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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
準決勝
2010/7/7 20:30 モーゼス・マビダ(ダーバン)
ドイツ×スペイン
天候:曇り 気温:18度 観客:60,960人
主審:ヴィクトル・カサイ(ハンガリー)
【ドイツ】
GK
1 マヌエル・ノイアー
DF
16 フィリップ・ラーム(C)
17 ペア・メルテザッカー
3 アルネ・フリードリッヒ①
20 イェロメ・ボアテンク
MF
6 サミ・ケディラ
7 バスティアン・シュヴァインシュタイガー
15 ピオトル・トロホウスキ
8 メスト・エジル①
10 ルーカス・ポドルスキ②
FW
11 ミロスラフ・クローゼ④
SUB
12 ティム・ヴィーゼ
22 ハンス・ヨルク・ブット
4 デニス・アオゴ
5 セルダル・タスキ
14 ホルガー・バドシュトゥバー
2 マルセル・ヤンゼン
18 トニ・クロース
21 マルコ・マリン
9 シュテファン・キースリンク
19 カカウ①
23 マリオ・ゴメス
13 トーマス・ミュラー④■■(警告累積による出場停止)
監督
ヨアヒム・レーヴ(ドイツ国籍)
(4-2-3-1)
--------クローゼ--------
-------------------
-ポドルスキ---エジル---トロホウスキ-
--シュヴァインシュタイガー-ケディラ----
-------------------
ボアテンク-フリードリッヒ-メルテザッカー-ラーム
-------------------
--------ノイアー--------
【スペイン】
GK
1 イケル・カシージャス(C)
DF
15 セルヒオ・ラモス
3 ジェラール・ピケ
5 カルレス・プジョール
11 ジョアン・カブデビラ
MF
16 セルヒオ・ブスケッツ
14 シャビ・アロンソ
8 チャビ・エルナンデス
FW
18 ペドロ・ロドリゲス
7 ダビド・ビジャ⑤
6 アンドレス・イニエスタ①
SUB
12 ビクトル・バルデス
23 ホセ・マヌエル・レイナ
2 ラウール・アルビオル
4 カルロス・マルチェナ
17 アルバロ・アルベロア
10 セスク・ファブレガス
13 ファン・マヌエル・マタ
20 ハビ・マルティネス
21 ダビド・シルバ
22 ヘスス・ナバス
9 フェルナンド・トーレス
19 フェルナンド・ジョレンテ
監督
ビセンテ・デル・ボスケ(スペイン国籍)
(4-3‐3)
--------ビジャ--------
-ペドロ-----------イニエスタ-
-------------------
-----X・アロンソ--チャビ-----
--------ブスケッツ--------
-カプデビラ-プジョール--ピケ--S・ラモス-
-------------------
--------カシージャス--------
【マッチレポート】
EURO2008ファイナルの再戦。
今大会最も高い評価をされていると言っても差し支えないチームと、
今大会最も高い評価をされていたと言っても差し支えないチームが、
ベスト4という大舞台であいまみえる。
前者はイングランド、アルゼンチンと2つの優勝候補に
それぞれ4ゴールをぶち込んで粉砕してきたドイツ。
後者はポルトガルとパラグアイを、
共にビジャの一発で振り切ってきたスペイン。
大会屈指の好ゲームになる可能性を大いに秘めた期待の一戦だ。
レーヴはここまで4ゴール3アシストを挙げているミュラーの出場停止を受けて、
トロホウスキを初スタメンで起用した以外は、おなじみの10人を並べる。
デル・ボスケは一向に調子の上がってこないトーレス外しを敢行。
3トップは右からイニエスタ、ビジャと、大会初スタメンのペドロ、
中盤はブスケッツをアンカーにチャビ、X・アロンソが前に位置する
4-3-3気味をスタートポジションにするが、
