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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年10月14日

ナビスコカップ準決勝第2戦 柏×鹿島@日立台

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kashiwa1013.jpg気鋭の黄色。伝統の赤。国立の舞台を自らの色で染め抜く権利を得るためのラストバトル。ナビスコカップはセミファイナルのセカンドレグです。
リーグの成績を見ると柏は6位、鹿島は13位とシーズン前の期待値を考えれば振るわない位置。「リーグ戦の優勝はもう不可能であると言わざるを得ない」(鹿島・ジョルジーニョ監督)状況だからこそ、このタイトルはお互いに譲れません。ファーストレグは打ち合った結果、大迫勇也の2ゴールで鹿島が3-2と先勝。アウェイチームがわずかなアドバンテージを持って、90分間の"後半"が幕を開けました。
ファーストシュートは鹿島。3分、相手のミスパスを奪った新井場徹が強烈なミドル。わずかに枠の左へ外れたものの、小笠原満男の出場停止を受け、フィールドプレーヤーの中では最年長となる33歳が意欲を前面に押し出します。5分の決定機は柏。田中順也が粘り、ジョルジ・ワグネルを経由したボールはフリーの水野晃樹へ。ところが、同サイドを狙ったシュートは枠を捉えられず。このゲームの、そして180分間でのリードを奪う絶好の機会を逃してしまいます。
すると、最近のJリーグで最も好調を維持していると言えそうな、鹿島の9番が一仕事。12分、エリアのすぐ外からトライした大迫のシュートはDFにブロックされましたが、こぼれ球は再び大迫の足元へ。一瞬止まった柏ディフェンスを嘲笑うかのような、中央を貫くスルーパスはドゥトラにピタリ。先制は鹿島。リードが広がりました。
出足で上回り、チャンスも創りながら、失点を許す格好となった柏。最低でも2点が必要になる中、続ける攻勢。14分、大谷秀和のフィードを田中が落とし、工藤壮人が左足で狙ったボレーはヒットせず。20分、左からワグネルが上げたクロスは田中のオフェンスファウル。23分、水野のロングスローから最後は橋本がシュートを放つも、曽ヶ端準がファインセーブ。押し込む時間が続きます。
しかし、「前から来るのはわかっていたので、しっかりブロックを作っていこうと話していた」と本田拓也が話せば、「相手がサイドから崩してくるのは分かっていたので、CBが引き出されないようにしていた」と岩政大樹。安定した守備を見せる鹿島が、「ちょっとバランスを崩して攻めに出ていく部分があった」(工藤)柏にさらなる衝撃を与えたのは24分。遠藤康のフィードを右で収めたドゥトラは冷徹なスルーパス。受けた大迫の冷徹なシュートはゴール右スミを捕獲し、3人でのカウンターが見事に完結。これぞ王者の貫禄。あまりにも大きな追加点が鹿島に記録されました。
さて、3点を追い掛ける展開になった柏は、どうしても焦りからか長いボールが多くなり、岩政と青木剛で組んだ鹿島のCBに跳ね返されてしまいます。ただ、37分にはそのチャレンジが奏功。近藤直也のフィードから、田中がファウルをもらって獲得したFK。中央やや右、ゴールまで約25mの距離から、ワグネルが直接狙ったキックは、GKの伸ばした手を擦り抜けてゴールネットへ到達。太陽王に一筋の光明が差し込みます。
1分後、光を遮断する赤のビロード。大迫のスルーパスがドゥトラへ通ると、後追いになった茨田陽生のタックルを西村雄一主審はファウルとジャッジ。三たび繋がったホットライン。鹿島にPKが与えられます。キッカーは大迫。試合を決しかねない重要なシーン。左を狙ったキックは、しかし菅野孝憲が驚異的な反応でストップ。沸き返る黄色。守護神のビッグプレーが飛び出し、1点差のままで前半は終了しました。
ハーフタイムに施されたネルシーニョの閃き。水野に替えてネット・バイアーノを投入すると、前線にはネットを中央に、右へ工藤、左へ田中を配置。中盤は大谷をアンカーに、茨田とワグネルが前目に入る「準備していたわけではない」(工藤)4-3-3で逆転を狙いに打って出ます。
47分にはネットのポストから茨田が右へ送り、工藤のシュートはバーの上へ。53分には近藤が負傷で増嶋竜也との交替を余儀なくされる場面もありましたが、それでも攻め続ける柏。57分にはワグネルのFK、58分にはワグネルのCK、59分には増嶋のロングスローと、相次いでセットプレーからチャンスを窺います。
とはいえ、「長いボールには問題なく対処できていた。高さでもほとんどウチの選手が勝っていたんじゃないですか」と本田が話したように、ネットの高さは岩政が封殺。大谷が低い位置に入ったことで、ボールの回りはよりスムーズになり、藤田優人と橋本の両SBもかなりの積極性で攻撃に関与しますが、最後の部分でフィニッシュまでは持ち込めません。
62分には茨田を下げて澤昌克を送り込み、交替枠を使い切ったネルシーニョ監督。63分に「左をえぐられてのクロスは嫌だった」と本田も言及した橋本の折り返しに、工藤が合わせたシュートは曽ヶ端がセーブ。縮まらない点差。
すると、ここから「最近は非常にいい」(本田)という鹿島のカウンターが連続発動。68分の遠藤、69分の大迫は枠外。72分のドゥトラは菅野がファインセーブで回避。74分の大迫も菅野がキャッチ。80分のドゥトラは菅野が弾くもDFがクリア。「あれだけ収まる選手はなかなかいない」と青木も舌を巻いた大迫の無双キープを基点に、遠藤、レナト、ドゥトラが次々と柏ゴールへ迫ります。
苦しくなったホームチームの突破口は左とセットプレー。80分、ワグネルとのワンツーから橋本が上げたクロスにネットが飛び込むも、ここは青木が体を投げ出してブロック。82分、ワグネルの右FKを、カウンターのシャワーに立ち向かい続けた増嶋が頭で合わせるも、ボールは左のポストを直撃。87分、ワグネルの右CKから、こぼれを澤が粘って押し戻すと、工藤のシュートは枠に飛ぶも曽ヶ端ががっちりキャッチ。
90分と93分に残していた交替枠を使うジョルジーニョ監督の老獪なゲーム運び。リーグチャンピオンの執念は94分。増嶋のロングスローを田中が体を張って繋ぎ、ネットのボレーがDFに当たりながらもゴールへ吸い込まれます。これでこのゲームは2-2のタイスコアに。それでも180分間では1点届かず。「鹿島は試合巧者。一枚上手だったなと思う」と工藤。「ほぼプラン通りに進められた」(本田)鹿島が、クラブ史上初となるナビスコ連覇へ王手を懸ける結果となりました。
"大迫の180分間"だったなという印象です。ファーストレグでの2ゴールに、セカンドレグでの1ゴール1アシスト。PK失敗のおまけも付いたとはいえ、「あれだけボールを収めてくれるし、しっかり起点になっていた」と岩政も称えたキープ力も含めて、1つグレードが上がったかのような活躍でした。昨年もMVPに輝くなど、縁起のいい舞台と言えそうなファイナルを引き寄せた22歳の大器が今、覚醒の時を迎えています。          土屋

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