来よう来ようと思いつつ、日程的な問題でズレにズレ込み、ようやく見に来ることができたT-1リーグ。まあまずT-1とは何ぞやというと、簡潔に言えば東京の高校生年代で行われるリーグ戦形式のコンペティション。もちろん2部相当のT-2、3部相当のT-3までちゃんとあります。ちなみに“T”はTOKYOという意味の他に、TOPという意味合いも含まれているのは意外と知られていない話。また、都内屈指の強豪であるFC東京U-18、東京Vユースはプリンス関東1部に参加しているため、また成立学園も昨年のT-1を制し、ここでもレポートした2月の参入決定戦に勝ってプリンス関東2部に参加しているために、T-1には不参加となっています。今日の駒沢補助では、昨年の選手権予選でおそらく当時都内最強だった成立学園を、それぞれ準決勝と準々決勝で、後半ロスタイムに決勝点となる失点を食らうまで大いに苦しめた、暁星と駒澤大学高が対戦。両校とも今年度の主役となる可能性を十分に秘めた好カードです。ゲームは序盤から駒澤ペースで推移。「フィジカルでは向こうの方が全然上」と暁星の林義規監督も認める駒澤で、有効だったストロングの1つはセットプレー。須貝暁(3年・田無二中)が繰り出す精度の高いキックはチャンスを生み出し、13分にはその須貝のFKをキャプテンの大畠一馬(3年・拝島中)がフリーでヘディング。これはGKにキャッチされますが、25分にも須貝のCKが大畠の頭を捉えるなど、このホットラインは1つの武器になっていました。さらに攻める駒澤。34分には後方からのフィードを須貝が頭で落とし、黒木海人(3年・ヴェルディ相模原)が放ったシュートは枠のわずかに左へ。41分にも黒木のクロスから、最後は須貝が狙うも、暁星DFがライン上でクリア。スコアを動かせません。対する暁星は昨年からのレギュラーでもある2トップの岡山和馬(3年・暁星中)と山下謙太郎(3年・暁星中)にボールが入らず、反攻を繰り出せない時間が続きます。林監督も「いい判断なんだからパスを強く出せよ〜」と指示を出していたように、人工芝のピッチであとわずかのパススピードや強さがあれば、というシーンが多かったように見えました。さて、スコアレスで折り返した後半も流れは駒澤。57分、64分と山本亮太(3年・VIVAIO船橋)がドリブルシュートを枠内に飛ばすと、69分には右からの展開がチャンスに。東呈次(2年・FC駒沢U-15)が繋いで、またも山本がいいシュートを見せましたが、暁星もGK森清鷹(3年・暁星中)がファインセーブで切り抜けます。すると、「カツカツでよく守ってたね」と林監督が評した暁星は45分ハーフの上に、交替選手なしにもかかわらず、運動量は極端に落ちず、終盤にチャンスを創出。84分には花島陽(3年・暁星中)のFKから、矢野峻寛(2年・暁星中)のパスを友納健翔(2年・暁星中)が惜しいヘディング。そして88分には最大の決定機が。佐々木佑太(3年・暁星中)のCK、飛び込んだ橘慧(3年・暁星中)は完全に頭へヒットさせたものの、ボールはGKの腕にスッポリ。ベンチにいた誰もが頭を抱え、林監督は「オマエは優しいなあ」と呟くように一言。結果は共に勝ち点1ずつを分け合う、スコアレスドローとなりました。まあ、例えばパスが通らなかったとしても、チャレンジする意図がわかるプレーには両指揮官もある程度は褒めたりしていたことからもわかるように、「まああと2、3ヵ月は色々と時間がかかりますよ」という林監督の言葉はこの時期、どの監督さんも思っていることでしょう。その中でも、35分ハーフのインターハイ、40分ハーフの選手権に対して、この時期で45分ハーフの真剣勝負が行われるのは、非常に意味のあることですね。これで暁星は2勝1分け1敗、駒澤は3勝1分け、と共に上位をキープしています。今後もまた“この時期”の高校生たちを見に行きたいと思います。　　 　AD土屋