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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
第2試合はおそらく今大会に出場しているチームの中で、最も名前を知られているであろう強豪の登場。福島ユナイテッドが西が丘に姿を現しました。
天皇杯におけるジャイアントキリング。ヴァンフォーレ甲府とアルビレックス新潟を相次いで撃破し、一躍日本中のサッカーファンに存在感を示した福島U。実はこの2週間は「リーグ戦で逆転優勝できて、アルビレックスにも勝ててという、凄くいい流れで来ている」(時崎悠監督)とのこと。既に地域決勝への出場権は獲得している中で、「この大会でアマチュアナンバーワンの称号を取って、JFLに上がりたい」(同)という高いモチベーションを持って、今日の一戦に臨みます。
一方、「最近北海道勢は1回戦で姿を消しているので、最低でもそこだけは突破したいなと」(柴田和千代監督)臨んだ初戦で南国高知FCに競り勝つと、その勢いで横浜猛蹴にも80+4分の決勝弾で劇的な逆転勝利。台風の目になりつつあるのは札幌蹴球団。興味深い組み合わせとなったゲームは、27.7度という10月中旬とは思えない暑さの中でキックオフされました。
第1試合に続いて、ファーストチャンスからそのまま生まれた先制弾。3分、キム・コンチョン(26・流通経済大)の左CKは一旦跳ね返されたものの、再び左へ展開し直したボールはキム・コンチョンの下へ。ピンポイントクロスに、ニアへ走り込んだ久野純弥(24・ヴァンフォーレ甲府)のヘディングが炸裂。豪快な一撃で福島Uが早くもリードを奪いました。
さて、7分には時崎塁(29・ラスティング郡山)が、10分には新裕太朗(22・青山学院大)が惜しいシュートを放つなど、攻勢に出ていった福島Uでしたが、「今シーズンのリーグ戦でも、先制点を早い時間で取る試合はほとんど良くない」と時崎悠監督も言及したように、このゲームも10分過ぎからはイージーなパスミスも目立ち出し、リズムを手放すような格好に。
逆に札幌は12分、井島祐輔(27・仙台大)が際どいループミドルにトライすると、15分にも辻良樹(30・リオグージョ旭川)がドリブル突破から放ったシュートは、わずかに枠の左へ。「しっかりした守備からカウンターで2トップの辻と井島に期待する」(柴田監督)プラン通りの形から、福島Uゴールを脅かします。
ただ、25分を過ぎると再び東北王者が押し出す迫力。26分には時崎塁、鴨志田誉(27・栃木SC)が続けざまに枠内シュート。ここはどちらも札幌GK村城聖(30・札幌ウインズFC)が防ぎましたが、30分にはCKから時崎塁がわずかに枠を外れるヘディングを放ち、2分後にも久野のポストから鴨志田のシュートは枠の左へ。「いっぱいいっぱいの対応」(柴田監督)ながら、CBの扇宏佑(23・北翔大)と中島和也(26・マリソル松島スポーツクラブ)を中心に何とか耐える札幌。
しかし決壊の時は35分。左からキム・コンチョンが蹴り込んだCK。高い打点で競り勝った時崎塁のヘディングが、豪快にゴールネットを揺らします。強烈な"個"の煌めきで福島Uがリードを広げ、ゲームはハーフタイムに入りました。
後半は「距離感が遠い状況を修正した」(時崎悠監督)福島Uが、立ち上がりから主導権を奪取。対する札幌は、最も脅威になっていた辻が肉離れで前半の内に交替を余儀なくされており、手数を繰り出せません。すると、51分に生まれたビューティフルゴール。吉渓亘(25・流通経済大)のクサビを、時崎塁はワンタッチで右へ。フリーで抜け出した新のグラウンダークロスに久野が走り込み、最後はDFのクリアがゴールを陥れたとはいえ、崩しはパーフェクト。大きな3点目が福島Uに記録されました。
ここから躍動したのは、時崎悠監督も「相当効いている。彼がいることによってウチは12人か13人いるんじゃないかというくらい、あの運動量は本当に凄い」と絶賛した鴨志田。60分、左サイドで久野からパスを引き出し、新への完璧なクロスで4点目をアシスト。62分、右から新が上げたクロスを途中出場の小林康剛(32・ファジアーノ岡山)が落とすと、自らゴール左スミに蹴り込んだ5点目はGK一歩も動けず。63分には、こちらも途中出場の小島直希(26・アルテ高崎)が村城にセーブを強いたシュートの起点になるなど、「今年は中盤の補強にこだわった」(時崎悠監督)というクラブの期待に最大限の力で答えるプレーを披露し続けます。
さらに66分、1分前に投入されたばかりのキム・キス(30・水戸ホーリーホック)が左から入れたクロスに、新が頭から飛び込んで6点目をゲット。「今シーズンずっとトレーニングはしてきているので狙い通り」と指揮官も話したサイドアタックが5度目の結実。勢いは止まりません。
「運動量がガクッと落ちて」(柴田監督)苦しい時間が続く札幌も、68分に高木祐太(24・札幌大)、72分に大御所の山本真也(39・仙台大)を揃って中盤に送り込みますが、形勢は変わらず。最後の花火は81分、キム・キスの左CKをキム・グァンミン(26・ファジアーノ岡山)が頭でねじ込み、ファイナルスコアは7-0。「本当にタフに80分間通して戦ってくれた」と時崎悠監督も一定の評価を口にした福島Uが、また一歩頂点に近づく結果となりました。
今日は悔しい結果に終わったとはいえ、実に28年ぶりとなる全国8強に輝いた札幌。「選手は3連戦の中でよく頑張ったし、ゲームを捨てることなく最後まで走り切ったと思う」と柴田監督。繋げる所を高い技術でキッチリ繋いでいくスタイルには、何とも北海道のクラブらしさが出ていたような気がしました。実りある今シーズン最終戦だったのではないでしょうか。
「1ヵ月後にある地域決勝を意識して、この大会に来ている」と時崎悠監督が明かした福島Uは、私が今大会で取材した7チームの中では1つグレードの違うレベルという印象を受けました。「今からもう新しいことをやろうとはまったく思っていないので、シーズンを通してやってきたことをブレずに突き詰めて、こだわりを持ってやっていきたい」と時崎悠監督。4強の顔ぶれの中では、やはり筆頭の優勝候補。そして、地域決勝でも有力な昇格候補になってくるのは間違いなさそうです。 土屋
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