デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2010/07

S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

ワールドカップ 2010年07月04日

(60)準々決勝 パラグアイ×スペイン

foot!
  • Line

準々決勝
2010/7/3 20:30 エリス・パーク(ヨハネスブルグ)
パラグアイ×スペイン

天候:晴れ時々曇り 気温:13度 観客:55,359人
主審:カルロス・バトレス(グアテマラ)

【パラグアイ】
GK
1 フスト・ビジャール(C)
DF
2 ダリオ・ベロン
14 パウロ・ダ・シルバ
21 アントリン・アルカラス①
3 クラウディオ・モレル
MF
8 エドガル・バレット
15 ビクトル・カセレス
16 クリスティアン・リベーロス■
11 ホナタン・サンタナ
FW
7 オスカル・カルドーソ
18 ネルソン・バルデス
SUB
12 ディエゴ・バレット
22 アルド・ボバディージャ
4 デニス・カニサ
5 フリオ・セサル・カセレス
6 カルロス・ボネット
10 エドガル・ベニテス
13 エンリケ・ベラ①■
17 アウレリアーノ・トーレス
20 ネストル・オルティゴサ
9 ロケ・サンタクルス■
19 ルーカス・バリオス
23 ロドルフォ・ガマーラ

監督
ヘラルド・マルティーノ(アルゼンチン国籍)

(4-4-2)
----カルドーソ--バルデス----
-----------------
-サンタナ-----------バレット-
----リベーロス--V・カセレス---
------------------
-モレル-アルカラス-ダ・シルバ-ボネット-
-------------------
-------ビジャール-------


【スペイン】
GK
1 イケル・カシージャス(C)
DF
15 セルヒオ・ラモス
3 ジェラール・ピケ
5 カルレス・プジョール
11 ジョアン・カブデビラ
MF
16 セルヒオ・ブスケッツ
14 シャビ・アロンソ■
8 チャビ・エルナンデス
6 アンドレス・イニエスタ①
FW
9 フェルナンド・トーレス
7 ダビド・ビジャ④
SUB
12 ビクトル・バルデス
23 ホセ・マヌエル・レイナ
2 ラウール・アルビオル
4 カルロス・マルチェナ
17 アルバロ・アルベロア
10 セスク・ファブレガス
13 ファン・マヌエル・マタ
18 ペドロ・ロドリゲス
20 ハビ・マルティネス
21 ダビド・シルバ
22 ヘスス・ナバス
19 フェルナンド・ジョレンテ
監督
ビセンテ・デル・ボスケ(スペイン国籍)

(4-4‐2)
-----トーレス----ビジャ-----
-------------------
---イニエスタ---チャビ--------
-----X・アロンソ--ブスケッツ-----
-------------------
-カプデビラ-プジョール--ピケ--S・ラモス-
-------------------
--------カシージャス--------