実際は3トップを含めた前の5人がかなり流動的に動いていく。
さて、ゲームが始まると想像とは違う展開がそこには待ち受けていた。
キックオフしたドイツは開始20秒でボールを手放してから
再び2本以上のパスを繋げるまでに3分強の時間を要する。
その間にピッチ上で繰り広げられていたのはスペインの滑らかなボール回し。
3トップのワイドに入ったイニエスタとペドロも
中に絞って積極的にボールを受けるシーンが多く、
その空いたスペースにはS・ラモスとカプデビラ、両SBが侵入して
ポゼッションからのサイドアタックを虎視眈々と狙う。
6分、ピケの縦パスから右に流れたペドロは、前を向くとすかさずスルーパス、
裏を取ったビジャのシュートはノイアーが体で止めたものの、
まずは決定的なチャンスを創出する。
14分にもスペイン、
チャビのショートコーナー、ニアでイニエスタがリターン、
チャビのパスを受けたX・アロンソはダイレクトで開いたイニエスタへ、
まったくのフリーから狙い済ました高速クロスに
プジョールがダイビングヘッドで反応し、ボールはバーの上へ消えたが、
セットプレーの面白いアイデアから決定機を掴む。
最初の15分、ボールキープ率は35%対65%でスペイン。
もう少しスペインが高いかと思っていたが、こんなものかという数字。
印象でのキープ率は2:8くらいに見える。
19分のスペイン、左サイドのX・アロンソが素晴らしいサイドチェンジ、
S・ラモスはフリーでワントラップからボレー。
枠は外れたが、ここもボアテングは絞ったペドロに対応していて、
大外の相手SBをケアしきれない。これは逆にも言えることで
トロホウスキとポドルスキは、ボールを回されているため、
比較的高い位置に釣り出されてのプレスを強いられているので、
このサイドチェンジからSBがオーバーラップというのはかなり有効。
しかもこの日のX・アロンソが繰り出す中距離弾は、日本の電車並みに正確だ。
22分、スペインのCKはメルテザッカーがクリア、
クローゼとシュヴァインシュタイガーが繋いで、今大会ナンバーワンのカウンター発動、
エジルが左サイドを上がるポドルスキに渡した時点で
スペインの守備者3人に対して、全力で走り出していたドイツの選手は6人。
しかしポドルスキはフリーにも関わらず、エジルに戻し、パスはズレる。
戻ったペドロがカット。エジルはポドルスキに不満顔。
お得意の必勝パターンもいまひとつ噛み合わない。
23分には再びドイツのショートカウンター、
ポドルスキが縦に付けると、左サイドに流れたエジルは中のクローゼへ柔らかいクロス、
クローゼはピケを切り返しでかわすも、カバーしたプジョールに奪われる。
この時間帯はポゼッションこそスペインが圧倒しているものの、
ドイツももはや主導権を奪い返すのは難しいと判断したか、
前からのプレスもそれほど行かず、ブロックを作って待ち受けるような形。
こうなるとスペインも初戦で証明されていたように、なかなか崩し切るまでには至らない。
30分にX・アロンソが一本打っとけ的な形で放ったミドルが、
チーム11分ぶりのシュート。試合はかなり固まってしまう。
32分にはドイツにようやくいい形が。
クローゼの正確なポストワークから、トロホウスキ、ラームと繋いで、
再び戻ってきたボールをトロホウスキが左足ミドル、
カシージャスがうまくCKに逃げたが、パンチ力のあるシュート。
これでドイツにとってようやくこのゲーム最初のシュートが記録された。
45+1分、少しボールを持てるようになってきたドイツはポゼッションから
トロホウスキがクサビ、クローゼは巧みにターンすると中央フリーのエジルへラストパス、
エジルはS・ラモスともつれて倒れるも、カサイ主審の笛は鳴らず。
スローで見ると、S・ラモスの足は確かにエリアの外でエジルに引っかかっていたが、
転倒はその後で芝生に足を取られて滑ったような形。カサイ主審はよく見ていた。
少しずつスペインペースにドイツがアジャストしていったような展開で前半は終了したが、
