mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2012/06

S M T W T F S
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年06月10日

インターハイ東京1回戦 暁星×東京朝鮮@駒沢補助

mas o menos
  • Line

gyosei chosen.jpg長野で行われる全国大会へ乗り込むために、2席用意された出場枠を巡って熱戦が繰り広げられているインターハイ東京予選。今日は4チームのシードを除いた、いわゆる"ベスト12"に当たる2次トーナメント1回戦が東久留米総合で1試合、駒沢補助で3試合行われます。となれば、当然向かうのは駒沢。トリプルヘッダーと相成りました。
第1試合は暁星と東京朝鮮の激突。いきなりT1リーグ勢同士がぶつかる好カードです。T1で5連敗の最下位に沈む暁星は、1次トーナメント初戦で大苦戦。大成に前半で3点と絶望的なビハインドを背負わされます。ところが後半、怒濤の4ゴールで大逆転勝利。勢いそのままに多摩大目黒を4-2で撃破し、ここまで勝ち上がってきました。
対する東京朝鮮は直近のT1で横河武蔵野ユース相手に5-6という乱戦を繰り広げるなど、出入りの激しいゲームが特徴。1次トーナメントは3試合で13得点を挙げるなど、危なげなく勝ち上がってきています。もはや真夏を思わせるような強い日差しの中、暁星のキックオフでゲームはスタートしました。
立ち上がりから攻勢に出たのは東京朝鮮。「あんなにヘディングがうまい訳じゃなかったのに」と不思議そうに話した高隆志監督の言葉が信じられないほど、ハイボールの競り合いは無双状態だったハン・ヨンジュン(3年・東京朝鮮第一中)と、抜群のスピードを誇りながら「周りを利用できるようになってきた」(高監督)というキム・デセン(3年・ジェファFC)で組んだ都内最高クラスの2トップが、いきなりフルスロットル。
6分にはコ・ジャンギ(2年・ジェフユナイテッド千葉JY)が蹴った右FKのこぼれを、キム・デセンが押し込むも暁星DFが何とかクリア。9分にはカン・ヨンデ(3年・東京朝鮮中)のフィードにキム・デセンがグングン抜け出し、折り返したボールはわずかにハン・ヨンジュンと合わず。10分にもコ・ジャンギの右FKをニアでキム・デセンが合わせたヘッドは暁星GK関根宏一郎(3年・暁星中)がキャッチしましたが、決定機を連続して創ります。
すると、均衡が破れたのは12分。中盤でルーズボールを拾ったカン・ヨンデが裏へ送ると、並走するDFの前にグッと入ったキム・デセンが難なく1対1を左スミへ。決して簡単なゴールではなく、高監督も「あの1点は大きかった。決めたデセンを褒めたい」と称賛したエースの一撃で、早くもスコアを動かしました。
さて、なかなか攻撃の手数を繰り出せない暁星。10番を背負った左SBの中沖隼(3年・暁星中)はサイドでアクセントを付けられるものの、「暁星は左サイドが強いので」(高監督)普段は中盤に入るコ・ジャンギを右SBに起用したことも東京朝鮮に奏功し、その左から連動して攻めるようなシーンは見られず、どうしても簡単にボールを失ってしまいます。
22分と27分には、臼倉宏(2年・暁星中)が前者はFKで、後者は左からのカットインでフィニッシュまで持ち込みましたが、どちらも枠外。「1対1が強く、体の入れ方が凄く巧い。FC東京の森重真人に似ている」と森重の中学自体に対戦成績のある高監督が評したCBホン・ユングッ(3年・東京朝鮮中)の牙城は高く、ゴールに迫れません。
32分にパク・スンヒョク(3年・東京朝鮮中)、ハン・ヨンジュンと繋ぎ、コ・チファン(3年・東京朝鮮中)が長いドリブルから放ったュートは左ポスト直撃。34分にもコ・チファンを起点に、コ・ジャンギが右から上げたクロスをキム・デセンが頭で叩くと、これも左ポストを直撃。東京朝鮮が主導権とリードを奪取して、最初の40分間は終了しました。
後半はスタートから暁星が2枚替え。CBに田辺歩己(3年・暁星中)を、前線に宮川大史(1年・暁星中)を送り込み、流れを引き寄せに掛かります。ところが、そんな思惑を打ち砕く東京朝鮮の追加点は43分。「練習の時からいいキックをしている」と指揮官も認めるコ・ジャンギの鋭いFKは、ゴール前で混戦に。ここへ真っ先に反応したのは、やはりキム・デセン。持ち味のスピードではなく、嗅覚で奪ったこの日2点目。リードが広がります。
こうなると止まらないエース。53分、ここもコ・ジャンギが蹴ったCKの流れから、ハン・ヨンジュン、コ・ジャンギと回り、最後はキム・デセンが中央から冷静に一刺し。「一本槍のスピードだけじゃない」(高監督)ことを証明する、いずれも異なる形からのハットトリック達成は見事。アドバンテージは3点となりました。
今予選では前述のように3点差を引っ繰り返すゲームを経験している暁星も意地を見せたい所。後半は前半よりボールも回り始め、決して悪い内容ではありません。そんな中で迎えた62分、一瞬オフサイドをセルフジャッジした東京朝鮮の隙を突いて、服部直弘(3年・暁星中)が右からクロス。ここに宮川が飛び込み、暁星が1点を返すと形勢逆転。3週間前の成功体験をバックボーンに、にわかに活気付いた赤のイレブン。保護者の皆さんが送る声援にも熱がこもります。
しかし、そんな流れを切り裂いたのは途中出場の2年生。67分、シン・ヨンジュ(2年・東京朝鮮中)がドリブルからコ・チファンへ。ハン・ヨンジュンの落としを再び受けたシン・ヨンジュは、エリア右側から完璧な軌道のシュートを左スミに突き刺します。相手の追い上げムードを完全に断ち切るトドメの4点目。以降も数度の決定機を創り出すなど、最後まで攻撃の手を緩めなかった東京朝鮮が「今日は厳しいかなと思ってましたが、思ったよりも子供たちの方が成長していました」と高監督も評価する快勝で、3年ぶりのベスト8へ駒を進める結果となりました。
やはり東京朝鮮は強かったです。キム・デセンという突出したエースはいるものの、全体的なタレントは元々都内でも屈指。そこに今年は「みんな仲が良くて、チームワークも良い」と高監督が話す"組織"がうまく融合している印象があります。次の相手は関東大会予選準優勝の実践学園。「今まで通り戦うだけです」と高監督。悲願の全国出場までは、あと2勝です。        土屋

  • Line