デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2010/10

S M T W T F S
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年10月31日

J2第32節 千葉×甲府@フクアリ

foot!
  • Line

わずか3つの枠を奪い合い、鎬を削ってきたJ2の長い戦いも残すは7節。確実に決着の時は迫っています。現在51ポイントで4位。クラブ史上初めてとなるJ2降格から10ヵ月。1年でのトップディヴィジョン復帰を唯一にして最大の目標に掲げる千葉を待っていた苦闘。25節で福岡に敗れ、入れ替わる格好で昇格圏外に押し出されて以降は、1度も浮上することなく4位に甘んじています。現在59ポイントで2位。昨シーズンはわずか1ポイント差で涙を飲んだ無念を糧に、9節以降は常に昇格圏内をキープしてきた甲府。ここ3試合は連続引き分けとやや停滞気味ですが、昇格への比較対象となる千葉からは是が非でも勝ち点3を勝ち取りたい所。今後のスケジュールを見ても、4位以内に位置するチーム同士の直接対決はこれが最後。黄色に包まれたスタンド。一角には凛とした青。大一番は13393人をフクアリに呼び込んで、戦いの火蓋が切られました。共に攻守の切り替えも速く、縦への意識が非常に高いハイテンションな立ち上がりに好勝負の予感。7分、甲府は青木良太のトラップミスを奪うと、藤田健、パウリーニョ、藤田、秋本倫孝と繋いで、最後は藤田がフィニッシュ。11分にも横パスをカットした柏好文から、右のハーフナー・マイクにボールが渡り、中へのパスは何とかDFがカットしますが、千葉の不安定なパス回しを突いて、甲府がチャンスを創ります。ホームの千葉も直後に反撃。11分、アレックスの左クロスに、飛び込んだ青木孝太の当たりは薄く、ファーに流れると深井正樹が至近距離からフリーでシュート。これは甲府GK荻晃太が体でファインセーブ。先制とはいきません。すると、スコアが動いたのは16分。最終ラインでボールを持った甲府のCB山本英臣は「全体的にマークが浮いてるのは見えてたので、そのズレを見逃さずに」縦へフィード。このボールに、「彼がいいボールを蹴るのはわかっていた」というパウリーニョは、ラインギリギリで抜け出すと、左から豪快に逆サイドのゴールネットを射抜きます。青の沸騰。まずは甲府がシンプルな縦パス1本でアドバンテージを握りました。さて、「ハーフナーの“周り”だとトレーニングしていたが、イージーなミスから計算外の失点」と江尻篤彦監督も振り返ったシーンでビハインドを負った千葉は26分、倉田が中央を強引にドリブルで切り裂き、ミドルを枠内へ。27分には青木孝太が粘って左サイドを抜け出し、谷澤達也を経由して、走り込んだ山口慶のシュートは枠の左へ。この27分のシーンが象徴するように、少しずつサイドの深い位置に簡単な長いボールやドリブルで侵入し始めた千葉が、今度は主導権を奪取。縦への推進力も勢いを増し、攻勢の時間を創ります。38分にはオーバーラップしたアレックスのクロスを、青木孝太がヒールで落とし、深井がボレーで枠を捉えますが、荻はしっかりキャッチ。得点以降は押し込まれる時間が長い中、「前線からよく動いてプレッシャーを掛けてくれた」と山本も振り返ったように、チーム全体の連動した守備が機能した甲府がリードして、前半は終了しました。ハーフタイムを挟み、迎えた後半は50分、52分と千葉がアレックスのFKからチャンスを掴んだものの、これを2本とも決定機に結びつけられずにいると、再び形勢は逆転。55分、柏が右サイドを独走して前へ運び、藤田のパスからハーフナーのシュートはゴール右へ。58分には柏が得た、右サイドからゴールまで約30m弱のFKを、パウリーニョが絶妙のコントロールで右スミへ飛ばすも、岡本昌弘がファインセーブ。63分にはまたも柏が右サイドをぶっちぎり、クロスはわずかに中と合いませんが、追加点の可能性を感じさせます。序盤から目立っていたとはいえ、この時間帯に存在感を色濃くしたのは、6試合ぶりのスタメンに抜擢された柏。「スピードを生かして引っ張ることで、アレックスの攻撃力を削ぎ、高い位置にアレックスが来た時は守備もできるので」と指揮官は起用理由を明かしましたが、実際はアレックスの抑止力として以上のパフォーマンスを披露。ある意味、甲府の攻撃を牽引していたのは、このルーキーだったとも言えそうな奮闘ぶりでした。さて、スコアも内容も劣勢に陥った千葉。江尻監督の決断は63分。山口に替えて米倉恒貴を投入。さらに、70分には深井を諦め、伊藤大介を送り込み、何とか局面を打開しようと手を尽くします。すると、期待に応えたのは柏同様にルーキーの伊藤。71分、縦へのクサビを巧みにターンしながら受けると、素早くスルーパス。エリア内へ潜った青木孝太をダニエルが倒すと、西村雄一主審の判定はPK。苦境で23歳コンビが大仕事。千葉は大きな同点機を獲得します。キッカーはアレックス。右スミを狙ったボールは、方向を読んだ荻が差し出す左手のわずか上を通過。黄色の沸騰。1-1。スコアはイーブンに引き戻されました。勝ち点3が欲しい江尻監督は畳み掛ける交替策。76分に谷澤を下げ、3枚目のカードとして切ったのはキャプテンの工藤浩平。「個性の違う選手が次々に出てくる」(甲府・保坂一成)千葉の厚い選手層。チームの“攻める”姿勢を感じ取ったサポーターも枯れ掛けた声を振り絞ります。81分、カウンターから伊藤の強烈なミドルは枠のわずか左を急襲。83分、ショートコーナーで工藤からのリターンを受けたアレックスのシュートは、ハーフナーが滑り込んでブロック。そのCK、アレックスのボールに、米倉のヘディングはバーの上へ。千葉が押し込みます。そんな中で訪れた86分、老獪な茶野隆行に競り負けるシーンもありながら、「前で体を張れてた」ハーフナーが、その茶野からファウルを獲得。FKのスポットに向かったパウリーニョは、相手の態勢が整わない内に、意を決したような素早いキック。「蹴った瞬間にボールが逃げていくのが見えた」と本人が話した軌道は、ユラユラと高速でゴール右スミを捕獲。「あれは日本人じゃできない個人技」とハーフナー。「ここ一発をみんなずっと待ってた」(内田監督)パウリーニョの今日2点目で、甲府がまたも勝ち越してみせました。追い込まれた千葉も猛攻。89分には右からのクロスを青木孝太がワントラップして、うまいボレーを枠に飛ばしましたが、ダニエルが決死のブロック。同じく89分、千葉の連続シュートも、甲府が体で連続ブロック。95分のラストプレー、伊藤のFKも甲府が掻き出すと、降りしきる雨を切り裂いたホイッスル。「お互い熱い気持ちを持ってファイトした試合」(山本)は甲府に凱歌。4位千葉との勝ち点差を11に広げ、悲願の昇格を大きく手繰り寄せる勝利をモノにしました。両者の実力はほとんど互角だったと思います。千葉も攻守に渡って、90分間闘っていました。勝敗を分けたのはわずかなディテール。しかも、それは「追い付かれてもチーム全員が上を向いて、引き分けじゃなくて勝ちに行く姿勢があった」と山本が語った部分。勝因を問われた保坂が少し考えてから「気持ちじゃないですかね」と口にした、まさに“気持ち”でわずかに上回ったのが甲府だったように、私は感じました。    AD土屋




  • Line