試合前の期待感から考えればちょっと拍子抜け。
残念な印象の拭えない45分間はスコアレスとなった。
後半も流れは変わらない。
48分、X・アロンソがルーズボールをワンタッチで正確に右へ、
ペドロは1人で10秒はドリブルして3人を翻弄して中へ戻すと、
上がって来たX・アロンソのシュートはヒットしなかったものの、
かなりハイレベルな形でのフィニッシュ。
50分、チャビ、ペドロ、S・ラモス、チャビと回して
X・アロンソの左足シュートは枠の左に逸れたが、この崩しも秀逸。
スペインは明らかに立ち上がりからギアを上げてきている。
レーヴは52分に1枚目のカードを切った。ハンブルク同士の交替。
左SBのボアテングが下がり、ヤンゼンが入る。
あまりにも高い位置を取られ過ぎているS・ラモスへの抑止力だろう。
ドイツは全体的に押し込まれ続ける中で、
シュヴァインシュタイガーの存在感が際立つ。
中盤でのフィルターとしてこのゲームではただ1人、
相手のボール回しにプレスを掛けて奪うシーンもあり、
無限に生まれるのではないかというようなスペインのチャンスを
可能な限り摘み取っていく。大会屈指のセントラルMFなのは間違いない。
58分、スペインの津波がドイツを飲み込む。
左サイド、イニエスタとのワンツーで抜け出したカプデビラの折り返し、
X・アロンソの落としをペドロがシュート、ノイアーがファインセーブで逃れるも、
こぼれを拾ったX・アロンソはヒール、イニエスタがエリア内は侵入し、
左から中へ送るも、ビジャはわずかに届かず。
ポドルスキがルーズボールを拾ったが、ミスパスをすぐにまた奪われる。
X・アロンソ、S・ラモス、ブスケッツ、チャビと回っている間にも
ドイツはラインを上げられない。
X・アロンソ、チャビと繋いで、ペドロの左足ミドルは枠を外れるも、怒涛の1分あまり。
何とか凌いだドイツ。しかし、このままじゃ最後までもたないだろう。
61分、ドイツの後半初シュート。
左サイドのスローインからヤンゼンのクロス、S・ラモスのヘディングが中へ入ると、
反応したクローゼがムリヤリ左足のボレーで狙い、
ボールはクロスバーの遥か彼方を越えていく。これが精一杯の反攻か。
この1分後、レーヴの決断。ここはある程度予想された交替。
トロホウスキを下げて、20歳のクロースが選択された。
63分、X・アロンソが柔らかいクロスを左サイドから右足で。
飛び込んだS・ラモスは一歩シュートには持ち込めなかったが、
X・アロンソが魅せる硬軟の切れ味は恐ろしい。
また、このシーンでS・ラモスに体を付けて打たせなかったのはポドルスキ。
よく戻っていた献身性が光るとは言え、10番にとってもやはり苦しいゲームだろう。
68分はビジャ、ペドロのパスを受けて、右サイドでヤンゼンと向かい合い、
抜き切らない内にクロス気味の速いシュートを打ち込む。
ノイアーもこぼさずにしっかりキャッチ。続くスペインの攻勢。
ところが、劣勢のドイツも69分にこのゲーム初となる決定機を創り出す。
久々となる10秒以上のボールキープから、左サイドをゆっくりと攻略、
ヤンゼン、ポドルスキ、エジルで8本のパスを繋いで、最後はポドルスキがクロス、
するとスペインディフェンスはピケがサイドへ釣り出されていたために、
1人ずつスライドしたことでクローゼに付いていたカプデビラの裏は、
誰1人ケアできていない。そこにいたのはどフリーのクロース。
インサイドでのボレーは、しかしカシージャスが素晴らしい反応でストップ。
中盤の構成と、3トップの守備位置との関係でできたスペインの大きな穴。
モノにしかけたドイツの前には、キャプテン“聖イケル”が立ち塞がった。
そしてピンチを脱したスペインに、とうとうその時が来る。
72分、イニエスタが奪ったCK、チャビがやや高く蹴ったキック、
ペナルティエリアの外から助走を着けて飛び込んだ178センチのプジョールは、
189センチのケディラにも、そして192センチのピケにも競り勝つ
