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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
灼熱の群馬も今日がファイナルステージ。いよいよ全国のベスト4が出揃います。日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会、通称"クラ選"準々決勝。第1試合は前橋総合運動公園にやってきました。
まずは台風の目となりつつある仙台。「最初の方は暑くて走れなくて、ずっと自陣に釘付けだった」(越後和男監督)という1次ラウンドは、愛媛と磐田のJユース勢にそれぞれ1-1、2-2と引き分け、横河武蔵野には0-1で競り勝ってグループCを2位通過。ラウンド16では"死のグループ"と称されたグループEから1位で抜けてきたC大阪を、「砕かれる前に砕きに行こう」(越後監督)というスタンスで0-2と撃破して、ここまで駒を進めてきました。
対するは上位進出の常連とも言うべき京都。「"三ツ沢に行こう"を合言葉に臨んだ」(本田将也監督)今大会は、2勝1敗でグループDの首位として勝ち上がり、磐田と激突した昨日のラウンド16も、永島悠史(1年・京都サンガU-15)の決勝ゴールで1-0と粘り勝ってのベスト8。目標の"三ツ沢"まではあと1勝です。気温34.2度とまさに真夏の状況下、京都のキックオフでゲームはスタートしました。
先にリズムを掴んだのは仙台。7分、キャプテンの佐藤久元(3年・ベガルタ仙台JY)が右へ振り分け、SBの菊地佑太(3年・ベガルタ仙台JY)が折り返すと、井上星矢(1年・ながいユナイテッドFC)はうまくエリア内へ潜り込んだものの、ハンドの判定で相手ボールに。8分には道渕諒平(3年・ベガルタ仙台JY)を起点に、飯塚郁仁(2年・ヴェルディSS小山)がダイレクトではたき、エリア内で受けた井上のシュートは枠の右へ。まずは1トップの井上が積極的にチャンスへ関与していきます。
さて、なかなか攻撃の手数が出てこない京都は、前線にボールが入らず、中盤でもセカンドが拾えない状態に。U-18日本代表にも招集されている、頼みのFW田村亮介(2年・奈良YMCA SC)も孤立する時間が長く、嫌なリズムが続きます。
ただ、「うまくいっていないこともサッカーの一部。それも受け入れている」とは本田監督。そして、そんな展開にも焦れずにやり過ごしていた京都へ、ようやくチャンスが訪れたのは21分。大西勇輝(1年・京都サンガU-15)が左へ付けると、奥川雅也(1年・京都サンガU-15)が柔らかいクロスをピンポイントでファーサイドまで。ここへしっかり走り込んだ大西のボレーは、力強くゴールネットを揺らします。一瞬の勝負所を見逃さなかった京都が、1年生コンビの躍動でまずはリードを奪いました。
いい流れの中で先制された仙台でしたが、失点以降も攻勢は継続。とりわけ、ボランチの道渕が流れることが多く、厚みを増していった右サイドが活性化。25分、右で道渕との連携から菊地が上げたクロスは、青沼基貴(3年・ベガルタ仙台JY)が打ち切れず。30分、やはり右へ流れた道渕のクロスに、一度空振りした青沼のリトライは京都GK山田元気(3年・FC XEBEC)が好セーブ。チャンスは創出します。
38分は京都。清水航輔(2年・京都サンガJY)の鋭いクサビを永島が反転からミドルに変え、ボールはわずかにクロスバーの上へ。全体的には仙台ペースと言っていい内容で、最初の45分間は終了しました。
大胆な越後采配に騒めくスタンド。「ウチもボールが回せるんじゃないかと思い、そこから個人の能力で対抗していこうかと考えた」指揮官の決断は3枚替え。青沼、平野晟也(2年・ウイングス鹿沼SC)、井上を下げて、山田拓也(3年・コバルトーレ女川JY)、茂木駿佑(1年・柏レイソルU-15)、小山亮樹(1年・柏レイソルU-15)を投入。前線4枚の内、3枚を入れ替えて勝負に出ます。
50分には小山、飯塚と繋ぎ、道渕にボールが入るも、京都のCB池松大騎(3年・ナガサキアシストサッカーユニオンU-15)が素晴らしいカバーで回避すると、55分は京都の決定機。奥川の左クロスを、田村がドンピシャで叩いたヘディングは、しかし右のポストにヒット。ゲームが少しずつ動き出します。
直後の55分には仙台の決定機。山田拓也のスルーパスに越後監督も「1人で勝負できる」と評した小山がフリーで抜け出すも、フィニッシュは山田元気がファインセーブ。57分も仙台。左で山田拓也が溜めて、飯塚のクロスを小山が当てたヘディングは枠の上へ。59分は京都。奥川のドリブルシュートを仙台GK堀田大暉(3年・ベガルタ仙台JY)が弾くと、拾った永島のシュートは枠の左へ。「お互いにヘロヘロの中で」(越後監督)、殴り合う両者。
61分は仙台。山田、道渕と回ったボールは三たび小山へ。1度目のシュートはDFが、2度目のシュートは山田元気がブロック。思わず「願わくば1回は決めてくれれば」とは越後監督。62分も仙台。道渕が繰り出したラストパスから、"スーパーサブ"の山田拓也が狙ったシュートは枠の右へ。70分は京都。ほとんどのチャンスに絡んでいた奥川のスルーパスから、10分前に1枚目の交替カードとして送り出された石岡巧丞(1年・京都サンガU-15)の決定的なシュートは堀田が足でストップ。スコアは動きません。
そんな中、72分に生まれた歓喜の色は紫。奥川のクロスから奪ったCK。その奥川が左から蹴り込んだボールに、守備面での貢献度も高かったCBの松川宏二(2年・京都サンガU-15)が左足インサイドで技アリの追加点。「こっちに来て、選手たちの強さを僕自身も見ることができた」と本田監督も話した京都が、リードを2点に広げました。
苦しくなった仙台は、74分に最後のカードとして185センチの千田海人(3年・FCみやぎバルセロナ)を「3年生だから最後頑張ってこいと」(越後監督)投入。勝利への執念を打ち出します。
84分、山田拓也が懸命なチェイスからGKのクリアを奪い、右から中へ送るも、ニアに走り込んだ道渕のシュートは枠外へ。88分、島貫弘敬(3年・ベガルタ仙台JY)のフィードを、巧みなヒールで持ち出した山田拓也のシュートも枠の右へ逸れ、これが仙台にとって最後のシュートに。「本当に頑張ってくれているので、内心では毎試合褒めています」と本田監督も笑顔を見せた京都が、目標通り三ツ沢への切符を手に入れる結果となりました。
「選手の疲労も本当にピーク」(本田監督)の中、両チームとも最後まで素晴らしいファイトを見せてくれました。特に仙台は「どこのチームにも"尻尾を巻く"というようなことはなくなった」と越後監督も評価したように、ここまでの結果がフロックではないことを、十分に証明するような90分間だったと思います。下級生にいい選手も多く、スカウト網も「今は関西までですが、いずれは九州や沖縄の方まで広げようかなと思っています」という越後監督のお話もあり、今後の仙台ユースはトップチーム同様、全国でも非常に面白い存在になっていきそうな印象を受けました。 土屋
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