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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年10月20日

第48回全国社会人サッカー選手権大会決勝 福島ユナイテッドFC×FC KOREA@味スタ

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ajista1017.jpg怒濤の5日間ノンストップで5連戦。全社もここにファイナルを迎えます。
「アマチュアナンバーワンの称号を取って、JFLに昇格する」と時崎悠監督が明言したように、高いモチベーションを持ってこの大会に乗り込んできた福島ユナイテッドFC。松本山雅FCやカマタマーレ讃岐が辿った道をなぞるべく、あと1つに迫った全国タイトルへ最後の80分間に挑みます。
関東1部7位。最終節で直接対決となった東邦チタニウムを蹴落とし、土壇場で残留を勝ち取ったリーグ戦から一転、ヴァンラーレ八戸にFC大阪と、Jリーグ参入を掲げているチームを続けて撃破したFC KOREA。これで完全に波に乗り、準々決勝では海邦銀行SCに3-0で快勝。大会前に立てた「まずは3つ勝ってベスト4に入るという目標」(FC KOREA・ファン・ヨンジョン監督兼選手)を達成すると、準決勝で当たったバンディオンセ加古川も3-0で一蹴して、堂々のファイナル進出を果たしています。"社会人"の頂点へ。味の素スタジアムのピッチで、今大会のフィナーレを飾る32試合目が動き出しました。
まず、先にシュートを記録したのは福島U。5分、うまく流れたスペースでボールを受けた久野純弥(24・ヴァンフォーレ甲府)が、ドリブルから枠内ミドル。コリアGKカン・ソンウ(23・尚美学園大)がしっかりキャッチしましたが、"三冠"を目指す福島Uが意欲的にゲームへ入ります。
一方のコリアは7分にFK、9分にCKを相次いで獲得すると、またもセットプレーからチャンス到来。9分、右からキャプテンのパク・セフン(26・立命館大)が蹴ったCKは、フリーで飛び込んだファン・ヨンジョン(32・アルテ高崎)にピタリ。ボールはクロスバーを越えたものの、こちらも1つ惜しいシーンを創出しました。
「緩い立ち上がりというか、お互いに体が動かない状況」(時崎悠監督)の中で、どちらも「シンプルに相手陣地へボールを放り込む」(ファン・ヨンジョン)ような展開が続くと、押し込むのはやはり個の力で上回る福島U。キャプテンのボランチ小野雄平(27・グルージャ盛岡)が、徐々にセカンド奪取から左右に散らしてリズムを創ると、20分過ぎからはコリアを圧倒。
その20分には、平岡佑太(24・大阪学院大)が左から蹴り入れたFKを久野、小野と立て続けにシュートへ持ち込むも、共にDFが好ブロック。22分、久野が右へ展開すると、伊藤卓也(25・専修大)のクロスから、最後は小野のボレーが枠の右を強襲。24分、スペースへ流れた久野の折り返しに新裕太朗(22・青山学院大)が走り込むも、コリアの左SBソン・キョンテ(25・朝鮮大)が抜群のカバーで回避。続く福島Uのラッシュ。
26分にはビッグチャンス。小野が鋭く入れたクサビを新が落とすと、キャプテンマークを巻いた清水純(27・バンディオンセ加古川)のチャレンジしたミドルは、クロスバーにハードヒット。今日一番の惜しいシーンに福島Uサポーターも悶絶。先制の予感が漂い始めます。
苦しい時間が続くコリア。ただ、「サイドに振られてクロスを上げられていたが、しっかり跳ね返せていたし、いい状態で守備を開始できていた」とはファン・ヨンジョン。確かに清水のミドルには肝を冷やしたはずですが、それ以外はファン・ヨンジョンとユン・ソンジュ(26・FC琉球)で組んだCBを中心に守備陣が体を張り続け、決定的なチャンスは創らせません。
38分、平岡の左FKがこぼれたボールを久野が狙ったミドルも、右SBのピョン・ホンス(25・朝鮮大)が体でブロック。40分、平岡の右CKをニアで新が頭に当てたボールは枠の右へ。「今までのリーグ戦はああいう時間帯に失点して負けてしまう展開が多かったが、リーグ終盤からああいう所を粘って対応できるようになった」とファン・ヨンジョン。前半はスコアレスでハーフタイムへ入りました。
