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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年06月21日

J2第17節 草津×京都@正田スタ

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201106210145000[1]kusatsu.jpgFC東京、千葉と昇格の本命候補に挙げられている強豪を相次いでホームで撃破。ここまで5位とJ2の“台風の目”的な存在として注目を集めている草津。一方、大木武新監督を招聘し、1年でのJ1復帰を目標に掲げながら、ここまでわずか2勝しか挙げられず、19位とあまりにも苦しいスタートとなった京都。今日は「凄く緊張していたけど、チームの力になれると思っていた」という33歳の鈴木慎吾と、「結果を残すことだけを考えていた」という18歳の伊藤優汰が揃って今シーズン初スタメン。前節の勝利で得た流れにうまく乗りたい所です。
さて、ゲームは4分に熊林親吾のクロスにアレックスが、13分にはまたも熊林の今度はCKから御厨貴文が、共にヘディングで枠を狙いましたが、ゴールとはいかず。ただ、手数は草津が出しますが、全体としては「前半の入り方が非常に悪い」(草津・副島博志監督)「試合の入り方としては非常によかった」(鈴木)と2人が口を揃えたように京都ペース。特に3トップの右に入った伊藤と、中盤の右サイドに入った加藤弘堅のコンビネーションがよく、草津の左サイドを崩しにかかります。
すると14分に生まれた先制ゴールも、やはりそちらのサイドから。加藤のパスを受けた伊藤は「スピード勝負だと思って行ったら、うまいタイミングで抜けた」とドリブルで切れ込み中へ。加藤のシュートは草津のGK北一真が弾きましたが、最後は中山博貴がプッシュ。流れをしっかり結果に繋げた京都がリードを奪いました。
その後も変わらず京都攻勢。押し込まれた草津はファウルやクリアで逃げるのが精一杯という場面が続き、鈴木と加藤が精度の高いプレースキックでゴール前を脅かします。草津も30分には櫻田和樹のパスを受けて、ここまで沈黙を余儀なくされていたラフィーニャが反転ミドルを枠へ飛ばしますが、京都のGK水谷雄一が何とか防ぐと、直後に追加点。31分、草津の最終ラインで生まれたイージーな連携ミスから、内藤洋平が左へ繋いだボールを、走り込んだ鈴木は「気持ちを籠めて」得意の左足で左スミへグサリ。ゴール後、一直線にベンチへ走り、大木監督に抱き付いたシーンについては「自然と走って行っちゃった。新人のような喜び方で恥ずかしいんですけど」と照れ笑い。チーム最年長のベテランが挙げた今シーズン初ゴール。アウェイチームが点差を広げました。
まったくと言っていい程に攻撃の手を繰り出せなかった草津。1つの停滞した要因は中盤での劣勢だったと思います。京都のシステムは3-4-3でしたが、中盤はダイヤモンドを採用していたものの、右の加藤と左の鈴木は中に絞る場面が多く、ボランチの櫻田も「僕とマツさん(松下)の周りに4人いるような感じ。どんどん選手が湧いて出てくるような感じだった」と述懐。アウトサイドは3バックと3トップのサイドプレーヤーがしっかりケアしていたため、中盤の4枚が広い範囲でのセカンド奪取に貢献したことで攻撃の厚みをもたらし、草津には「判断とサポートの遅れ」(副島監督)を誘発させてパスワークを分断。キーマンの熊林もほとんどボールに触れないとあれば、自然と草津の攻撃は鎮火。40分に松下が枠へ飛ばした30m近いFKも、水谷がファインセーブで阻止。京都からすれば100点満点に近いような内容で、前半は45分が経過しました。
