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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
昨年度は小島秀仁(現・浦和)を擁しながら、準々決勝で桐生第一を相手にまさかの敗退を喫し、全国出場を逃した前橋育英。そして、その桐生第一を延長で破って勢いに乗った伊勢崎商業が、そのまま群馬を制覇。インターハイ県代表の座を勝ち獲りました。昨年の選手権準決勝でも対戦するなど、ここ数年の群馬高校サッカー界をリードしてきた2チームの激突は、もちろん聖地・敷島です。
21秒の衝撃。まだ客席にこれから着こうという人もいるような開始早々、伊商のエース浦野悟(3年・榛名中)の左足ボレーは鋭く落ちて枠内へ。結果、クロスバーに当たってピッチに跳ね返りましたが、育英の山田耕介監督も「浦野はパワー持ってますね。アレはびっくりした」と苦笑いを浮かべるほどのインパクト。スタジアムの雰囲気が一気に締まります。
さて、育英はセットプレーからはいくつかチャンスを創りますが、伊商は中盤ダイヤモンドのアンカー気味に位置する阿久津和樹(2年)が、2人のCBと共に育英2トップを監視する「5バックみたいな」(山田監督)ブロックを築いて前のスペースを減少させ、逆に空き気味の中盤もSHが少し中央に絞る形で、鋭いボールアプローチからセカンドを拾うなど、守備面ではうまく対応。どうしてもボールは長く持たれてしまいますが、安定した戦い方を披露します。
14分には山本裕天(3年・東京ヴェルディJY)のクロスから、斎藤裕志(3年)のヘディングはゴール左へ。25分にはルーズボールを収めた山本のミドルが枠を襲いますが、伊商GK高橋秀典(2年)がセーブ。攻撃の厚みを披露するも、先制点を奪うまでには至らない育英。すると昨年度の王者が突如覚醒。28分、森勇樹(3年・大間々東中)が30m近い距離から狙ったミドルは、ほんのボール1個分くらいの差でクロスバーの上へ。29分、エリア内で浦野が力強いキープから落としたボールを、走り込んだ森がハードヒット。育英GK冨澤雅也(3年・町田JFC)が辛うじて弾き出しましたが、昨年度のタイトルが伊達ではない所を強くアピールしてみせます。
ところが、先にゴールを記録したのは「センスを持っている」と指揮官も話した横山翔平(3年・図南FC群馬)のアイデアが煌めいた育英。32分、右サイドでボールを持った横山は、伊商DFラインの裏へ絶妙なチップキック。ラインと入れ替わるように飛び出した外山凌(2年・東京ヴェルディJY)は二アで足を伸ばしてプッシュ。10番の素晴らしいアシストで、少し押し込まれる予兆があった中、「いいタイミングだったと思う」と山田監督も言及したゴールが生まれ、育英が1点をリードして前半の35分間は終了しました。
ハーフタイムを挟み、迎えた後半もファーストチャンスは育英。39分、横山の左FKに斎藤がフリーで合わせたボレーは枠の上へ外れましたが、41分には左サイドからカットインした斎藤が今度は枠内ミドル。勢いを持続させます。
決して悪い流れではない伊商も44分に1枚目の交替カードを選択。前線の神澤裕希(2年・ザスパ草津U-15)に替えて、森田大貴(2年)を投入。得意の左足がアクセントになっていたSBの瀬谷峻史(3年・新里中)を置く左サイドを中心に、1点のビハインドを追い掛けます。一方の育英も47分に交替を決断。「最近調子が悪かった」(山田監督)という松井聖也(3年・前橋FC)を、斎藤に替えて投入。するとこの采配が的中。
50分、左サイドで外山のパスを受けた白石智之(3年・前橋FC)は、ゴールラインギリギリで粘ってクロス。走り込んだ松井のヘディングは、二アサイドを破ってゴールネットに到達します。「片鱗は見せてくれたかな」と山田監督も認めた松井の一撃で、育英が大きな2点目を挙げてみせました。
育英の前線を務める斎藤、外山、松井に横山の4人は、いずれもFWとSHで併用できるタレントたち。山田監督は「そこそこのレベルでということですけど」と謙遜しますが、ゲームの流れやその日の調子を見て、交替をせずに配置を入れ替えられるのは、今後も大きなオプションになっていきそうな印象を受けました。
51分にも白石の浮かせたスルーパスに松井が抜け出し、GK高橋が飛び出して事無きを得た伊商は44分、前半から2トップ下で奮闘していた1年生の平識善昭(藤岡キッカーズ)を下げて、同じく1年生の塩谷亮介(前橋FC)を送り込み、何とか前への推進力を生み出そうとしますが、2点のリードを握った育英もしっかりゲームをコントロール。付け入る隙を与えません。
こうなると少しずつ、ピッチ上に現れてきた地力の差。54分にはCB李正珠(3年・前橋FC)がインターセプトからそのまま持ち上がり、白石が狙ったシュートは高橋がキャッチ。58分、白石がゴール左寄り、約20mから直接狙ったFKはゴール右へ。62分、またも白石が左サイドから枠へ飛ばしたミドルは高橋がファインセーブ。足が止まり始めた伊商を攻め立てます。そして、2点差のままで敷島に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。後半は伊商に1本のシュートも許さなかった育英が貫禄の快勝。2年ぶりとなる夏の王者に輝きました。
昨年のレギュラーがごっそり抜けた育英は、まだこの選手が中心という明確な軸はないものの、やはり個々のスキルはハイレベル。前述したように、ポジションチェンジも含めた、攻撃陣のフレキシブルな流動性は相手の脅威となりそうです。「今年は全国的に見ても、各チームともそんなに差はないと思う」と山田監督。前回出場時に続く全国制覇を最大の目標に、是非群馬県勢の代表として秋田ではばたいて欲しいと思います。 AD土屋
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