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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年08月18日

J1第19節 湘南×京都@平塚

foot!
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前節は残留争いのライバル神戸にスコアレスドローも、5試合ぶりの無失点と勝ち点獲得。一時は崩壊傾向にあった守備陣も一定の落ち着きを取り戻した13ポイントの17位湘南。秋田豊新監督の就任という劇薬投入にも負のスパイラルは止まらず、リーグ戦は6試合連続無得点での6連敗。厳しい戦いが続く10ポイントの18位京都。まさに残留を争う、崖っぷち同士の決戦は真夏の湘南。サザンの唄みたいな平塚競技場です。京都のメンバー表を見ると、中村充孝にキム・ソンヨンと今シーズン初スタメンが2人。「コンディションのいい選手をどんどん使う」とは秋田監督ですが、ベンチに並んだドゥトラ、柳沢、宮吉というメンツを見れば、ある程度前半は守備に軸足を置き、後半勝負という策略は予想され、実際に3-4-2-1の4を務める右の渡邉と左の中村太亮は、湘南3トップの両ワイドに入った中村と阿部をケアするために低い位置を取るなど、まずは失点しない姿勢を鮮明に打ち出します。対する湘南は、「今まで通りの4-3-3で、自分の所でボールを潰せれば」と話す田村をアンカーに、坂本と特別指定選手の永木亮太をその前に置く、最も見慣れた4-3-3でスタート。5分には田原のポストプレーから、阿部がミドル。11分には中村のミドルがDFに当たったこぼれを、永木が拾ってシュートを放つなど、まずはいいリズムでフィニッシュまで持ち込むシーンを創ります。しかし、徐々に「裏への飛び出しと空中戦への対応」について、監督から指示を受けていたキムへのロングボール一辺倒になっていく京都に付き合うような形で、序盤は見られたダイレクトパスを綺麗に数本繋いで前へ運ぶようなシーンも減少し、チャンスを掴めなくなっていきます。45分が経過した時点で、湘南のシュート数5に対して、京都のそれは1。決定機は共にゼロと、この順位での対決にしては非常に静かな前半が過ぎ去っていきました。ハーフタイムを経て、ピッチへと戻ってきた京都に施される選手交替。秋田監督はまずドゥトラを投入します。ベンチへ下げたのはボランチの加藤。やや予想外のスイッチでしたが、これで2シャドー気味の中山を1列落としたことで、ボールの回りもよくなり、47分には永木から奪ったボールを起点に、左サイドから中村太亮が折り返し、中村充孝がスルーを選択すると、フリーで走り込んだ中山がシュート。左足で蹴られたボールはクロスバーを越えましたが、ようやく決定機を生み出します。51分にもやはり中村太亮の左クロスから、キムがうまく頭で落として、なんとか田村がクリアするシーンを迎えるなど、中村太亮のオーバーラップを生かして、左サイドが活性化した京都が後半は立ち上がりからペースを掌握。これには反町康治監督も53分に「真ん中(CB)はしっかり対応できていたし、真ん中ではゲームに入りづらいので中村太亮に対して1対1の強さに期待して」村松を臼井に替えて、右SBへそのまま投入。勢いを削ぎにかかります。しかし、一度傾いた流れはそう簡単に変わらず。59分、中盤でドリブルしていた坂本のボールを奪うと、安藤は左へ。「前半はあまり前を向けなかったので、後半はどんどんシュートを狙っていこう」と考えていたキムは、カットインから抜き切らないタイミングで右足を奮うと、ボールはDFに当たってわずかにコースを変え、都築の牙城を突破。監督の期待に応えたCFの今シーズン初ゴールで、アウェイの京都が先制ゴールを奪いました。一気に苦しくなった湘南。反町監督は失点の2分後、中村を下げてエメルソンを投入。2戦続けてスタメンを外したブラジル人に勝負を懸けます。するとこの交替策も見事に奏功。64分には、そのエメルソンがFKから相手のオウンゴールを引き出し、これはオフサイドでノーゴールとなったものの、スタジアムの空気を一変させると、69分にも一仕事。中央右寄りでボールを持つと、絶妙のタイミングで浮き球を縦へ。阿部が頭で落としたボールを、田原は豪快なダイレクトボレーで、京都ゴールを射抜きます。1-1。残り20分で再びスコアは振り出しに戻りました。目まぐるしく動くベンチ。秋田監督の決断。71分にはキムに替えて柳沢を、73分には中村充孝に替えて角田を相次いで送り込み、システムも柳沢を頂点に、その下には右からドゥトラ、角田、中村太亮を並べる4-2-3-1にシフトして、勝ち越しを狙います。76分にはシンプルな縦フィードにドゥトラが全力で追い付いて中へ上げたボール、ニアに走り込んだ柳沢のボレーは右ポストを叩き、湘南サイドは冷や汗。それでも、再び流れが京都に傾きかけた80分、湘南がワンチャンスで歓喜。阿部が縦に送ったボールは、もつれた京都DFの間をすり抜け田原の元へ。水谷のうまい対応で、シュートチャンスを逸した田原がさらに左へ持ち出すと、伸びた水谷の手に引っ掛かる格好で転倒。微妙なシーンでしたが、岡部拓人主審が指し示したのはペナルティスポット。エメルソンが冷静に水谷の逆を突き、湘南がとうとう逆転に成功しました。勝ち点3まで10分強。この時間帯で存在感を見せたのが永木。4-2-3-1に変わった布陣で、3の右サイドとして猛烈なプレスを敢行。85分にはバックパスを受けた水谷に全力疾走で襲い掛かり、クリアを体でブロック。このゲームを最後に大学へ戻る22歳が、J1で戦った7試合の集大成を体現します。ところが、「最後の時間の使い方は勝ち慣れていないチームなのかな」と反町監督が振り返った90分以降にまだドラマが。92分、中村太亮のクロスに合わせた柳沢のヘディングはクロスバーを掠め、さらに95分、再び中村太亮のクロスから最前線に上がっていたカク・テヒのボレーが今度は右ポストを直撃。追加タイムの掲示は4分。これでタイムアップかと思われた瞬間、こぼれ球へ猛然と駆け出した安藤が懸命に中へ戻すと、中山の折り返しは柳沢へ。「決まってくれと念じるように打ったシュート」は、ジャストミートしなかったものの、ゆっくりとゆっくりとゴール右スミに吸い込まれます。秋田監督就任後、3試合続けてスタメンを外されたエースの意地が土壇場で炸裂。まさに痛み分け。2-2のドローで、お互いに勝ち点1ずつを積み上げる結末となりました。京都にしてみれば、ほとんど敗戦寸前で奪い取った勝ち点1。「これで自分自身も吹っ切れてできると思う」とは柳沢。「最後まで粘ってドローにしたことは、チームにとって凄く前向きになれる材料」とは就任以降、初の勝ち点獲得となった秋田監督。これを浮上のキッカケにできるでしょうか。湘南にしてみれば、待望の勝利がスルリと逃げていってしまった勝ち点1。「最後はみんなで意志統一ができてなかったのかな」とは田村。「サッカーの厳しさを教えられたゲーム」とは反町監督。ただ、この教訓を生かせるゲームはまだ15も残っています。     AD土屋




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