ところが後半は一転、立ち上がりから草津が圧倒的にペースを握ってしまうのだから、サッカーはわかりません。46分、ラフィーニャからのパスを萬代宏樹はシンプルにはたくと、エリア外で受けた櫻田は「思い切り打っておこうと」果敢にミドルへチャレンジ。ボールはゴール左スミへ豪快に飛び込み、本人も「7年間で敷島では初めてのゴール」と語る記念弾は、すなわち追撃弾。たちまち点差は1点に縮まります。
前述したように、このゴールで流れは一気に草津へ。52分、ゴール右、約25mの位置からラフィーニャが狙ったFKはカベがブロック。56分、60分と続けて熊林が狙ったFKはシュートまで繋がらなかったものの、「相手の勢いに負けた訳じゃないけど、押し込まれてしまった」と鈴木が振り返ったように、京都は一気に苦しい展開を強いられます。
ペースが入れ替わった理由の1つには、「前の選手の球離れがよくなったので、攻撃がスピードアップした」(櫻田)ことが挙げられそうです。実際に46分のゴールも、萬代が簡単に落とした所から。ボールの回りが速くなったことで、京都も前半ほど的を絞り切れず、結果として選手間の距離が開いてしまったために、それが攻撃面での「ボールを貰いに来る選手がいない」(大木監督)という部分にも繋がり、攻守両面で機能性が低下してしまいました。
イケイケの草津。61分、萬代、熊林と回してラフィーニャのシュートは水谷がファインセーブ。そして62分、櫻田が左へ展開したボールを、熊林は細かいステップワークから中へ上げると、完全にフリーとなった萬代がヘディングでゴールへ流し込みます。千葉戦、東京V戦と連続ゴールをマークしていた萬代の3戦連発弾。到来したビッグウェーブを見事に乗りこなした草津が、あっという間にスコアを振り出しへ戻しました。
「逆転できそうな雰囲気」(松下)が充満したスタジアム。67分には萬代、ラフィーニャと繋いで、アレックスのシュートはわずかにゴール左へ。73分、熊林のロングスローから松下がボレーで狙うも、水谷がキャッチ。確かに3点目が入りそうな雰囲気は草津にありました。ところが再び流れを京都へ引き戻したのは、大木監督の采配。75分、鈴木に替えて、「ボールを受ける選手を置くために(中山)博貴を下げて、(中村)太亮で盛り返して行こうと。」(大木監督)送り出されたのは中村太亮。すると76分にはゴール前の混線から、その中村太亮が強烈な枠内シュート。ここは北に阻まれましたが、直後の77分にもチャンス。中村太亮からパスを受けた中山が左サイドを切り裂き、「マイナスに来るなと感じて」走り込んだ伊藤が左足を振り抜くと、揺れたネット。18歳のJリーグ初ゴールは大きな勝ち越し弾。次の1点は耐えに耐えていた京都が狙いを体現して記録しました。
リードを許した草津は79分に熊林のCKから、アレックスの放った強烈ボレーも水谷がファインセーブで阻止。81分には永田拓也と櫻田を下げて、田中淳とリンコンを投入しましたが、指揮官も「あまり機能しなかった」と認めたように、交替は奏功せず。逆に「ボールを受ける選手を置くために中山を下げて、太亮で盛り返していこう」というプランが当たり、84分には伊藤のクロスから中村太亮がフリーでヘディング。北にキャッチされましたが、完全に形勢を引っ繰り返すと、87分に生まれたダメ押しゴール。軽率なキープを見せた田中から草津陣内深くでボールを奪った内藤が中へ。受けた伊藤の「コースはなかったけどDFの股下を狙った」シュートは、ゴールネットに到達。「シュートを打つタイミングは独特。非常によかったと思う」と大木監督も評価したルーキーの2発で、京都が今シーズン初の連勝を決める結果となりました。
時間帯によってどちらに流れが来ているかが、かなりハッキリしていたゲームでした。全体の流れとしては、草津が逆転していてもおかしくなかったと思います。そんな「いわゆる負けパターン」(鈴木)を若手の力で跳ね返しての勝利は、ひょっとすると京都にとってターニングポイントになり得る、大きな勝ち点3奪取となるかもしれません。  AD土屋

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