後半はスタートからコリアに動き。キム・ドウ(22・韓国国際大)に替えて、クォン・ジェリョン(23・朝鮮大)を投入。最前線に変化を付けてきました。ゲームが再開すると全体の流れは変わらず、46分にはキム・キス(30・水戸ホーリーホック)のパスから、平岡がカットインシュートを放つも、カン・ソンウがファインセーブで阻止。福島の攻める時間が長い展開は続きますが、コリアが粘り強く守ります。
すると、50分を過ぎた辺りから形勢に変化が。「もっとフリーの選手へと早くボールを動かせば、パスは回せるからという話はした」とファン・ヨンジョンが明かしたように、少しずつコリアもボールを握り始め、53分にはピョン・ホンスのクロスからソン・キョンテがミドル。結果は枠外でしたが、両SBが絡んだプレーで流れの中からはチーム初シュートを記録するなど、ようやくリズムが出てきました。
54分に時崎監督も決断。右SBのキム・キスに替えて、最前線に時崎塁(29・ラスティング郡山)を送り込み、新が右SHへ、伊藤が右SBへ一列ずつ下がる並びでテコ入れを図ります。57分もコリア。右からしっかり崩して、オ・イヌ(22・慶熙大)が繋ぐと、リ・チソン(25・東京ヴェルディ)のミドルは枠の右を強襲。攻めるコリア。
「向こうに流れが傾きかけた苦しい時間帯」(時崎悠監督)に福島Uを襲ったさらなる追い打ちは59分。競り合いの中でファウルとジャッジされた清水へ、小屋幸栄主審はイエローカードを掲示。前半終了間際にも1枚もらっていた清水は退場を余儀なくされてしまいました。
想定外の自体に福島Uは62分、新に替えて小島直希(26・アルテ高崎)を投入すると、久野を右SHに配し、時崎塁を1トップに置く4-4-1へシフトして対応します。一方のコリアも同じタイミングでオ・イヌとレフティのファンボ・ヨンシル(24・静岡FC)をスイッチして、前へのパワーを増強すると、69分に決定機の到来。ミドルレンジからパク・セフンが打ち込んだミドルは福島UのGK内藤友康(26・モンテディオ山形)がセーブするも、そのボールはカン・ホ(24・JAPANサッカーカレッジ)の目の前へ。シュート。しかし、内藤がファインセーブ。踏み止まった福島U。
ラスト10分の攻防。70分はコリア。カン・ホのシュートは、福島Uの左SB大原卓丈(25・徳島ヴォルティス)が必死にブロック。74分もコリア。ファンボ・ヨンシルの左FKを、ユン・ソンジュが合わせたヘディングはゴール右へ。「1人少なくなってやることはハッキリしたし、ハードワークできた」(内藤)福島Uの反攻は80分。キム・コンチョン(26・流通経済大)の左CKに時崎塁が頭で食らい付くも、GKがキャッチ。82分も福島U。右サイドから久野が上げたクロスに、時崎塁がダイビングヘッドを敢行するも、ボールはゴール右へ。直後に訪れたタイムアップ。80分間では決着付かず。優勝旗の行方は、さらなる20分間へ託されることになりました。
「みんなの気持ちが入って戦った結果」(ファン・ヨンジョン)。コリアの結実は86分。リ・チソンが放ったミドルがDFに当たって跳ね返ると、クォン・ジェリョンは冷静なスルーパスを一刺し。受けたパク・セフンの右足から放たれたボールは、ゴールネットに吸い込まれます。凌いできた福島Uの決壊。とうとう均衡が破れます。
数的不利の中、厳しくなった福島Uは189センチの伊藤を最前線に上げて、何とか1点を返しに出ていきますが、焦りからかチャンスは創り切れません。「チラチラと時計を見ながらの長い時間」(ファン・ヨンジョン)に終わりを告げたホイッスル。「在日のサッカー人として、日本の大会で優勝という形によって歴史に名を残せたことを誇りに思う」とファン・ヨンジョン。激闘を制したコリアが、見事アマチュアナンバーワンに輝く結果となりました。
少し前述しましたが、関東1部で残留争いを繰り広げていたコリアは、ラスト2試合を両方勝たないと厳しい状況に追い込まれていたそうです。そこから連勝を飾り、リーグ残留を確定させて挑んだのが今大会。「勝たなくてはいけない準備をして臨んだあの戦いからの流れが、そのままここに繋がって結果になってしまった。自分でも驚いています。"災い転じて"ですかね」と笑ったファン・ヨンジョン。どん底からの大逆襲。「もう一旋風巻き起こしたい」(ファン・ヨンジョン)というコリアの地決にも、是非注目したいと思います。        土屋

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