
負けないサッカーから勝つサッカーへと変貌できる
大きなキッカケとなったのではないでしょうか　
そういった意味でも、新潟が今後進むべき道が
示された試合になったのかもしれませんね。

Q、新潟の残留が決まった後、玉乃さんも泣いていましたが、
あれはどういう想いからだったんでしょう？

A、J1に残留するのと、J2に降格するのでは全然違いますし、
キャプテンを務める本間選手が背負う責任も相当だったと思います。
そんな中で必死に涙をこらえて
本当にサポーターのおかげだなということを感じている姿に、
心から感動しました。
あとは、自分が降格したときのことも思い出していました。
降格というのは大げさではなく、人生が変わってしまいますし、
引退をしなくてはいけない選手も出てくるでしょうし、
選手寿命も5年短くなったりという非常に厳しい世界なので、
そう考えるとキャプテンの言葉にはジーンと来ました。

Q、今シーズンを振り返って、最後に一言お願いします。

A、率直に、Jリーグってこんなに面白いの？という印象でした。
毎週末が楽しみで仕方なかったし、
この解説業が僕の人生を明るくしてくれたと思います。
専門家ぶるのではなく、とにかくサッカーの面白さを
一人でも多くの視聴者の方々に伝えたかったのですが、
その気迫で毎回望んでいたら、
いつの間にか自分が一番楽しんでしまっていました（笑）
もう今から来年が待ち遠しいです（笑）

再放送スケジュールは
12月1日（土）23：00～26：00　J SPORTS1
となっています。
是非このマッチレビューと共に再放送もお楽しみ下さい！

土屋