魂のヘディングをドイツゴールに突き刺してみせる。
スペイン代表におけるもう1人の“カピタン”が挙げた
代表通算3ゴール目は、大きな大きな先制ゴール。
展開を考えてもとてつもなく意味のあるアドバンテージはスペインが得た。
攻めるしかなくなったドイツは81分、
ボランチのケディラを下げて、FWのゴメスを投入。
シュヴァインシュタイガーがワンボランチ気味になる4-4-2で勝負に出る。
81分、デル・ボスケ1枚目の決断は、意外にもビジャを下げてトーレス。
スタジアムはどよめきながら沸いているように聞こえる。
82分、スペインの決定的なカウンター、
チャビが右に出すと、ペドロは完全に一人旅、
中にはフリードリッヒとトーレスしかいない。
セオリー通り、ボールに行ったフリードリッヒ、中でトーレスは完全にフリー、
ところがペドロはフリードリッヒに2回もキレのない切り返しを試み、
よく戻ったクロースがボールをかっさらう。怒りを露にするトーレス。
ゴールを祝おうとベンチを飛び出していたスペインの控えメンバーも頭を抱える。
試合はまだ決まらない。
85分のドイツ、FKの流れからラームのフィード、メルテザッカーが頭で落とし、
シュヴァインシュタイガーがうまいコントロールで前を向くと、プジョールと接触。
ここもカサイ主審のホイッスルは鳴らない。
スローで見るとプジョールの足は掛かっているが、
シュヴァインシュタイガーもファウルをもらいに行っている。
どちらとも取れるシーンだったが、FKは与えられない。
85分、デル・ボスケは奮闘したペドロに替えてシルバを投入。
EUROの優勝メンバーが次々にピッチへ送り込まれる。
ドイツはもう196センチのCBメルテザッカーも最前線に張り付く。
後ろはラーム、フリードリッヒ、ヤンゼンの3枚、
前にはゴメス、メルテザッカー、クローゼが居並び、3-4-3で1点を奪いに行く。
スペインも狡猾に左サイドでのCKを取り続ける。
チャビ、イニエスタ、シルバ、この3人はそう簡単にボールを失わないし、
シュートへの意欲も隠し持つため、
この時間帯のドイツからすれば本当に憎々しいだろう。
93分、スペイン3枚目のカードはX・アロンソに替えて、“クローザー”マルチェナ。
スペインの集中は途切れない。
ピケが、プジョールが、S・ラモスが跳ね返す。
93分21秒、カサイ主審のホイッスルは
ワールドカップの初王者が間違いなく南アフリカで生まれることを決定する合図。
勝ったのはスペイン。圧倒的な攻撃力を評価されてきたチームが
ベスト16以降をすべて1-0の最少得点差で制する勝負強さを発揮して、
同国史上初となるワールドカップファイナリストの栄誉を、まずは手に入れた。
敗れたドイツは悔いが残るのではないか。
ここまでのゲームで見せてきたアグレッシブさは、ついぞ見られず。
一度飲み込まれてしまった流れに、結果的には最後まで抗えず
前回大会と同じく、ベスト4で涙を飲むことになった。
「もっとできた」「勝てるはずだった」「負けた気がしない」
そういう想いが、なかなかピッチを立ち去れなかった選手たちの表情に現れていた。
ドイツ 0×1 スペイン
【得点者】
スペイン:プジョール①(73分)
【警告/退場】
なし
【交替】
ドイツ:ボアテング→ヤンゼン(52分)
トロホウスキ→クロース(62分)
ケディラ→ゴメス(81分)
スペイン:ビジャ→トーレス(81分)
ペドロ→シルバ(86分)
X・アロンソ→マルチェナ(90+3分)
【AD的Man of the Match】
カルレス・プジョール(スペイン)
《決勝組み合わせ》
7/11 20:30@ヨハネスブルグ(サッカー・シティ)
オランダ×スペイン
《3位決定戦組み合わせ》
7/10 20:30@ポートエリザベス
ウルグアイ×ドイツ
写真は5年前にプジョールを撮った「カンプノウ」
AD土屋
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