【マッチレポート】
今大会初めてもつれ込んだPK戦の末に日本を振り切って
新しい歴史を築くベスト8進出を決めたパラグアイ。
ここまでの4試合でわずかに1失点と、伝統の堅守は今回も息付いている。
ポルトガル戦ではスコアこそ1-0だったものの、
過去3試合よりは明らかに調子が上向いてきたスペイン。
大会屈指の“盾”を相手に、その攻撃陣がホンモノかどうか試される。
マルティーノの決断には驚きが少々。日本戦からスタメン6人が入れ替わる。
右SBには大会初出場のベロン、中盤は出場停止明けのV・カセレスが
リベーロスとドイスボランチを組み、右にバレット、左にサンタナを起用。
2トップもバルデスにカルドーソと初めての組み合わせにシフトしてきた。
一方のデル・ボスケはメンバーこそ、ここ2試合とまったく同様だが、
4-3-3ではなく、4-4-2に変更。2トップはビジャとトーレスで、
イニエスタが左SH、チャビは中央に位置し、やや右側を空けた
非対象の中盤ボックスを選択する。
まず開始51秒、パラグアイがいい形を創る。
モレルのスローイン、カルドーソが高い打点のヘディングで落とすと、
バレットがダイレクトで繋いで、サンタナのシュートはカシージャスがキャッチ。
いきなり積極的な姿勢を見せると、時間が進む内に
開始早々のチャレンジはパラグアイの決意表明だったことが明らかになっていく。
日本とは違って、スペインがどう出てくるかは世界中が知っている。
ゆえに迷いはない。2トップを筆頭に、前からプレス、プレス。
スペインのボールを持った選手へ連動して襲い掛かって行く。
8分、カシージャスへのバックパスにバルデスがプレス、
クリアをスライディングでカットし、ゴールキックにはなったが意欲は高い。
9分、バルデスが右サイドでキープして落とすと、V・カセレスのクロスを
中でリベーロスが右へ逸れるヘディング。
ただ、このクロッサーとフィニッシャーは共にボランチ。やはりここまでとは一味違う。
この相手の出方は予想外だったか、
まったくリズムが掴めないスペインは10分を過ぎると、布陣を早くも修正。
イニエスタを右へ出して、ビジャが左へ回り、
今大会のベーシックである4-3-3に戻してきた。
これでだいぶポゼッションは取れるようになっていったが、
相変わらずボールアプローチの速さはパラグアイが上。
バイタルやエリア内へは一向に侵入していけない時間が続く。
21分はパラグアイ、モレルの右FKはファーでフリーになったアルカラスへ、
ボールが伸びてわずかに届かなかったものの、惜しいシーン。
モレルの左足は高さで優位に立つパラグアイにとって大きな武器でもある。
25分時点でのポゼッションはスペイン58%にパラグアイ42%。
数字ほどの優勢さはスペインにほとんど感じられない。
何度かビジャやトーレスがサイドをドリブルで崩しかけるも、
最後の中央は鉄壁と表現して差し支えないだろう。
28分、ようやくスペインにチャンスらしいチャンス。
カプデビラのパス、中央で受けたチャビはターンすると
そのまま浮いたボールをボレー。わずかにクロスバーの上へ外れたが、
このゲーム初めてゴール方向へ飛んだシュートが記録される。
33分、スペインの左FK、カプデビラが狙うもカベに当たってGKへ。
直後にもチャンス。ビジャが右へ展開すると、
イニエスタはダイレクトでGKとDFの間に素晴らしいクロス、
ところが中のトーレスはニアに行くでもなく、DFの隙間に入るでもなく、
ただ目の前をボールが通過するのを見送るのみ。不調は深刻か。
少しずつスペインもボール回しからギアを上げるシーンが出てきたが、
決定機を創り出すほどのパワーとスピードまでは出てこない。
逆に41分、パラグアイがシンプルな手数で決定的なシーンを迎える。
右サイド、バレットがストレートに蹴ったアーリークロス、
DFラインの裏へ潜ったバルデスはワントラップからゴールへねじ込む。
しかし、上がった副審のフラッグ。
スローで見てみると、カルドーソはオフサイド位置にいたが、
バルデスの位置は明らかにオンサイド。
確かにカルドーソもクロスに対して飛んでいるので、
オフサイドも致し方ない判定だが、かなり微妙。スペインは命拾い。
45+1分のパラグアイは鋭いカウンター、
アルカラスの縦パスをカルドーソが捌くと、バルデスはプジョールと1対1。
中へ持ち出してシュートを放ち、ボールはバーを越えるがこれも1つの狙い。
こうやって見ると、明らかなスタメンクラスを外して、
何人もフレッシュな選手を起用してきたのは、
このアグレッシブな戦い方を立ち上がりから貫くためだったのならば合点がいく。
前半はマルティーノの思い通りの45分間だったのではないか。
意外にもパラグアイがゲームを掌握して、ハーフタイムを迎えた。

