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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年07月25日

J2第19節 柏×千葉@日立台

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今シーズンに限って言えば、千葉の覇権はすなわちJ2の覇権か。柏レイソルとジェフユナイテッド千葉。史上初となるJ2開催の千葉ダービーに、前売券はなんと完売。ちょうど対戦も一巡と、前半戦の締め括りに当たる第19節に組み込まれたビッグマッチは、10768人の観衆でスタンドも黄色に染め抜かれます。前節の横浜FC戦はラストプレーで追い付かれ、勝ち点2を目前で失った柏は、18試合目にして守備の中心パク・ドンヒョクが警告累積で初めて不在。CBには、奇しくも公式戦ではちばぎんカップ以来のスタメンとなる酒井宏樹が起用されました。対する千葉は札幌に0-3と敗れた前節終了後に、サポーターが抗議行動。様々な背景が絡み合い、ダービーということ以上に負けられない一戦。招き猫ダックの始球式を経て、18時4分にキックオフの笛は吹かれました。さて、ゲームは開始2分で早くも最大のポイントとなるシーンが訪れます。「DFの背後をシンプルにという狙い通りの形」(千葉・江尻篤彦監督)から、柏ゴール前で近藤直也と入れ替わったネットがエリア内でループを狙うと、飛び出したGKの菅野孝憲は覆いかぶさる格好でネットを倒してしまいます。すると、Jリーグ初ジャッジとなるイングランド人のアントニー・テイラー主審は、躊躇することなくレッドカードを提示。柏はわずか2分で絶対的な守護神を失い、さらにPKまで献上する格好になりました。澤昌克に替わって投入されたGK桐畑和繁は、これがJリーグデビュー。キッカーの倉田秋は冷静に桐畑の逆を突き、千葉がリードと数的優位を同時に手に入れました。ところが意外な形で、またもゲームが動きます。9分、柏は田中順也が右FKから速いボールを中に入れると、GK櫛野亮と競り合ったのは千葉のCB茶野隆行。頭にヒットしたボールは自分のゴールに飛び込む、まさかのオウンゴール。1人少なく「正直苦しい状況」(柏・ネルシーニョ監督)だった柏が幸運を引き寄せ、スコアは振り出しに戻りました。ここからは数的均衡が保たれていない中、ゲームは膠着した展開に。この要因は、「引かれた相手に攻撃が中、中になってしまった」(江尻監督)千葉が、確かにある程度ポストプレーが計算できるネットと、3トップの右に入った深井正樹や左の倉田、中盤前目に位置する佐藤勇人と工藤浩平との距離が遠く、なかなか有機的なコンビネーションが出せなかった部分や、これまた江尻監督の言葉を借りれば「柏の4バック+ダブルボランチの守備の能力は分析以上だった」ことも挙げられそうです。ただ、柏のキャプテンである大谷秀和が「前の選手が体を張って、よく守備してくれた」と讃えたように、柏オフェンス陣の守備における奮闘が、試合に緊張感を与え続けた最大の要因だったのではないでしょうか。特に20分過ぎに、ネルシーニョ監督から激しい口調で、相手アンカーの中後雅喜へ対するプレスバックを指示された工藤壮人と、中央から右へとポジションを移し、左SBのアレックスに対するケアを徹底させられたレアンドロ・ドミンゲスの献身性はかなり光っていたと思います。その甲斐あって、同点後はほとんどチャンスらしいチャンスは千葉に訪れず、1対1でハーフタイムを迎えることになりました。後半は江尻監督から「しっかりワイドを使おう」と言われてピッチへ入った千葉が攻勢。53分には深井のクロスから倉田が枠内へ飛ばすヘディング。56分は、佐藤が右サイドへ展開してから、深井のクロスを桐畑が1度は弾きながら何とかキャッチしましたが、ジワジワと押し込み始めます。江尻監督は58分にネットを諦め、青木孝太を投入。縦への推進力を強める意図を感じさせると、続く千葉のラッシュ。65分、深井のパスから抜け出した工藤のシュートは、桐畑がファインセーブ。66分、アレックスのパスから左サイドをえぐった工藤のクロスは、大谷が何とかクリア。67分、中後の左CK、ファーでマーク・ミリガンが落とすと佐藤のワントラップボレーはバーの上へ。68分、ドリブルで持ち上がった茶野のミドルは桐畑がセーブ。直後のCK、中後のキックは桐畑も触れず、青木良太がヘディングを枠には飛ばせなかったものの、チャンスを創出し続けます。しかし、フットボールとは時に理不尽で実直。71分、自陣から酒井が高く高く蹴ったフィードに、足を止めなかった田中は青木良太と入れ替わると左足一閃。ボールはホームのサポーターを背後に湛えるゴールへ吸い込まれます。「フィジカルの強い所をみせてくれた」とネルシーニョ監督も称賛した田中の一撃は、なんとチーム初シュート。10人で耐えてきたホームチームが1本目のシュートで2点目を挙げ、リードを奪いました。残り20分で1人多い状況にも関わらずビハインドを負った千葉は、74分にも田中の直接FKにゴールを割られながら、オフサイドの判定で事無きを得ると、中後を下げて谷澤達也を投入。青木孝太の下に右から倉田、谷澤、アレックスを並べた4-2-3-1にシフトして、まずは何とか1点を返しに行きますが、集中の続く柏の前になかなかチャンスを創れません。ネルシーニョ監督は84分に、守備で奮闘した工藤を下げて、柏デビューが古巣対決となった水野晃樹を最前線に送り込み、前からの圧力を強化します。もはや追い込まれた千葉は、それでも89分に蘇生。右から蹴られたアレックスのFKを、ファーでフリーになっていた茶野がヘディング。今度は相手のゴールに叩き込む、チーム最年長のベテランが見せた汚名返上の同点弾。「最後まで諦めないことを表現してくれた」と江尻監督も評した千葉が土壇場で追い付き、J2千葉ダービーの第1ラウンドはちばぎんカップに続いてドロー決着となりました。柏は最後に失点を喫したとはいっても、ほぼ丸々1試合を10人で戦いながらこの結果。「1人少ない状況に前半の早い内から追い込まれたが、体力的にも精神的にも乗り越えられた。結果は引き分けだが、今日は選手たちを祝福したいと思う」とネルシーニョ監督。「引き分け狙いでやってた訳ではない。勝ち点3を取りに行っていた」とは大谷。これでJリーグ記録更新となる18戦無敗。酒井や桐畑も堂々たるパフォーマンスを見せるなど、選手層も充実。昇格に向けて死角はなさそうです。「最後どんな形であれ、選手が追い付いてくれたことはしっかり評価したい」と江尻監督が話した千葉。今日は少しイレギュラーなゲームとなりましたが、やはり流れの中で攻撃のバランスがよくない印象です。ネットの高い能力は実証済みだけに、彼が生きる組み合わせや形を採用すれば、ある程度は相手に脅威を与えられそうですが、江尻監督の理想はまた違うように思えるので、後半戦にはまた注目していきたいですね。    AD土屋




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