後半に入ると50分、スペインにチャンスの芽が。
ブスケッツからパスを受けたイニエスタ。
うまく反転して前を向いたが、少しドリブルに時間が掛かると見るや、
すぐさまダ・シルバとバレットで囲い込んで、パラグアイがボールを奪う。
直後にもチャビからエリアすぐ外でボールをもらったトーレスは、
トラップで1人かわしてドリブルに入るが、ここもダ・シルバが即座に寄せてクリア。
パラグアイの集中は途切れない。
デル・ボスケの決断は56分、セスクが用意する。替わるのはトーレス。
まあ今日のパフォーマンスを考えれば、デル・ボスケも我慢した方だろう。
57分、この交替直後に試合のヤマが訪れる。
何でもないパラグアイのフィードをS・ラモスが後ろに逸らしてCKに。
バレットのキック、ファーサイドでカルドーソをピケが引きずり倒す。
バトレス主審はホイッスル。指し示したのはペナルティスポット。
間違いない。ピケは言い訳できない。
キッカーはカルドーソ。今シーズンのリーグでも26ゴール中7ゴールはPK。
キックは右へ。ややコースが甘い。カシージャスも反応。ストップ。
顔を覆ったカルドーソ。キャプテンが窮地を冷静に救ってみせる。
そしてその40秒後。
X・アロンソの鋭いスルーパスにビジャが抜け出すと、アルカラスは倒してしまう。
再びバトレス主審はPKの判定。何という展開。
1分間に2度のPKがそれぞれのチームに生まれる。正直、こんなことは記憶にない。
キッカーはX・アロンソ。キック力は折り紙つき。
キックは左へ。ビジャールは逆に飛ぶ。スペイン先制。
いや、バトレス主審はボールを持っている。
スローが流れると、確かにピケがエリア内に入っていた。
でも、だったらカルドーソのPKもセスクとS・ラモスが蹴る前に入ってたよ。
何はともあれ蹴り直し。キッカーは再びX・アロンソ。
キックは1回目と逆の右へ。ビジャールも反応。ストップ。
こぼれ球をセスクが拾い、ビジャールが倒すもここはホイッスルなし、
さらにS・ラモスのシュートはダ・シルバが間一髪でブロック。
こちらもキャプテンが奇跡的なセーブでゴールに鍵を掛ける。
恐ろしく濃厚な2分あまりの攻防。それでもスコアは動かない。
63分、スペインのショートカウンター、
X・アロンソ、セスクと繋いで、イニエスタのコントロールシュートはビジャールセーブ。
マルティーノはここで動いた。64分、バレットに替えてベラを投入。
バレットは特に守備面で要求されたタスクをほぼ100%遂行した。
70分はスペイン、カシージャスを基点にショート、サイドチェンジ含めて
実に22本のパスを続けて繋ぎ、最後はカプデビラの折り返しを
イニエスタがフカしたが、まさにスペインらしい形を創ってみせる。
72分、マルティーノ2枚目のカードはバルデスに替えてサンタクルス。
バルデスも120%で動き回ったが、やはりチーム全体のパワー低下と共に
なかなか前にボールが入らなくなっていたので、この交替はやむを得ない。
75分、セスクが右サイドからエリア内へ入り、カバーに入ったサンタナが
ボールを奪うも、クリアがセスクに当たって、チャビの目の前へ。
トラップなしで狙ったシュートはゴール左へ外れたが、これも惜しいチャンス。
だいぶスペインにゴールの匂いが漂い始めてきた。
デル・ボスケも動く。75分、X・アロンソに替えてペドロを投入。
これで3トップは右からイニエスタ、ビジャ、ペドロ。
新シーズンはこのトリオがそのままクラブで見られる可能性もあるか。
そして83分、スペインはセンターサークルから素早いリスタート。
セスク、ブスケッツ、イニエスタ、セスク、チャビ、
イニエスタはドリブルで2人を抜き去ると、ガラ空きになった右へ、
ペドロのシュートは左ポストを叩いて再びピッチへ、
ボールはビジャの足元に収まり、ワントラップからインサイドで右スミへ、
右のポストに当たり、左のポストに当たり、それからゴールへ転がり込んだ。
やはりビジャ。ここぞという時にはこぼれたボールも彼を選ぶ。
ホンジュラスを、チリを、ポルトガルを葬ってきた男の4戦連発弾。
残り7分で苦しんだ苦しんだスペインが遂にリードを奪った。
デル・ボスケはすぐに手を打つ。プジョールを下げて、マルチェナを投入。
マルティーノもボランチのV・カセレスを下げて、バリオスを投入。
前線には193センチ、189センチ、187センチが並ぶ。
89分、パラグアイにラストチャンス、
リベーロスの縦パスにバリオスが抜け出してシュート、
カシージャスが弾くとサンタクルスがフリーで詰める。
ピケ渾身のブロックも間に合わないが、
カシージャスが再び間合いを縮めて体でブロック。ここもキャプテンが止めた。
94分18秒、ブブゼラを切り裂くバトレス主審のホイッスル。
カシージャスの下にチームメイトが駆け寄る。
涙に暮れるモレルを、同じ元アルゼンチン人のオルティゴサが慰める。
泣き崩れるカルドーソをビジャールが抱きかかえる。
そしてピケが、セルヒオ・ラモスが、セスクが、トーレスがカルドーソに言葉を掛ける。
同じピッチで戦った者だけに許される時間。これもサッカーの魅力の1つだ。
初めてのベスト8を超え、初めてのベスト4には一歩届かなかったパラグアイ。
しかし、ゲームがスタートした瞬間からアグレッシブに戦い抜いたその勇敢さは、
敗れてなお、多くの人の心を打つ。
人口600万人あまりの小国が、世界の歴史に新たな1ページを刻み込み、
ワールドカップから姿を消した。
さて、華麗さというよりも勝負強さが際立つ今大会のスペイン。
60年ぶりのベスト4進出は果たした。
次は史上初となるファイナルへの挑戦権を懸けて、難敵ドイツと雌雄を決する。

パラグアイ 0×1 スペイン
【得点者】
スペイン:ビジャ⑤(83分)
【警告/退場】
パラグアイ:アルカラス①(59分)、V・カセレス③(59分)、モレル①(71分)、
       サンタナ①(88分)
スペイン:ピケ①(57分)、ブスケッツ①(63分)
【交替】
パラグアイ:バレット→ベラ(64分)
       バルデス→サンタクルス(72分)
       V・カセレス→バリオス(84分)
スペイン:トーレス→セスク(56分)
      X・アロンソ→ペドロ(75分)
      プジョール→マルチェナ(84分)
【AD的Man of the Match】
イケル・カシージャス(スペイン)

《ベスト4組み合わせ》
7/7 20:30@ダーバン 
ドイツ×スペイン

写真は、赤つながりということで高知「はりまやばし」
062harimaya.jpg
AD土屋

  • Line